- ビットコインと金やVIX指数の相関係数が高まる
- 米WSJ紙は直近5日間でビットコイン価格と金、VIX指数との相関性が高かったと分析データを発表。その要因として、伝統的な投資家の投資資金の本格的な流入が始まっており、仮想通貨は一般的な資産クラスと同様な値動きをとる傾向が増えると予想を展開した。
ビットコインと金の相関係数が高まる
米WSJ紙は28日の記事で、ビットコインと金、株式指標の値動きの相関を調べ、直近のトレンドとして仮想通貨がこれまでの伝統資産と同じような振る舞いをする傾向にあると主張した。
その背景には、トラディショナルな投資家の投資マネーの本格的な流入が始まったことがあるとし、今後も仮想通貨が伝統資産と同じように値動きする場面が多くなるだろうと予測している。
WSJ紙は調査会社であるExcalibur Pro社のデータを用いて分析を行い、過去5日間でビットコインと金の価格が高い相関性を持っていることを突き詰めた。
相関係数とは
相関係数は2つのデータの関係性を示すパラメータで、1から-1の値をとる。相関係数が1に近いほど、対象となる2つのデータは相関性がある、すなわち両者のデータの増減傾向が一致しているということを示す。一方で、相関係数が0に近づくほど、両者のデータには相関性が無いと捉えられる。
同紙の取り上げた分析によれば、直近5日間でビットコインと金は高い相関性を示す0.84という数値を記録している。また金以外でも、米国株式市場の指標とも一定の相関が見られたという。
またアメリカ株式市場のボラティリティの大きさを示すVIX指数(恐怖指数)とビットコインの相関係数も高く、0.77と高い水準にあった。
直近の米国株式市場では、来年の景気見通しに対する懸念などに起因して乱高下が続いているが、ビットコインをはじめとする主要仮想通貨もこれらの影響を大きく受けている格好だ。
仮想通貨市場への資金流入
直近10年間では、各中央銀行が金利を下げ、グローバル市場に多くの資金を流入させた。そのため、投資家の中には株や債券といった従来の資産(アセット)クラスだけではなく、新たな資産である仮想通貨のような高リスク資産にも積極的に投資を行うリスクテイカーも多く存在する。
代表的な例としては、元ゴールドマンサックスの幹部で現在は仮想通貨企業向けの商業銀行Galaxy Digitalの CEO CEOであるMichael Novogratz氏やVan Eck社の仮想通貨戦略部門のディレクターのGabor Gurbacs氏、セキュリティソフトウェアの重要開発者であるJohn Mcafee氏が挙げられるだろう。
同紙は、機関投資家の資金が仮想通貨市場に流入した一例として、Grayscale Investments社の店頭販売型のファンドであるBitcoin Investment Trustを挙げている。2013年にリリースされ5100万ドル(約56.2億円)の資金を集めたこのファンドは、その後、2017年の仮想通貨ブームに沿って、35億ドル(約3860億円)規模にまで成長している。
その他の流入源として、ベンチャーキャピタルの貢献も欠かせない。CoinDeskのデータによれば、2013年、ベンチャーキャピタルがビットコインやブロックチェーンの領域に投資した額はおよそ9600万ドル程度であった。しかし、2017年末には、その累計額はおよそ20億ドルにまで伸びたという。
また、今後の展開としては、これまでに報じられて来たようにNYSEの親企業であるICEが手がける仮想通貨取引所Bakktのリリースや、大手資産運用会社フィデリティ、ナスダックといった大手企業の仮想通貨業界参入などが、機関投資家の資金を取り入れる呼び水となることが期待されている。
仮想通貨市場に多くの投資家資金が流入することは、仮想通貨の発展においても非常に好ましいことだ。しかし、そのような資金を誘致するためには、規制の環境が万全に整った取引所の整備や、ビットコインETFなどの承認といった大きな課題も克服する必要がある。