*本レポートは、暗号資産取引所SBI VCトレードのクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコインマーケットレポート(10月11日~10月17日)
ビットコインは、9月以降緩やかな上昇基調で推移している。直近では、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルと紛争状態に陥ったことで地政学リスクが高まり、インフレリスクが高まっている。
その一方で、足もとの米長期金利の上昇を受けて4 人の米連銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を明確にしたことで、ビットコインは上昇した。
日本時間10月12日AM3時にFOMC議事録公開や同日PM9時30分の米消費者物価指数(CPI)発表への警戒感があることから、上値は重い状態となっている。執筆時点でビットコインは2万7千4百ドル付近。
2023年のFOMC議事録公開日の前日比騰落率(日本時間)
8月17日 ▲7.17%
7月6日 ▲1.93%
5月25日 +0.58%
4月13日 +1.70%
2月24日 ▲3.13%
1月5日 ▲0.14%
足もと
成行注文のアクティブOI(未決済建玉)は概ね横ばいの状態が続いている。
アクティブOIの総量は少ない状態にあり、デリバティブ市場の売りの連鎖による急落は起こりにくい状況にある。
現物市場
成行売買では、概ね売りと買いが拮抗した状態が続いている。
デリバティブ市場
現物に対してデリバティブ市場の無期限先物の価格が安くなっており(下画像赤枠)、売られすぎの状態といえる。
また、12月にSQを迎える先物も現物に対して+1%程度と低い水準で推移しており(下画像青枠)、需給がひっ迫していることが見てとれる。
オプション市場
現物渡しで取引されるオプション市場では、現在の価格より高い3万ドル価格帯に建玉が多くあり(下画像赤枠)、オプション市場の参加者は上昇を予想していると考えられる。
外部環境
他アセットとの相関は、S&P500が+0.49、ゴールドが+0.31、原油先物が-0.31となっており、強い相関はみられない。ただし9月以降、米2年-10年米国債の金利差縮小(下画像赤枠)が追い風となり、ビットコインは緩やかな上昇基調に入ったと考えられる。
オンチェーン環境
ハッシュレートは強気に推移しており、次回難易度予想は+11.3%の難化予想。
直近のクリプト指標
10月12日 FOMC 議事録公開
10月12日 米消費者物価指数(CPI):23年9月結果
10月15日 CyberConnect(CYBER)トークンアンロック
10月16日 EOS EVM v0.6.0
10月17日 Mina:Testworld Mission 2.0
世界に存在しなかった、クリプト経済指標指標カレンダー。
— 仮想NISHI (@Nishi8maru) March 26, 2020
日本のトレーダーが絶対的優位に立てるよう、入念に作りました。https://t.co/cYcebDABgO
総括
ビットコイン市場は、全体的には需要超過となっており、売られすぎの状態にある。
ただし、直近では金利変動に影響を及ぼすと予想される12日のFOMC議事録公開と米CPI発表や、イスラエルの紛争により地政学リスクの見通しが不明瞭になったこと等への警戒により、上値が重い状況となっている。
画像出典:Tainoko Lab