CFTCの権限拡大を検討か
ドナルド・トランプ次期政権は、商品先物取引委員会(CFTC)による暗号資産(仮想通貨)の監督権限を拡大したいと考えている。実現すれば規制明確化につながる可能性もある。FOXビジネスが報じた。
情報筋は、トランプ氏が大統領に再選し共和党の影響力が高まっていることを背景に、CFTCの権限がビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など商品(コモディティ)とみなされる仮想通貨の現物市場や、それらの取引を仲介する取引所の規制にまで拡大する可能性があると話している。
もしCFTCが現物ビットコインや取引所の監督権限を得た場合、CFTCは詐欺や価格操作を取り締まるための追加資金を入手することも考えられる。
現在、米証券取引委員会(SEC)が証券とみなされる仮想通貨を規制し、CFTCは商品とみなされる仮想通貨の規制を担当しているところだ。
この両機関の間ではこれまで水面下で管轄権限争いが存在してきた。例えば、ロスティン・ベーナムCFTC委員長は2023年12月、「仮想通貨トークンの多くはコモディティだ」と述べている。多くのトークンを証券とみなすSECとは対照的な姿勢を示した。
また、ゲンスラーSEC委員長が仮想通貨については現行の規制で充分だとする一方、ベーナムCFTC委員長は、「規制体制に不足がある」と意見し、それを解決する立法に期待する姿勢を示していた。
CFTCも仮想通貨企業に対する法的措置を行っているものの、一般的にSECよりは仮想通貨に融和的とみなされている。また、ベーナム委員長は明確なルール作りへ賛同する姿勢も示していた格好だ。
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最近の執行では、CFTCは9月に分散型取引所(DEX)ユニスワップと和解。ユニスワップの扱うレバレッジトークンは、契約市場として未登録だったことを問題視していた。
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FIT21法案の成立なるか
米国では、仮想通貨規制を明確化する法案として「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法(FIT21)」が提出されているところだ。5月には下院を通過した。
この法案は、トークンの証券性について取引を記録する台帳などに基づいて判断するという内容を盛り込んでいる。プロジェクトが充分に分散化されていれば証券とはみなされない形だ。
これまでSECは、証券性を判断するのに1946年の判例に基づく「ハウイーテスト」を用いてきた。これについては、テストを恣意的に当てはめているという懸念や、ブロックチェーン技術に適合する新たな基準が必要だという指摘がある。
仮想通貨に前向きな共和党が上院下院で過半数を占めている状況で、FIT21の成立にも期待が高まっているところだ。
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ハウイーテストとは
米国で行われる特定の取引が、投資契約による有価証券取引に該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. ハウィー社に対する訴訟事件(1946年)に由来する。
法的拘束力はないが、SECはハウィーテストをもとに仮想通貨の銘柄やサービスに対して訴訟を起こしている。具体的には「資金を集めているか」「共同事業であるか」「収益を期待しているか」「収益が他者の努力によるか」を判定するテスト。なお、仮想通貨という新しい資産に、ハウィーテストは適さないという声もある。
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