- IBM Food Trustの商業化
- 10月8日にIBMは、ブロックチェーン技術を使用した独自フードサプライチェーンネットワークIBM Food Trustの商業化を発表した。そして、世界有数の仏系小売企業Carrefourがこのプロジェクトの会員となった。
- 乗り越えた5つの障害
- IBM Food TrustのバイスプレジデントであるMcDermott氏は、企業におけるブロックチェーン技術の普及において、このプロジェクトが以下の5つの障害を乗り越えたと言及し、セグメント別のROIの追求も功を制した理由の一つであると述べた。
IBM Food Trustに仏系巨大企業Carrefour参画
10月8日に、世界有数のテクノロジー企業IBMは、ブロックチェーン基盤の独自フードサプライチェーンネットワーク”IBM Food Trust”の商業化に踏み切り、世界最大級の小売業者Carrefourもそのネットワークに参加したことを公表した。
このIBM Food Trustは、収穫、梱包、輸送、販売などを記録し、食品業界のエコシステム全体に追跡性、透明性、効率性をもたらすと考えられており、18ヶ月もの間、小売業者、サプライヤー、農家などの様々なレイヤーにおいてテストが行われてきた。
そして、その商業化に伴って、Carrefourなどの大企業から、中小企業まで、月々100ドル(約1.1万円)から1万ドル(約110万円)の登録料で利用することが可能になる。
フランス基盤で33カ国に跨り、1.2万店舗を有する巨大企業Carrefourが、このIBM Food Trustに参加したことは、IBMにとっても、その事業を拡大するための大きな一歩であるとされており、同様にブロックチェーン業界全体としても特筆すべきニュースであると言える。
同社は、独自ブランドの300もの生鮮商品の追跡などを2022年までに実現し、顧客に安心を届けたいと明かした。
Carrefourの事務総長を務めるLaurent Vallee氏(以下、Vallee氏)は、今回の取り組みに対し、以下のようにコメントした。
そして、このIBM Food Trustには、今回参入を発表したCarrefourだけでなく、ネスレやユニリーバ、Tyson Foods、Walmartなど世界的に有名な企業も含む、複数の会員を既に有している。
IBMの国際産業部門のバイスプレジデントを務めるBridget van Kralingen氏も、以下のように言及した。
乗り越えた5つの障害
IBM Food TrustのバイスプレジデントであるBrigid McDermott氏(以下、McDermott氏)は、企業におけるブロックチェーン技術の普及において、このプロジェクトが、以下の5つの障害を乗り越えたと主張した。
- エコシステムの作成
- 全ての参加者に価値を与える、ビジネスモデルの作成
- データのセキュリティやアクセス権限などの管理構成
- 他のプラットフォーム間での相互運用性や標準化
- 歴戦の企業技術の上にシステムを構築すること
McDermott氏は、その対象が農家であれ、卸売業者であれ、小売業者であれ、その投資した額に対して得られる利益である「投資対効果(ROI)」が必要であると言及し、このプロジェクトは発足当初から異なるセグメントでどのようなROIが得られるかを議論してきたと述べた。
さらにIBMは、食品業界だけでなく、金融サービス、広告、宝飾品類、郵送など、様々な分野でブロックチェーン技術を普及させることを視野に入れているとされた。今後のブロックチェーン技術の多角的な普及において、IBMの活躍が期待されている。