クレンショー氏は退任か
米国上院の銀行委員会は17日、暗号資産(仮想通貨)反対派のキャロライン・クレンショーSEC委員の再任投票を見送ると発表した。このため、クレンショー氏の任期が延びる可能性は現時点でほぼないとみなされている。
新体制のSECでは仮想通貨肯定派の委員が過半数を占めると見込まれている。
銀行委員会は先週、クレンショー氏をSEC(米証券取引委員会)委員として再任することについて投票を行う公聴会を開催した。しかし、ブラウン委員長によると、共和党が会合に反対したために投票を行うことはできなかった。
上院銀行委員会の補佐官によると、その後18日にも投票が予定されていたものの、共和党の会合妨害のために、ふたたびこれが実施できなくなった格好だ。
自身も仮想通貨反対派として知られるブラウン委員長は先週の時点で、「共和党の上院議員は企業の利益団体の命令に従って、クレンショー氏の承認を妨害している」と苦言を呈していた。
クレンショー氏が、来年のトランプ新政権下で再指名される可能性は極めて低いため、SECを退任することになる確率が高い。
SEC委員は、委員長含めて通常5人で構成される。仮想通貨に批判的だったゲンスラー委員長らも退任が決まり、続投するのは、共和党のヘスター・ピアース氏とマーク・ウエダ氏だ。
また先日、ポール・アトキンス氏がトランプ次期大統領よりSEC委員長に指名されたところだ。この三人はいずれも仮想通貨擁護派として知られている。
5人の委員のうち3人が仮想通貨に肯定的なため、規制面では追い風になることが期待されるところだ。超党派を維持するために、残り2人の委員は民主党から選出されることになる。
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SEC(証券取引委員会)とは
株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。
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再指名反対の声が多数届く
米大手仮想通貨取引所コインベースが立ち上げた「Stand with Crypto Alliance(クリプト支持同盟)」によると、この同盟のサポーターらが、クレンショー氏の再指名に反対するメールを大量に上院議員に送付していた。
5万2,000人が、議員らに合計約10万7,000通のメールを送っていた形だ。投票を阻止した共和党の動きは、こうした要請も背景の一つとしていた可能性はある。
Stand With Cryptoのエグゼクティブディレクター、ローガン・ドブソン氏は「SECの仮想通貨に対する敵対的な姿勢を覆し、米国で仮想通貨の成長とイノベーションの新時代を導くための大きな一歩になった」とコメントした。
また、コインベースの米国政策担当責任者を務めるカラ・カルバート氏は「仮想通貨コミュニティは選挙だけでなく実際の政策にも注目しており、規制当局や議員が、米国民にとって有益な方法で仮想通貨を考慮するようにしている」と述べた。
ドナルド・トランプ次期大統領は、AI・仮想通貨特命官のポストを新設し、ベンチャーキャピタリストでソラナ(SOL)初期投資家のデビッド・サックス氏を任命したところだ。
また、米国政府によるビットコイン保有にも意欲を示しており、今後の動きが注目される。
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