ETF「BUZZ」でヴァンエックに罰金
米証券取引委員会(SEC)は16日、資産運用企業VanEck(ヴァンエック)が新たなETFの立ち上げにあたって、インフルエンサーの役割を明らかにしなかったため、罰金約2.6億円(175万ドル)を支払うことに同意したと発表した。
これは、「ヴァンエック・ソーシャル・センチメントETF(ティッカーシンボルBUZZ)」に関わるものだ。
BUZZは、SNSやニュース、ブログなどオンラインソースから収集したコンテンツに基づき、最も肯定的な投資家心理と強気な認識を示す米大型株75銘柄を追跡する。
カナダ企業BUZZ Holdingsが提供するBUZZネクストジェンAI米国センチメント・リーダーズ・インデックス(BUZZTR)に基づくものだ。
現時点では、BUZZのポートフォリオにはコインベース(COIN)、ペイパル(PYPL)、テスラ(TSLA)、マイクロストラテジー(MSTR)など仮想通貨関連の企業も含まれている。
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インフルエンサー起用を非開示
SECは、指数「BUZZTR」の提供者が、ETFの立ち上げに伴いこの指数を宣伝するためにインフルエンサーを雇用する計画であることをヴァンエックに伝えていたと指摘した。
また、インフルエンサーによるマーケティングやプロモーションを奨励するために、指数のライセンス料金には、ファンドの規模に連動して指数提供者の報酬が大きくなる変動制が設定されていた。
SECによると、ヴァンエックは、こうしてインフルエンサーが宣伝に関与することや、スライド式の手数料体系を、ETFが承認される際にファンドの独立評議員らに開示していなかった格好だ。
SECは具体的なインフルサー名を挙げていないが、人気のデジタルスポーツメディア「Barstool Sports」運営者でトレーダーとしても知られるデイブ・ポートノイ氏が宣伝のため起用されていた。
SEC執行部門責任者のアンドリュー・ディーン氏は、ヴァンエックが情報開示を行わなかったことにより、「ライセンス契約とインフルエンサー関与の経済的影響を考慮する上で、評議委員会の能力が制限された」と述べている。
ヴァンエックは、SECの調査結果を認めることも否定することもなく、停止命令と罰金に同意した。
ヴァンエックは、1月よりビットコイン(BTC)現物ETFを提供し始めたところだ。イーサリアム(ETH)現物ETFの上場も申請しており、SECの最終決定期限は5月23日となっている。
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ビットコインETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの資金としてまとめ、株式や債券などに投資して運用される金融商品。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっている。投資信託の中でもETFは証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買ができる。
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