- gumi社長の國光氏:今後の仮想通貨・ブロックチェーンの将来を語る
- 「日本のテック企業のブロックチェーンに対する取り組み」と題したパネルディスカッションにて、gumiの社長である國光 宏尚氏は、仮想通貨・ブロックチェーンの将来予想をITの発展になぞらえ言及した。今後様々なフェーズを経て仮想通貨・ブロックチェーンは世界を変えるようなものになっていくだろうとの見方を示した。
今後の仮想通貨・ブロックチェーンの将来とは
11月19日、20日に、技術面に焦点を当てた国際ブロックチェーンカンファレンス「Node Tokyo 2018」が、東京ミッドタウン日比谷で開催された。
本日行われた「日本のテック企業のブロックチェーンに対する取り組み」と題したパネルディスカッションにて、gumiの社長である國光 宏尚氏は、仮想通貨・ブロックチェーンの将来予想をITの発展になぞらえて言及した。
仮想通貨バブルは崩壊したものの、ITバブルの際も、中身がない状態で期待値のみが上がり、バブルは崩壊したが、結果的にナスダックなどはバブルのピーク時の倍以上になったという。
バブル最中にあった会社は無くなったものの、その焼け野原から、GoogleやFacebookのような世界的大企業が生まれてきた。
投資している際も、去年や今年の前半はまともな事業計画がほとんどなかった。けれども今は、真っ当なチームが真っ当なプロジェクトで、適切な金額を集めて、しっかりとしたプロダクトに打ち込んでいるケースが増えてきた。
ようやくマーケットは投機的なところから、ちゃんとしたスタートアップ的なフェーズになってきているため、期待値は膨らんできた。
このように実際にブロックチェーンに携わる国光氏は、ブロックチェーンの将来性への期待感をあらわにした。
その上で、今後ブロックチェーンは、以下の4つのフェーズを経て、大きく世界を変えるとした。
第1フェーズ:機関投資家の参入
SECの規制問題がはっきりし、カストディサービスなどが整い、機関投資家が仮想通貨市場に資金を投入できるようになるフェーズ。
一つの象徴として「ビットコインのETF」などがあるが、海外のファンドもほとんどがファミリーオフィスなど富裕層のみを扱っている状態で、今は機関投資家が入れない状態となっている。
國光氏は、「このフェーズが、半年以内に確実にくるだろう」と断言した。
第2フェーズ:dAppsなどのアプリが出現する
今ブロックチェーンのスケーラビリティ問題や、メインチェーンのスケーリング、サイドチェーンのスケーリングなど課題が山積しているが、それら問題が徐々に解決し始め、dAppsといった一般ユーザーが使えるアプリケーションが世に出てくるフェーズ。
このフェーズでは、dAppsへの期待感から一瞬値上がりするものの、ここで「分散システムを用いると、まともなアプリケーションにならない」といった感想を抱く人々が増え、この反発でもう一度下落するといったことが起こり得るとのことだ。
第3フェーズ:大手企業の参入
グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾンのようなネット大手がコントロールするブロックチェーンが出てくるフェーズ。
この段階にくると、iPhoneやアンドロイド、クレジットカード決済などにまでブロックチェーン技術が組みこまれており、しかもサクサク動くなどUXが大幅に向上し、一般ユーザーがdAppsを使える状態となり、ブロックチェーン技術が大衆に理解されるフェーズ。
同氏は、この第3フェーズに「ブロックチェーン花盛りの時代が来る」とユーモアを交えながら言及した。
第4フェーズ:分散化重視
第4フェーズは、ブロックチェーンが誕生したきっかけである「分散化」が重要視されるフェーズ。
今からおよそ7〜10年経た段階で、中央集権化されたアプリケーションと殆ど変わらないスピードでサクサク動く分散アプリケーション(dApps)が出来上がり、そのタイミングで中央集権的なものが否定される雰囲気が生まれ、dAppsへのシフトが起こる。
同氏は実際にアプリ開発をする中で、エンドユーザーにとっては「分散・非分散」といったところに関心がないと感じるという。
となると、dAppsが既存のアプリケーションと使い心地が変わらないほど発展しても、dAppsにシフトすることは難しい。
そこで重要になるのが、空気感だとした。
これについて、同氏は以下のように発言している。
例えば、今世界中でプラスチックでできているストローは、環境に悪影響として利用が減少しているが、プラスチックを紙に変えても森林伐採が進むのではないか、など様々な疑問が浮かぶ。
それでもプラスチックが悪影響だとする意見が広まるのは、感覚的な「空気感」でしかなく、これと似たような現象がブロックチェーン業界でも起きるだろう。
現在の仮想通貨市場では、全面的に価格が急落しているものの、今後ブロックチェーンはITのように様々なフェーズを経て成長していくだろうと國光宏尚氏は肯定的な見立てを明らかにした。