米国政府のビットコイン備蓄に反対
米ニューヨーク連銀のビル・ダドリー元総裁は、ドナルド・トランプ次期政権によるビットコイン(BTC)準備金構想を批判した。ブルームバーグに6日、オピニオン記事を発表している。
ダドリー氏は、ビットコインの持つ良い特性としては、「銀行など仲介機関に依存することなく、どこにでも誰にでも送金できること」や、「ポートフォリオに加えれば、分散効果が得られる可能性」を指摘した。
一方で、米国政府が戦略的にビットコインを備蓄することには反対している。政府にとっての価値を生み出すことはなく、インフレーションにもつながりかねないとした。
また、ビットコインは株式のように配当などの利益を生み出さず、投機的で不安定だとも指摘している。ビットコインの購入資金を借金や貨幣増刷により賄えば、国家債務が増加したり、インフレが悪化することになるとも続けた。
トランプ氏は選挙キャンペーン中の7月、米司法省が保有する約21万BTC(時価3.1兆円相当)を売却せず、国家戦略的な備蓄に充てることを提案していた。
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また、共和党のシンシア・ルミス議員は7月末、米連邦準備銀行(FED)が戦略的準備金としてビットコインを保有することを定める法案「2024年ビットコイン法」を上院に提出している。
ルミス氏は、ビットコインによりインフレ率上昇や、国家債務の増加などに対応できると論じていた。財源としては、昔の価格で算出されているとみられる米国政府の金(ゴールド)準備金の価値を現在の価格に基づいて再評価し、その値上がり分を購入資金に充てることを唱えている。
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規制や法律の整備を提案
ビル・ダドリー氏は、トランプ新政権はビットコイン準備金を創設する代わりに、仮想通貨関連の規制や法律の整備に取り組むべきだと意見している。
具体的には仮想通貨トークンが通貨なのか有価証券なのか、誰が規制するのかを法的に定義することや、消費者を保護し、テロ資金調達などの犯罪行為への使用を禁止するためのルールを策定することを挙げた。
トランプ新政権では、議会で仮想通貨規制を明確にする「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」(FIT21)などの議論が進むことも期待されている。
FIT21は、イノベーション促進と消費者保護の強化を両立させるものであり、米商品先物取引委員会(CFTC)に仮想通貨の監督に関する追加権限を付与することも盛り込むものだ。近年、CFTCの方が、SECよりも仮想通貨に寛容な姿勢を示してきた傾向がある。
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州のビットコイン備蓄構想
米国政府のビットコイン準備金について、まだ成立可能性は不明であるものの、米国内のいくつかの自治体でも、準備金構想が浮上しているところだ。
例えば、フロリダ・ブロックチェーン・ビジネス協会のサミュエル・アームズ氏はデサンティス知事など、州がビットコイン準備金を持つことを支持してくれそうなメンバーがフロリダ州には複数おり、関連法案を後押ししたいと述べた。
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