
デジタル資産サミットで講演
米ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)のマイケル・セイラー会長は20日、ニューヨークで開催されたデジタル資産サミット(DAS)で講演し、2025年現在、同氏が最も重要だと考える「ビットコインの21の真実」について語った。
セイラー氏は、ビットコインはイデオロギー(理念)であり、プロトコルであり、また資産でもあるが、同時にネットワークでもあると話し始めた。「イデオロギーがプロトコルを生み、資産を生み出し、それがネットワーク上で循環する」というのが、ビットコイン(BTC)の最もシンプルな説明だと述べた。
ビットコインは「自由か奴隷制か、イノベーションか停滞か、主権か依存か、富か貧困かを問うイデオロギー」であり、サトシ・ナカモトはこの思想に基づいて、プロトコルを作り出した。そして多くの人々はビットコインが資産であるという点に注目するが、イデオロギーとプロトコルという要素を見落としていると指摘した。
ビットコインは、名もないプログラマーが世界への贈り物として生み出した「無原罪懐胎」から始まった。誰も所有権を主張せず、誰にも支配されず、金儲けを期待することもないという特性が、ビットコインを倫理的な存在にしている。また、そのエンジニアリングの卓越性により、人間の腐敗を超えた「完璧な機械」となり、倫理的な優位性を持っていると主張した。(以上が六つの真実)
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デジタル商品という特性
セイラー氏は、ビットコインは発行者のいない「商品」であり、法的に特別な地位を持っていると指摘。商品について意見を述べることは、法的に免責されているため、「ビットコイン価格が20年で1,300万ドル(約19.4億円)になる」という大胆な予測も自由だ述べた。
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商品には「法的優位性、政治的優位性、倫理的優位性、財務的優位性」があり、証券より遥かに優れていると主張。また、商品の中でも価値の保存という面では、ビットコインのみが「人類史上、唯一”ゴミ投資”ではない」と述べた。
ビットコインは「デジタル商品」であるため、光の速さで移動し、AIが分解・再構成でき、コンピュータの速度で世界中に配布することが可能だ。また、2,100万枚の発行上限を設けたことで、インフレを回避し希少性を保つことできる。2%のインフレ率の場合、その資産の経済的半減期は36年だが、0%であれば無限となるとセイラー氏は説明し、天才的エンジニアのサトシ・ナカモトが生み出した「21世紀の奇跡」と呼んだ。
さらに、米国で戦略的ビットコイン準備金に関する大統領令が発せられたことにより、ビットコインの「デジタルゴールド」としての地位は強固なものとなった。金は人類の歴史の中で、富や繁栄を象徴してきたが、セイラー氏は現代ではデジタルであることが、アナログの10倍の価値を持つとの独自の見解を持っている。そのため、金市場が20兆ドル(約3,000兆円)であれば、単なるデジタルゴールドとしてのビットコインの価値は200兆ドル(約3京円)に達すると主張した。
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しかし、ビットコインは単なるデジタルゴールドには止まらない。ビットコインはデジタルマネーであり、インフレの影響を受けない、現代における「完璧なお金」を体現しているとセイラー氏は述べた。(以上が次の六つの真実)
正当性と企業との親和性
セイラー氏は、ビットコインの正当性は、特に米国政府による戦略的なビットコイン準備金の設立によって確固たるものになったと主張した。さらに、国家備蓄資産として保持されるという事実は、ビットコイン(BTC)の価値を強調することになり、徐々に世界の認識を変えていくことに繋がる。
ビットコインは上場企業の資本構成にも重要な意味を持つ。ビットコインで資本を構成することが可能であり、現在、約80社がビットコインをバランスシートに組み入れている。今後、その数は数百社になると予想され、数兆ドルの資本がデジタル資産経済に流入するだろうと、セイラー氏は述べた。
また、同氏はビットコインの比類のないグローバルなアクセス性を強調。アップル株や土地、芸術品などの資産とは異なり、ビットコインは容易に国境を越えるため、経済関係を世界各地を広げる真にグローバルな資産であると言える。
さらにセイラー氏は、ビットコインは何千年も存続できる唯一の資産であると述べた。劣化する倉庫や修復が必要な芸術作品などの物理的な資産とは異なり、ビットコインは腐敗せず、時代を超越している。「ビットコインの美しさは、世界のお金の2100万分の1を永遠に買うことだ」と同氏は述べた。(以上が次の四つの真実)
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デジタルエネルギーとネットワーク
さらに、セイラー氏は、ビットコインはデジタルエネルギーであり、その基本単位であるサトシを有機エネルギーのカロリーに例えた。カロリーが物理世界の生命の燃料となるように、サトシはサイバースペースに生命をもたらし、AIシステムに力を与えるために必要なエネルギーだと述べた。
また、ビットコインはデジタルエネルギーであると同時に、デジタルエネルギーのネットワークでもある。そのネットワークを介して、エネルギーを世界中に移動させる。そして、そのネットワークは、デジタル経済システムとして機能し、世界中で瞬時に柔軟な取引を可能にしている。
さらに、ビットコインの強力なエネルギーネットワークとしての特性を考慮すると、ビットコインは、デジタル防衛システムとしても機能するとセイラー氏は主張する。マイニングやハッシュネットワークといった「デジタルパワーネットワークを支配することは、エネルギーと資本の移動を支配すること」であり、超大国であるためには、空域や宇宙だけでなく、サイバースペースの支配が必要不可欠だと述べた。(以上が次の四つの真実)
新たな太陽系
セイラー氏は最後に21番目の真実として、ビットコインを新たに出現した太陽系に例え、金融の宇宙において最も明るい存在だと述べた。
この「ニュートン的ネットワーク」は、磁場を形成し、エネルギーと資本を引き寄せる。「資本とエネルギーが流れ込めば流れ込むほど、重力場は大きくなる」ため、軌道上にある誰もが軌道を調整せざるを得なくなると指摘。ビットコインに関わるすべての企業や国、個人は、その軌道に引き込まれ、その力と影響力が増幅されていくと形容した。