デジタル通貨の普及へ
デジタル通貨関連企業のディーカレットホールディングスは12日、合計13社を引受先とする第三者割当増資により、総額63億4,900万円の資金調達を実施したことを発表した。
同社は、デジタル通貨「DCJPY」を提供するディーカレットDCPの親会社。今回の調達を機に、事業基盤を強化して事業展開を加速し、多様な分野でDCJPYの活用を実現できるように、積極的な取り組みとパートナーシップの推進を続けていくとしている。
資金調達の背景にあるのは、近年デジタル決済の実用化が進んでいること。今回の発表では「中央銀行デジタル通貨(CBDC)、トークン化預金、ステーブルコインなどを利用したデジタル決済について、世界各国で検討されていた取り組みが徐々に実用化フェーズに移りつつある」と説明した。
CBDCとは
「Central Bank Digital Currency」の略で、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCはデジタル上の法定通貨であること。
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このような状況の中、DCJPYも商用化第1弾として8月から、環境価値のデジタルアセット化と決済取引をスタートしていると説明。そして、今後は公募自己募集型デジタル証券やDAOファントークンサービスなど、新たな経済圏の創出に向けて取り組んでいくとしている。
他にも、既存の経済圏と連携して事業領域を拡大していく計画があるとして、今回の資金調達を実施したと背景を説明した。
第三者割当増資とは、企業が特定の第三者に新株を割り当てて資金調達すること。今回出資した企業は、筆頭株主のインターネットイニシアティブをはじめ、以下の13社である。
DCJPYとは
DCJPYは、ステーブルコインではなくトークン化預金。銀行預金にブロックチェーン技術を応用し、トークン化してデジタル通貨にしている。
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商用化第1弾の環境価値の取引は、先月28日に発表。この取り組みでは、ディーカレットDCPが「DCJPYネットワーク」というシステムを提供しており、非化石証書のような資産をデジタル化して、DCJPYで決済を行っている。
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ディーカレットホールディングスは今回「DCJPYは単なるデジタル上での決済だけではなく、ビジネスの高度化や業務量削減による省人化など、多様なニーズに対応可能なビジネス、経済のDXを実現するサービスである」と説明した
DCJPYの利用にあたっては、ディーカレットDCPが電子決済等代行業者であるため、企業は決済関連の金融ライセンスの取得・登録をせずに、DCJPYを送金することができるという。
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