
CryptoQuant分析
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)価格は19日、93,000ドル台まで下落し1ヶ月ぶりの安値を記録。需要と流動性の改善が見られない場合、さらに86,000ドルまで下落する可能性が浮上した。
CryptoQuantの最新の分析によると、ビットコインの需要は2024年11月から12月にかけての米国選挙結果を受けた加速期から一転、著しい低下傾向を示している。12月4日に279,000 BTC(30日総数)を記録した見かけの需要は、現在70,000 BTCまで低下している。

出典:CryptoQuant
米国のETFを通じたビットコイン購入も大幅に減速している。11月初旬に1日当たり18,000 BTCを記録した購入量は、現在マイナス1,000 BTCにまで落ち込んでいる。歴史的にビットコイン価格の上昇はETFの日次購入量の加速と連動しており、現在の購入水準では価格上昇を支える力に欠けている。

出典:CryptoQuant
ネットワーク活動も著しい低下を見せており、CryptoQuantのビットコインネットワーク活動指数は2024年11月の最高値から17%下落し、2024年2月以来の最低水準となっている。特に注目すべきは、2021年7月の中国によるビットコインマイニング禁止以来初めて、365日移動平均を下回る事態となっている。
ステーブルコインからの流動性流入も底打ち感に欠ける状況が続いている。ステーブルコインの時価総額は2,000億ドルを超える新高値を記録しているものの、拡大ペースは大幅に鈍化している。
USDTの時価総額の60日間変化は現在15億ドルにとどまり、12月16日に記録した204億ドルから92%減少。市場関係者からは、ビットコイン相場の回復には新たなステーブルコイン流動性の拡大が必要との見方が出ている。

出典:CryptoQuant
さらに、米国の現物需要も顕著な減速を示している。CryptoQuantのインターエクスチェンジ・フロー・パルスによると、他の取引所からCoinbaseへのビットコインの流入量が減速し、90日移動平均を下回っている。これは価格調整局面を示す指標として注目されているという。
今回の市場分析によると、需要成長と流動性状況が改善されない場合、ビットコイン価格は86,000ドルまで下落する可能性がある。この水準は、トレーダーのオンチェーン実現価格の最小バンドを示しており、2024年7月から9月および2023年10月に支持線として機能していた。
▼ オンチェーン実現価格(用語解説)
[CryptoQuant]が開発した市場指標の一つで、取引所上のビットコイン取引だけでなく、ブロックチェーン上で実際に移動したビットコインの価格を分析して算出される指標。ビットコインが実際に取引された価格の加重平均を表し投資家の損益分岐点や心理的な価格サポートレベルを示唆する。