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HBOのサトシ・ナカモト推測に批判の声 ビットコイン発明者を探る米特番

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

HBOのサトシ・ナカモト推測に批判の声

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の発明者サトシ・ナカモトの正体を探るHBOのドキュメンタリー「マネー・エレクトリック:ビットコインの謎」が8日に放映され、物議を醸している。

番組はビットコインコア開発者のピーター・トッド氏をサトシ・ナカモトと推測したが、証拠不足や調査の不十分さを指摘する声が業界内外から上がっている。

HBOドキュメンタリーの制作者カレン・ホバック氏は、ビットコインコア開発者のピーター・トッド氏をサトシ・ナカモトと推測する根拠として、主に2つの情報源を挙げている。1つは、トッド氏が残したとされるチャットログの内容だ。

問題のチャットログでトッド氏は「自分のビットコインを犠牲にすることにかけて、世界有数の専門家」と自称し、「私はそうした犠牲を一度だけ行ったことがあり、手作業で行った」と述べている。ホバック氏はこの発言を、トッド氏が「自身が保有するビットコインへのアクセス能力をみずから断ち切った」証拠だと解釈している。

背景には、サトシ・ナカモトが保有していると推定される約100万BTCが、ビットコイン誕生以来ほぼ動かされていないという事実がある。サトシが意図的にアクセスを断ったか、鍵を紛失した可能性、あるいはサトシの死亡説までも生んでいる。

もう1つの根拠は、ビットコイントーク(フォーラム)での投稿だ。ホバック氏は、トッド氏がサトシのアカウントを使って議論を始め、誤って自分の実名アカウントで終わらせた可能性があると推測している。

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番組に対する反応

HBOの推測に対し、ビットコインコミュニティから厳しい批判の声が上がっている。多くの業界関係者は、この推測がサトシ・ナカモトの匿名性の重要性や、その選択の理由を十分に考慮していないと指摘。さらに、証拠の薄弱さや調査の不十分さを理由に、推測の信憑性に疑問を投げかけている。

サトシ・ナカモトは2010年12月12日にビットコイントークフォーラムで最後の公開投稿を行い、その約4ヶ月後の2011年4月23日に開発者マイク・ハーン宛のメールで「私は他のことに移った」と述べて実質的にプロジェクトから離脱。結果的にビットコインの分散性と中立性を強化し、個人への権力集中を防ぐ重要な役割を果たしたとされている。

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推測の対象となったピーター・トッド氏本人も、この主張を否定している。トッド氏はSNS上で「私はサトシではない」と明確に述べ、さらに「この推測は馬鹿げている」と批判。「このシーンをドキュメンタリーに盛り込み、それをビットコイン愛好家たちが見たら面白いことになるだろう」と皮肉を込めて評した。

さらに、タイム誌のアンドリュー・チョウ記者がトッド氏に対して行ったEメール取材では、トッド氏はより詳細に自身の立場を説明。

HBOの推測を明確に否定するとともに、自身がビットコインを知ったのはホワイトペーパーを読んだ後であることを強調した。また、番組制作者が自身の過去の同僚や知人に確認を取るなどの基本的な調査を怠っていたことも指摘している。

他のサトシ候補者

ドキュメンタリー放映に先立って、分散型予測プラットフォーム「ポリマーケット」では、「ドキュメンタリーで誰がサトシと特定されるか」をめぐり賭けが行われ、2,000万ドル(約30億円)以上の取引高を生み出している。

この市場では、サトシの最有力候補として、レン・ササマン氏、ニック・サボ氏、アダム・バック氏、デビッド・クライマン氏などが挙げられていた。トッド氏はポリマーケットでは候補になっていなかった。

ビットコインの生みの親であるサトシは2010年12月に姿を消しており、それ以来、サトシの正体は突き止められていない。サトシは時価680億ドル(約10兆円)相当にあたる110万ビットコインを保有していると推定されるところだ。

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ポリマーケットで名前が挙がっていたササマン氏は2011年に自殺しており、サトシと同様のイギリス英語を使用していたことや、妻のブログ投稿の内容などから、有力候補の一人とされてきた。

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