はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

韓国仮想通貨市場の「価格乖離」に投資家の注目と感心|国内規制状況、プロジェクトまとめ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

キムチ・プレミアムで有名な韓国仮想通貨市場
韓国の国内取引所や仮想通貨関連データを統計した調査書が発表された。昨年末から今年初旬にかけて特に顕著だったキムチプレミアムや価格の乖離に貢献した要因に関する詳細もまとめた。

韓国の仮想通貨市場に関する調査書が公開

フィンテック企業であるCINDICATORが公開したマーケットレポートの中で、ブロックチェーンや仮想通貨の分野での注目市場として韓国を取り上げた。

レポート内では韓国が新技術への積極的な国民性により仮想通貨取引の主要市場とみられていること、様々なブロックチェーン関連プロジェクトも誕生していることや昨年頻繁に注目を浴びていた韓国取引所における価格の乖離(キムチ・プレミアム)について解説している。

主要な韓国の仮想通貨取引所データ

2018年11月22日までの過去30日分のデータによると韓国の取引所の一つであるBithumbは、米ドル建取引において世界最大級の規模を誇っている。

出典:Cindicator

また韓国国内における仮想通貨の取引所は、Upbitが最大であり、Bithumb、Coinone、Korbitと続く。

出典:Cindicator

「キムチ・プレミアム」について|韓国市場での価格高騰とその余波

世界の仮想通貨マーケットにおいて韓国市場が世界市場に与える影響は小さくない。 韓国国内での仮想通貨への需要の高まりは、通称「キムチ・プレミアム」または(「キムチ・スプレッド」)と呼ばれる価格乖離となってあらわれている。

「キムチ・プレミアム」とは、仮想通貨の価格が韓国国内市場において世界的な相場よりも高いことを指し、韓国の伝統食材であるキムチの名前を取って始まった俗称で、韓国国内でも同様の言い回しが使われている

下のグラフはビットコインの対ドル(青線)および対ウォン(赤線)価格を表したもので、「キムチ・プレミアム」は仮想通貨価格が全般的に最も高騰した2017年末から2018年初頭にかけて特に大きくなり、2018年1月8日には最大50%程度まで拡大した。

出典:Cindicator

2017年末から2018年初頭にかけての価格の乖離が特に広がっているのが見て取れ、統計的に見ると「キムチ・プレミアム」は3%から5%の辺りに集中していることが見える。

出典:Cindicator

他国と独自の価格でマーケットが構成される韓国では、他国より高い水準で2017年の世界マーケットを牽引した存在でもあるものの、2018年1月にBithumbが税に関する警察の調査を受けた際には、韓国のBTCの相場が最大21%下落し、世界価格の下落要因の1つにもなったことで、その影響度の高さを示した

現在はこのプレミア価格こそ収束しつつあるが、ハッキング事件以降、特定通貨の入出金を制限するBithumbでは、特定通貨のみ他国水準の数倍で取引されるなど、他国では見られない状況が続いている

「キムチ・プレミアム」が生じた背景には、技術的な観点から仮想通貨が関心を集めた面や、国際送金規制の面でアービトラージが厳しい状況に置かれた点、また投資の機会が限られているという韓国国民の事情も指摘されている。

韓国は1997年のアジア金融危機に代表される過去の様々な金融・財政上の危機により、一般国民の海外への送金が制限されている。これはウォンの価値が激しく変動することを防ぐための措置だが、同時に国民にとっては投資の機会が狭まることも意味する。

韓国政府や韓国の中央銀行に当たる韓国銀行(The Bank of Korea)は、こうした「キムチ・プレミアム」を社会経済上の不安要素として着目している。韓国の金融当局の市場に対する関心は二つの手段として現れる。規制と課税だ。

規制

韓国における規制関連の動きを整理すると以下の通りになる。

日付 韓国政府の動き
2017年9月

金融委員会が実質上ICOを禁止

2017年12月

政府が仮想通貨の匿名取引を禁止

2018年3月

公務員の仮想通貨保持および取引禁止
2018年5月

国会でICO解禁に関する議事が提出

2018年7月

政府がブロックチェーンや仮想通貨の分類を発表 仮想通貨が初めて産業として認定

また、課税については韓国では累進課税制度が採用されている。

韓国の税制は世界の中でも高いほうであり、例えば所得税は最大42%となり、シンガポールの税率と比較するとほぼ倍である。

しかし、一方でビットコインをはじめとした仮想通貨に関する課税は2013年以降全くされていない状況となっている。

こうした背景や、若年層失業率が9.8%と高い点も踏まえると、仮想通貨取引が韓国の若者の間で爆発的に普及したことは驚くに値しない。

現在、仮想通貨の投資による利益は100%投資家のものになり、この状況は2018年11月末時点では変わっていない。

韓国における仮想通貨隆盛の背景:技術投資、新しい物好きの国民性

歴史的に見ると、韓国は朝鮮戦争以後、紆余曲折を経ながらも「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を遂げてきた。近年に入ってからは1997年のアジア通貨危機によって産業構造の転換を余儀なくされ、特にIT業界などに資金や人材が流入してきた。

また世界銀行のデータによれば、対GDPのR&D比率を見ると、韓国はイスラエルに次ぐ世界第2位を記録している。

出典:worldbank

こうした経済的な背景に加えて、新技術に対して積極的な国民性も相まって、近年では様々な新技術が韓国国内で生まれてきた。その一つがデジタル通貨で、Hangameというゲーム内で使われるHancoinといった仮想通貨もその一例だ。

こうした背景を考えれば、世界人口に対して1%も満たない規模の人口(5100万人)にもかかわらず、韓国が世界の仮想通貨の取引の多くを、例えばETHなら韓国の取引量が全世界の30%を占めるという事実は驚くべきことではないのかもしれない。

一部では韓国のサラリーマンの3人に1人が仮想通貨に投資しているという声もある。

ブロックチェーン関連プロジェクト

仮想通貨の盛り上がりと並行するようにして増えているのが韓国発のブロックチェーン関連プロジェクトだ。先日コインポストでは人気アプリ企業カカオのステーブルコインTerraとの提携を報道したが、その他にも以下のようなプロジェクトが注目されている。

プロジェクト名 概要
ICON 異なるブロックチェーン同士を相互連携できるようにするブロックチェーン技術。
Metadium ブロックチェーン基盤の個人情報保護サービス。
MediBloc 脱中央型の健康情報システム
Airbloc 個人情報市場やデータ管理市場向けのブロックチェーンプラットフォーム
Edenchain 企業向け実用型ブロックチェーン
Sentinel Protocol ブロックチェーンによるサイバーセキュリティ
Hycon 高速度、安定性のあるブロックチェーンによるデジタル資産
FuzeX 決済サービス

韓国内における今後の規制

なお、2018年12月の本稿執筆現在、前述のように韓国ではICOは禁止されているものの、仮想通貨への課税はなされていない。

しかしその一方で、洪楠基(ホン・ナムギ)副総理兼企画財政部長官(候補)は、規制や課税に関するインタビュー内で次のように答えた。

仮想通貨への課税、ICO禁止の見直し、取引所の規制などについては国際動向を見て慎重に見極める。

適正な課税のために国税庁、民間専門家等で構成される“仮想通貨課税タスクフォース”が外国での事例などを検討し課税方案を準備中だ。

世界でも圧倒的な取引ボリュームで世界市場に大きな影響を与えてきた韓国の仮想通貨市場で、 大きなインセンティブとなっていた非課税政策の見直しが実施されれば、市場に大きな影響を与えかねない。引き続き、韓国市場の動きを注意深く見守る必要があるようだ。

CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者7,000名突破。

CoinPostの関連記事

韓国財務大臣、銀行と仮想通貨取引所との連携認める公式声明を発表
韓国取引所がセキュリティや資金洗浄など多くの問題を抱える中、韓国の仮想通貨取引所と銀行との提携が進まなかった。しかし韓国財務大臣の公式声明により、銀行と仮想通貨取引所との連携認められた。
韓国大手企業カカオ、LINEに続き仮想通貨ICO実施|340億円相当の資金調達予定
韓国の大手企業カカオが子会社Group XのプライベートセールのICOを通して約340億円の資金調達に成功した。世界的なモバイルアプリを提供する大手企業がアメリカ、日本、また韓国の3カ国で限りなく規制を満たした事が注目点。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/16 日曜日
16:22
金融庁、暗号資産105銘柄の「金融商品」扱いを検討 金商法適用へ=報道
金融庁は暗号資産に金融商品取引法を適用し、交換業者が取り扱う105銘柄に情報開示とインサイダー取引規制を導入する方針。税率は最大55%から株式と同じ20%への引き下げを検討。2026年の通常国会で改正案提出を目指す。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、XRP現物ETFの米上場や世界初のZcash保有企業の91億円調達など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナ、ジーキャッシュといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン、下値余地残すも反発は時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC相場は1530万円周辺で推移。米政府機関閉鎖解除後もハイテク株軟調で上値重い展開。12月FOMC前の経済指標不足が懸念材料に。一方、STH損失レシオが95%超となり売られ過ぎの水準。オプションOI分析では9.5万ドルがターゲットに。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|米史上最長の政府閉鎖終了に高い関心
今週は『金持ち父さん貧乏父さん』著者ロバート・キヨサキ氏によるビットコイン・金・銀の価格予想、堀田丸正のBitcoin Japanへの社名変更、米政府の閉鎖終了に関する記事が関心を集めた。
11/15 土曜日
13:55
続落するイーサリアム、長期保有者が1日4.5万ETH超を売却=グラスノード
グラスノードによると、イーサリアムの3年から10年保有者が1日あたり平均4万5000ETH超を売却している。イーサリアム現物ETFも13日に2億6000万ドルの純流出を記録し売圧を高めている。
13:20
リミックスポイント決算発表、仮想通貨評価益で売上高が大幅増加
リミックスポイントが2025年4~9月期決算を発表した。仮想通貨評価益で売上高が大幅増加している。同社はビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を財務資産として蓄積している。
13:00
Visaアジア太平洋地域デジタル通貨責任者、ステーブルコインの展望を語る|CoinPostインタビュー
Visaアジア太平洋地域デジタル通貨責任者ニシント・サンガヴィ氏がCoinPostの独占インタビューに応じ、ステーブルコイン決済戦略の拡大、CBDCとの共存、米国ジーニアス法の影響について詳しく語った。4つのステーブルコインと4つのブロックチェーンをサポートし、2億2,500万ドル超の決済を実現。今後5年間のアジア太平洋地域におけるデジタル通貨の展望と、Visaが果たす役割について解説。
11:15
テクノロジー大手アリババが預金トークン決済を開発 中国当局のステーブルコイン懸念に対処か
中国アリババが預金トークン決済システムを開発している。当局によるステーブルコイン規制を回避することも背景とみられる。AI活用サービスも発表した。
10:30
ビットコイン急落、45日ルール通過とFOMC利下げ見送り観測で売り圧力が最大化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは足元で強い売り圧力に晒されているが、ヘッジファンドの45日ルール通過により解約売りの終了が期待される。ビットコイン長期保有者が直近1カ月で12兆円相当のBTCを売却したことは心理を悪化させていた。
09:50
トランプ一族関連のアメリカン・ビットコイン、売上高99億円に増加 決算発表 
トランプ一族の仮想通貨マイニング企業「アメリカン・ビットコイン」が2025年7~9月期決算を発表した。前年同期比で黒字転換し、ビットコイン保有量は4,090BTCに到達している。
09:35
ジャック・ドーシーのCash App、ステーブルコイン決済機能を導入
決済アプリのキャッシュアップがステーブルコインの送受信機能を含む11の新機能を発表した。ライトニングネットワークを使用したビットコイン決済機能も拡充している。
08:50
ソニー銀行の米銀免許申請、通貨監督庁にICBAが否認を要求
ソニー銀行が米国で信託銀行の国家免許を申請したことについて、米組織ICBAが強く反対すると表明。通貨監督庁に書簡を送付して反対理由を説明し、ソニー銀行の申請を認可しないように要求した。
07:45
バイナンス、ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」を取引担保として受け入れ
仮想通貨取引所バイナンスがブラックロックの「BUIDL」を取引所外担保として統合した。BUIDLはBNBチェーンで新シェアクラスも立ち上げる。
06:50
ビットマイン、45億円相当のイーサリアムを追加購入 新CEOにHSBC元幹部を任命
ビットマインが3000万ドル相当の仮想通貨イーサリアムを追加購入した。同社は新CEOにHSBCアジアTMT投資銀行部門の元責任者を任命した。
06:25
ビットコイン長期保有者が1カ月で12兆円相当BTCを売却、初期投資家も2400BTCを取引所へ送金
ビットコインの長期保有者が過去1カ月で約81万5,000BTCを売却し、2024年1月以来の高水準となった。初期保有者のオーウェン・ガンデン氏も2400BTC以上を売却している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧