6/29(土)〜7/5(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週、6/29(土)〜7/5(金)の仮想通貨相場の仮想通貨相場週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は下値を模索する展開を繰り広げ、5日正午時点でおよそ4ヵ月ぶりに900万円を割り込んでいる。
BTCは今週、1000万円周辺から取引を始め、週前半は底堅い推移を維持していたが、ドイツ政府のBTC売却の思惑や、Mt.GoxのBTC・BCH弁済開始が警戒され、週央には1000万円を割り込んだ。
その後も上値の重い展開が続き、4日にはMt.Goxが少額のテスト送金をしたことが嫌気され、相場は950万円を割り込むと、5日東京時間には実際に4.7万BTCの送金が確認され、ついに900万円を下抜けた。
Mt.Goxの再生管財人が所属する事務所は、6月25日に7月はじめからのBTC・BCH弁済開始を発表、7月5日には正式に弁済開始の発表があった。
BTC相場はこの弁済開始を警戒する形で安値を広げ、ドル建てでは高値レンジ下限や下降チャネル下限を割り込む展開となっており、2月〜3月の上げ幅をさらに縮小している(第2図)。
高値レンジ下抜けによる失望売りが目先の相場をさらに下落させる懸念もあるものの、「10年越しのMt.Gox弁済による売り圧力」という材料が消化されることには、「いつ始まるかわからない」というワイルドカードが消滅するというポジティブな側面もある。
また、相場に実際にどれほどの下押し圧力がかかるかは未知数であり、市場が過度に警戒していたとなれば、警戒感の巻き戻しから相場の速やかな復調が期待される。
Mt.Goxのコールドウォレットには、約14.3万BTC(約1.25兆円)が保管されており、5日にはその内の4.7万BTC(約4112億円)が移動された。
これまでの米国の現物ビットコインETFへの累積純流入額が146億ドル(約2.3兆円)と考えれば、その半分近くが市場に放出される訳だが、総資産運用額の518億ドル(約8.34兆円)と比較すれば1/4以下となる。
また、弁済されたBTCの全てが市場で売却されるとは限らず、Mt.Goxのマルク・カルプレス元CEOは市場の懸念の方が「実際のイベントよりインパクトを与えている」とも語っていた。
オプション市場でも、意外にもアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)プット(権利行使価格が原資産価格より低いプットオプション)を積極的に物色する動きは確認されず、相場の暴落を織り込んでいるという印象は薄い(第3図)。若しくは、上述で指摘したように、「材料消化からの速やかな復調」を見込んでいる格好か。
いずれにせよ、弁済は依然として始まったばかりで、相場の下値リスクには引き続き注意したい。
ただ、米国ではインフレの鈍化や景気の減速を示すデータが出ており、FRBによる9月の利下げ着手への期待が上昇している。Mt.Goxの弁済をこなせばアク抜け感もでて市場の関心はFRB動向に向かうと指摘され、BTC相場の弱地合い脱却までもう少しの辛抱か。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:今週のビットコイン相場:需給悪化懸念の急落から反動高 今後の展望は?|bitbankアナリスト寄稿