- Western Union社トップ、仮想通貨の採用に関して前向き発言
- 世界200カ国以上で送金サービスを提供する大手Western Union社のOdilon Almeida社長が将来的に仮想通貨を同社プラットフォームに導入する可能性を前向きに検討していることを明らかにした。送金大手企業の過去の動向もまとめて掲載。
Western Union社長、仮想通貨を駆使したサービスに前向き発言
国際送金サービス事業をグローバルに展開していて、リップルネット加入企業でもあるWestern Union社のOdilon Almeida社長は、以前に同社CEOのHikmet Ersek氏が発した「仮想通貨送金サービスの追加はない」という今年6月の前言とは一変し、自社の国際送金プラットフォームで、仮想通貨を駆使した送金サービスを視野に入れていることを明らかにした。
There's a lot of hype around cryptocurrencies.
— Western Union (@WesternUnion) 2018年12月17日
Good thing we've been transferring money digitally for nearly two decades. Bring on the #blockchain: https://t.co/Z1fzoH2ujV #WUFintech pic.twitter.com/DFUVYq9vOi
Almeida氏の主な発言は以下の通りである。
Western Unionはどのような通貨でも導入する準備が整っており、既に130種類の通貨を利用している。
もし仮想通貨を弊社のプラットフォームに導入しようと感じた場合、技術的には他の通貨と導入プロセスは変わりません。仮想通貨は将来的に世界中の企業や人々が交換(取引)する通貨、または資産の一つとなると考えている。
そうなった場合、我々は開始の準備をするだろう。
Western Union社とブロックチェーン技術の背景
1851年に米コロラド州で設立されたWestern Union社は、金融および通信業界における老舗であり、最大級の送金企業の一つであり、世界200カ国で個人・法人送金や貿易業務の代行などを請け負っている。
しかし急速に拡大するキャッシュレス化の流れを受け、2018年2月にリップル社とXRPトークンを統合したブロックチェーン国際決済のトライアルを実施するなど、独自のデジタル戦略を進めてきた。
仮想通貨送金サービスの可能性を否定したCEOのErsek氏による以前の発言は、XRPを利用したトライアル結果に対する不満点が原因かと推測される。同CEOは
トライアル開始から半年が経過した現在も、XRPによるクロスボーダー決済のコスト節減が見られない
とし、デジタル資産よりも従来の有形資産の方が用途が広いと言及していた。
しかしその一方で、Western Union社は2016年12月にデジタル決済のセキュリティ強化ソリューションとして、「仮想通貨ネットワークで利用可能な送金および安全決済管理システムの構想に関する特許」を米特許商標庁に申請(公表は2018年6月)していた。
これは生体認証技術を用いたシステムで、ビットコイン(BTC)やライトコイン(LTC)など様々な仮想通貨ネットワークに適合するよう設計されたものだ。
なお、2016年という早期に申請が行われていた為か、仮想通貨リップル(XRP)が構想に含まれる可能性に関する記述はなかった。
Almeida社長、「仮想通貨は従来の通貨や資産の新たなオプションになり得る」
しかしCEOが今年6月に発した市場に失望を感じさせるコメントから一転、Almeida氏は今回ツイッターに投稿された公式動画の中で、Western Unionが「現金とデジタルの世界をつなぐユニークなポジション」にあると力説。
現在、世界中の何十億もの銀行口座間および50万軒を超えるリテール店舗で巨額の送金が行われており、これをクロスボーダー決済のオンランプ(入金を受け付け、送金手続きを開始する側)およびオフランプ(送金手続きを完了し、出金する側)に応用できる可能性があるとの見解を示した。また同社の送金サービスは既に130種類以上の通貨に対応しており、仮想通貨が新たな取扱い通貨として加わる可能性を前向きに捉えていると言及している。
Western Union社内で重役を担う両氏の異なる見解は興味深い。しかしCEOのErsek氏自身も発言当初、トライアル開始からわずか半年でサンプルサイズも不十分であることなどを理由に、「決定的な判断を下すには早過ぎる」と認めており、リップルの製品担当部長(senior vice president of product)のAsheesh Birla氏もその点に注意を促していた。
しかし今回のAlmeida社長の前向きな発言はErsek氏の発言から半年以上が経過し、トライアルの成果が満足のいくものへと変化しつつある可能性を示唆しているのかも知れない。
リップル社の快進撃|XRP採用範囲拡大から中東エリア進出まで
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは6月にアムステルダムで開催された「Money 20/20」カンファレンスに登壇した際、CNBCの取材で「2019年までに多数の銀行がXRPを利用するようになる」と発言。この大胆不敵な予想通り、同社が提供する国際送金ネットワーク「Ripple Net」には続々と新たな金融機関が加入し、現在は日本やクウェート、サウジアラビアを含む世界40カ国以上から200社を超える参加企業を誇っている。
また仮想通貨XRPの採用事例はリップル・ネット外にも広がりを見せ、シェアリング・エコノミー・アプリの「Omni」でXRP決済が可能になったほか、BTCやイーサリアム(ETH)といった仮想通貨を担保に1000~200万ドルまでの融資を行うプラットフォーム「Nexo」でも、XRPを担保として利用できるようになっている。
さらに、リップル社は急成長の中東市場にも注力しており、サウジアラビアで3行、クウェートとアラブ首長国連邦(UAE)で各2行、バーレーンとオマーンで各1行の銀行とサービス契約し、年内にドバイ支社設立も予定している。
こうした快進撃を目の当たりにし、Western Union社のような老舗企業も仮想通貨の積極的な採用検討に乗りだしてきているのも不思議ではないだろう。
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