ステーブルコイン発行を検討
DMM.comとDMM Crypto、Progmat社の3社は23日、改正資金決済法に準拠したステーブルコインの発行に向けた共同検討を開始したことを発表した。
この独自ステーブルコインは、まずはDMMグループが構想しているデジタル経済圏「Seamoon Protocol」において活用することを計画。独自暗号資産(仮想通貨)「Seamoon Protocol(SMP)」と合わせて活用して、トークン経済圏の拡大やSMPの価値上昇を目指す。
ステーブルコインとは
価格が常に安定するように設計された仮想通貨のこと。法定通貨または仮想通貨に価値が裏付けられていたり、アルゴリズム等で価格を安定させたりする様々なステーブルコインが開発されている。
▶️仮想通貨用語集
関連:国内ステーブルコイン解禁の影響は?|WebXレポート&インタビュー
Seamoon Protocolのプロジェクトは、独自トークンを利用したデジタル空間で新たなエンタメ体験を提供することによって、真の価値をもたらす持続可能な経済圏を構築することを目指している。
公式サイトのプロダクト欄では、ファンタジーRPGの「かんぱに☆ガールズ RE:BLOOM」やNFTバトル×ライブレース「コインムスメ」などを紹介。Seamoonとは日本語で「海月(くらげ)」を意味し、その中でも不老不死と言われる「ベニクラゲ」をモチーフとしているという。
この経済圏において、SMPとは別にステーブルコインを発行する目的は、仮想通貨には価値が安定しづらいというデメリットがあるからである。今回は、ステーブルコインを準備金として活用できないかを検討することで、この安定性を補って、経済圏の発展と安全を同時に実現できないかを探っていく。
今後の流れは、3段階に分けてステーブルコインの活用を進めていく予定。SMPの価格安定化と経済圏発展を目指すフェーズ1の後は、フェーズ2でDMMグループ企業間の決済手段としての活用などを行って、利用シーンを拡大する。
その後、フェーズ3ではホワイトリスト登録済みの取引先企業間の決済手段としての活用や、本人確認済みのユーザー(ゲームプレイヤー等)による決済手段としての活用などを行って、決済手段としての普及まで視野に入れていると説明した。
これから、2024年度内のステーブルコイン発行を目指し、テストネット上で発行・検証を始めていくとしている。
関連:野村とGMOが提携、日本でのステーブルコイン発行を検討
運用基盤
今回の共同検討では、様々なステーブルコインを発行するためのインフラ「Progmat Coin(プログマコイン)」を活用する。このインフラを開発するProgmat社は、昨年10月に三菱UFJ信託銀行が分社化した企業だ。
Progmat Coin自体はブロックチェーンではなく、構造的にはブロックチェーンの上の層に位置する。役割は、ブロックチェーン上のデジタルアセットを取り扱う参加組織と、各ブロックチェーンとの間をつなぐことである。
今回のステーブルコイン発行では、イーサリアムに加え、複数のブロックチェーンへの拡張を想定しているという。
Progmat Coinに関する最近の取り組みでは今年5月、Progmat社とDatachain社が、ステーブルコインの提供および運用資産残高(AUM)の最大化に向け、協業することを発表していた。
従来からのマルチチェーン/クロスチェーン展開に加えて、ステーブルコインのコントラクト開発およびグローバルマーケットでの事業開発を、両社で推進すると説明した。
関連:Progmat 社、ステーブルコイン事業協業によるスマコン開発と複数BC間の移転取引成功を発表