ベセント氏が有力候補
米国のドナルド・トランプ次期大統領の政権移行チームは、財務長官の有力候補に、暗号資産(仮想通貨)に肯定的なスコット・ベセント氏の名前を挙げている。ブルームバーグなどが報じた。
スコット・ベセント氏は、投資会社キースクエアグループの創設者兼CEOで、トランプ氏の主要経済顧問を務め、選挙運動の資金調達を支援してきた人物だ。
FoxBusinessのエレノア・テレット記者によると、ベセント氏は最近次のように発言している。
次期大統領が、仮想通貨を受け入れていることを嬉しく思う。共和党によく適合すると思う。仮想通貨は自由に関するものであり、仮想通貨の経済圏は今後も存続するだろう。
この他にも、7月にトランプ氏が米国政府がビットコインを戦略的準備金にすることを提案した際には「ビットコインにはあらゆる可能性があると思う」と評価。その最もエキサイティングな点の1つは、「若者やこれまで市場に参加したことのない人々を引き込むことだ」と話していた。
トランプ氏は、法執行による押収で米国が保有している約20万枚のビットコインをそのまま保持し、戦略的準備金に充てることを提案していた。
また、シンシア・ルミス上院議員も、米国政府が一定期間内に100万枚のビットコイン(時価13.6兆円相当)を取得するという内容の「2024年ビットコイン法」を提出している。
もしベセント氏が財務長官に指名された場合には、こうした提案の実現に向けて前向きに取り組む可能性がある。
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他の財務長官候補者
他の財務長官候補の一人は、億万長者でトランプ氏支持者のジョン・ポールソン氏だったが、「複雑な財務上の義務」のために、トランプ政権で役職に就くことはできないと辞退している。
また、米金融大手キャンター・フィッツジェラルドのハワード・ラトニックCEOや米証券取引委員会(SEC)の委員長を務めた経歴のあるジェイ・クレイトン氏、以前のトランプ政権で通商代表を務めていたロバート・ライトハイザー氏などの名前も浮上しているところだ。
分散型予測市場ポリマーケットでは、現在88%がベセント氏が任命されると予測している。ラトニック氏は5%、ライトハイザー氏とクレイトン氏はそれぞれ2%の票にとどまり、ベセント氏が他を引き離している格好だ。
ロイター通信によると、ベセント氏は先週後半に、同氏の邸宅でトランプ氏と会談した。匿名の情報筋は、二人の会談が「非常に前向き」だったと述べている。
他に、仮想通貨コミュニティから注目されているのは、次期SEC委員長の行方だ。現在のところ、有力候補は仮想通貨・株投資プラットフォーム「ロビンフッド」のダン・ギャラガー最高法務責任者だ。
ギャラガー氏は、仮想通貨を厳密に証券として分類するのではなく、新たな資産クラスとして扱うことを提唱。仮想通貨に寛容な立場を取っている。
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