機関投資家の関心と市場センチメント
スイスとシンガポールに拠点を置くデジタル資産銀行Sygnum(シグナム)は14日、機関投資家およびプロ投資家を対象とした年次調査結果を発表。回答者の57%が長期的に暗号資産(仮想通貨)への配分を増やす予定で、投資家のリスク志向と仮想通貨への信頼の高まりが明らかになった。
📣 News: High-Risk Appetite and Long-Term Confidence Drives 57% of Institutional Investors to Raise Crypto Allocations: Sygnum Future Finance Survey
— Sygnum Bank (@sygnumofficial) November 14, 2024
▪️ 57% of institutional and professional investors plan to increase long-term crypto allocations, demonstrating their high-risk… pic.twitter.com/fFHsz2cpyq
シグナム銀行による「金融の未来」(Future Finance)調査は、銀行やヘッジファンド、ファミリーオフィス、資産運用会社など平均10年以上の投資経験を持つ27か国、400人以上の専門家を対象に実施された。
この調査は仮想通貨市場で活動する投資家の根本的関心や、市場センチメントと行動を評価・分析するもので、機関投資家の新たなトレンドや感情の変化に焦点を当てている。
同行のMartin Burgherr最高顧客責任者は、「2024年は、仮想通貨とそのエコシステムにとって新たな進展と重大な分岐点となる年だった」と語る。
中でも米国でのビットコイン現物ETFの承認と発売は、最も重要な影響を与えた要因の一つであり、機関投資家による仮想通貨の採用を加速させる可能性があると指摘。調査レポートは、「市場の動向を把握するとともに、仮想通貨市場に参入する機関投資家の次の波のセンチメントと計画のプレビューとなるものだ」と述べた。
なお、回答者の3分の1は、シグナム銀行の顧客と投資家で、63%は自身のリスク許容度が高いと評価している。
投資戦略
回答者の半数以上が、すでにポートフォリオの10%以上を仮想通貨で保有している。
投資の戦略としては、複数の仮想通貨に分散投資するのではなく、単一の仮想通貨を購入して保有する単一トークン投資を44%の回答者は好む。アクティブに管理されたエクスポージャーが、40%でそれに続く。
57%が仮想通貨への配分を増やす予定で、31%が次の四半期に、32%が今後6か月以内に増やす予定と回答。配分を減らすと回答したのは5%にとどまった。
また、約46%は6か月以内に仮想通貨への配分を増やすことを検討している一方、36%は現状を維持しつつ、市場参入に最も適した時期を見極める予定だという。
仮想通貨投資の最大の動機は、「仮想通貨投資の大きな流れに乗ること」が62%、ポートフォリオの多様化が52%、資金の安全な避難先またはマクロヘッジへのアクセスが45%だった。
投資分野
仮想通貨の中で、最も投資の関心が高かった投資分野はレイヤ−1ブロックチェーン(76%)で、ビットコインやソラナをはじめとするスケーラブルなプロトコルの成長に後押しされているとレポートは評価した。
2位には、分散型物理インフラネットワーク(DePIN)とAIの成長に後押しされたWeb3インフラ(55%)が、魅力的な投資分野として浮上する一方で、分散型金融(DeFi)は、規制上の課題やセキュリティへの懸念から、関心が低下し33%となった。
最も魅力的な投資商品は、トークンへの直接投資(72%)だが、米国のビットコインおよびイーサリアム現物ETFのローンチに伴い、ETP/ETF の需要が上昇した(47%)。
2023年には不動産が最も人気のあるトークン化資産だったが、今年は7位に転落。トークン化された株式 (44%)、社債(41%)、投資信託(40%)の人気が高まっている。
市場の見通し
2024年第3四半期のマクロ経済の不確実性や、ドイツに倣って米国政府が押収されたビットコインを売却するという噂、および地政学的緊張の高まりにより、回答者の43%が、短期的には中立的な市場センチメントを抱いていることがわかった。
一方、回答者の56%が1年以内に強気になると考えているが、中にはビットコインが最近史上最高値に達したため、すでに中立から強気へと転じた人もいると思われる。
また、回答者の71%が、ビットコインやイーサリアムETFによって、この資産クラスへの信頼が高まったと回答。約30%は、仮想通貨が従来の投資よりも優れていると回答した。
参入障壁
これまで、厳格な受託者責任と投資の権限、および適切に規制された仮想通貨カストディアンへのアクセスの制限が、仮想通貨投資を検討する投資家にとって主な参入障壁となってきた。
しかし、調査では69%の機関投資家が、規制の明確さが高まっているとの認識を示した。現在は、資産のボラティリティ(43%)やセキュリティとカストディに関する懸念(39%)が、主要な参入障壁と捉えられている。
なお、回答者の81%が、より良い情報にアクセスできれば、配分を増やすことを検討するだろうと回答。これは、投資家が規制問題から、市場特有のリスク、戦略的計画、テクノロジーの綿密な調査に関心を向け始めている可能性を示唆しているとレポートは説明した。
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