はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

年初来75.1%増と勢い増すDeFi市場、TVLは15兆円規模に=バイナンスレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

年初からTVLが75%増加

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの研究部門は、年初から多額の資金が流入し、勢いを増す分散型金融(DeFi)市場について新たなレポートを発表。今年顕著な成長を示した五つの市場と、その市場の進歩を牽引する主要プロトコルについて検証した。

DeFi市場全体で見ると、仮想通貨市場の上昇に伴い、年初には542億ドル(8.34兆円)だったTVL(プロトコルへの預入総額)が、現在までに年初来75.1%増の949億ドル(14.77兆円)に達した。

継続的に流入した資金は、ほぼ全てのサブセクターに分配されており、分散型取引所 (DEX)などの一部のサブセクターがDeFi市場を牽引した時代は終わったとレポートは指摘した。

DeFi市場がさらに発展し、「2030年までに2,312 億ドル(36兆円)という野心的な収益目標」を達成するには、価値を最大化できる多様な市場の開発が必要だが、現在さまざまな市場で画期的なプロトコルが登場してきているという。

レポートでは金利取引、ステーブルコイン、金融、予測、デリバティブの五つの市場の動向と注目されるプロジェクトを検証しているが、ここでは金利取引とステーブルコイン、予測市場について簡潔に紹介する。

金利取引市場

金利取引市場のTVLは今年、148.6%増加して91億ドル(1.4兆円)となり、現在DeFiで8番目に大きい規模となった。

金利取引市場は従来の金融(TradFi)では重要な分野であり、金利デリバティブの想定元本は400兆ドル(6京2,260兆円)を超えるという。現在、オンチェーンの金利商品取引と投機に対する需要が高まっているため、TradFiの金利取引市場の規模を考慮すると、DeFiにとっては大きなチャンスになるとレポートは指摘した。

この分野で注目されるのが、金利デリバティブをオンチェーン化するプロトコルの「Pendle」で、年初から1,962%という驚異的な成長を遂げ、TVLは48億ドル(7,470億円)に達した。

Pendleは、利回りを生み出す資産を原資産として、「元本トークン」と「利回りトークン」に分割してトークン化。分割された元本トークンと利回りトークンの取引を可能にするプロトコルだ。

DeFiでは流動性プールが、利回りの基盤を提供しているが、流動性と利回りを確保することでPendleプールを確立できる。単一のエコシステムは利回りの基盤に縛られず、さまざまなプロジェクト上にプールを構築することが可能なことから、Pendleはネットワーク効果で拡大し、主要な金利取引製品としての地位を確立。DeFiで7番目に大きいプロジェクトとなった。

レポートはPendleについて、「実質的に”金利市場の Uniswap”と考えることができる」とまとめている。

ステーブルコイン市場

ステーブルコインの流通時価総額は今年、1,611億ドル(25兆円)に達し、ほぼ2年ぶりの高水準となった。

現在、ステーブルコイン市場は中央集権型の発行企業が支配しており、テザー社のUSDTと サークル社のUSDC が市場シェアの約90% を占めている。先行者利益とさまざまな市場との統合や構成可能性が相まって、強力な流動性ネットワーク効果が作り出されているため、新たな事業者の参入障壁は高い。

一方、市場には、より分散化され、金利が得られるステーブルコインを求める要求が高まっていた。そのような市場のギャップをうまく活用したDeFiプロトコル「Ethena」のステーブルコイン USDeは、わずか数ヶ月で2,730.4%急上昇し、時価総額は24億ドルに達した。現在ステーブルコインの第5位を占めている。

Ethenaは、ETHのステーキングで、利子が分配されるステーブルコイン「USDe」を発行する。「合成(シンセティック)ドル」とも呼ばれる EthenaのUSDeトークンは、LidoのstETHなどのETH流動性ステーキング・トークン(LST)を裏付け資産として使用し、デリバティブ取引所で等価のショート(空売り)ETH無期限先物ポジションと組み合わせることで、USDeの1ドルの価値を維持し、投資家に安定した利回りを提供する。

関連:イーサリアム基盤「Ethena」の収益性を評価=Delphi Labs CEO

予測市場

予測市場は、ユーザーが将来のイベントの結果を推測し、取引するデリバティブ市場の一種。規制や市場に適した製品開発の問題から、他のサブセクターと比べると資本や取引量で見劣りすると言える。

しかし、賭博産業の巨大な市場規模を考えると、分散型予測市場を通じて幅広い分野にわたる投機を可能にするプロトコルに期待する見方も散見される。

今年、予測市場にも変化の波が訪れたようで、TVLは年初から57.7%増加し、過去最高の5.510万ドル(85億7,600万円)に達した。

Polygon上に構築された Polymarket は現在、オンチェーン予測市場をリードしており、年初以来、月間平均取引量は4,200万ドル(65億3,700万円)を超えている(2023年は610万ドル=9.5億円)。また月間アクティブトレーダー数は2023年末の1,600人から3,800人に増加した。

Polymarketは、イーサリアムブロックチェーンとスマートコントラクトを利用した分散型予測市場プラットフォーム。Polymarketではスポーツ、政治、ポップカルチャーなど、さまざまな議論の多いトピックにわたって、将来の出来事を推測することが可能だが、歴史的には特に政治イベントで活況を生み出してきた経緯がある。

前回の米大統領選に関連する市場では、5,000万ドル(77億8,500万円)超の取引高を達成。今年の選挙には、すでに1億2,800万ドル(200億円)超が賭けられているため、Polymarketはこの状況を利用するのに有利な立場にあるとレポートは指摘した。

関連:選挙ベッティングなどの予測市場Polymarket、ヴィタリックなどから70億円調達

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:45
トランプ大統領、イーロン・マスクに対する批判を再び展開、 『大きく美しい法案』巡る対立が再燃
「大きく美しい法案」をめぐり、トランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立が再燃している。マスク氏の痛烈な法案批判に対し、トランプ氏は、マスク氏が率いる企業の政府補助金受給について政府効率化局(DOGE)で調査すべきと発言し、かつて盟友だった両氏の関係は緊迫感を増している。
13:20
アリゾナ州知事、押収仮想通貨の準備基金法案『HB2324』を拒否権行使
アリゾナのホブズ知事が犯罪捜査で押収した仮想通貨管理法案を拒否。地方自治体の協力阻害を懸念と声明。
11:45
パクソス、ステーブルコインUSDGを欧州全域でローンチ サークルとの競争激化
パクソスが米ドル建てステーブルコインUSDGをEU全域で発行開始した。MiCA規制に準拠している。合計30か国に展開しており、ステーブルコイン時価総額ランキングでは15位だ。
11:10
ナスダック上場DeFi Development Corp、1億ドル転換社債発行 ソラナ蓄積戦略を拡大
米初のソラナ準備金戦略企業DeFi Development Corpが1億ドル転換社債の私募発行を発表。調達資金でSOL購入継続、バリデータ運営による複利成長を目指す。
10:50
上場企業のビットコイン購入量24万BTC超えも、価格には反映されず その理由は?
2025年上半期に世界の上場企業が仮想通貨ビットコインを24万5510BTC購入しETF保有数の2倍超。前年同期比約5倍増でマイクロストラテジー戦略が拡散、企業準備金としての位置づけが確立された。
10:30
米SEC、仮想通貨ETFの上場基準を策定か 審査迅速化に期待
米証券取引委員会が、ビットコインなど仮想通貨ETF向けの汎用上場基準策定を検討していると伝えられる。19b-4様式省略により審査迅速化が期待される。
10:20
ETH1万ドル到達は『義務』と表明、イーサリアムに新組織誕生
仮想通貨イーサリアムに、イーサリアムコミュニティ財団という新たな組織が誕生。公式サイトで、イーサリアムの価格に特化した組織であると説明している。
07:55
NYSE上場DDCが760億円調達完了、ビットコイン準備金戦略を本格始動
アジア食品ブランド運営のDDC EnterpriseがNYSE上場企業として最大規模の仮想通貨専用資金調達を実施。Anson Fundsらから総額5億2800万ドルでビットコイン準備金構築へ。
07:25
XRP戦略推進へ、ナスダック上場のWebusが1億ドル調達合意
ナスダック上場のWebusがリップル・ストラテジー・ホールディングスと1億ドルの資金調達契約を締結。仮想通貨XRPを活用した事業戦略推進により株価が日中130%上昇も最終的には8%反落。
07:15
「ビットコインが25年に20万ドルへ到達するとの予測は維持」Bitwise
仮想通貨運用企業Bitwiseは、2025年の10の予測に対する中間評価を公開。ビットコインが20万ドルに到達するとの予測は維持することなどを記載した。
06:50
ストラテジーのビットコイン循環戦略、NAV超プレミアムを正当化か=TD Cowen分析
ストラテジーの株価は純資産価値(NAV)を大きく上回って推移。継続的な株式発行が1株あたりのBTC保有を押し上げる構造が、投資家の注目を集めている。アナリストはその持続性とリスクに着目している。
06:12
ビットコイン利確が加速 第3四半期は過去最弱の季節性=アナリスト分析
仮想通貨ビットコインの利確が進む一方、市場は方向感に欠ける展開。第3四半期は過去最弱の季節性もあり、アナリストは地政学リスクや米金融政策の不透明感に警戒を示している。
05:50
トランプ大統領の「大きく美しい法案」上院可決も、仮想通貨少額免税案は見送り
トランプ政権が推進する大型予算法案に、仮想通貨の少額免税や報酬課税見直しの修正案は含まれず。ルミス上院議員は今後の再提出を示唆し、業界団体もロビー活動を継続する構え。
05:37
米SEC、ビットコインやXRPに投資するグレースケールの仮想通貨ファンドETF化を承認
米証券取引委員会(SEC)は、グレースケールのバスケット型ファンドのETF転換を加速承認。構成資産の約8割をビットコインが占めており、今後の仮想通貨ETF全体に追い風となる可能性も。
07/01 火曜日
16:00
UXLINKが実現目指すWeb3の大衆化、CEOが語る成長戦略|WebXスポンサーインタビュー
5500万人のユーザーを擁するWeb3成長支援プラットフォーム「UXLINK」。WebX 2025への参加を控え、同社CEOが日本市場への期待を述べた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧