
エレメンタルの株式34%を保有
ステーブルコイン最大手のテザー社は、カナダの金ロイヤルティ企業エレメンタル・オルタス・ロイヤルティーズの株式31.9%(約8,920万ドル )の買収を発表した。
既存保有分と合わせ33.7%を保有し、2025年10月までに47.7%まで拡大可能。テザー・ゴールド(XAUT)など実物資産連動型デジタル資産の強化を目指す。
金ロイヤルティ企業(Gold Royalty Company)とは、金やその他の貴金属(銀、プラチナなど)の採掘プロジェクトに対して資金を提供し、その見返りとして鉱山の生産量や売上高の一定割合(ロイヤルティ)を受け取る企業のこと。
テザー社のグループ企業テザー・インベストメンツが非公開のオフショア契約により買収を完了しており、普通株式7,840万株を約8,920万ドル(約131億円)で取得している。
テザー・ゴールド(XAUT)などのコモディティ担保型デジタル資産の事業を拡大していく動きの一環と見られ、すでに保有している436万株と合わせると、テザー社はエレメンタルの発行済み株式の約33.7%を保有することになった。
10月下旬までにさらに3,440万株を取得するオプション契約も締結しており、この権利を行使した場合は、47.7%の株式を保有することになる。
テザー・インベストメンツのパオロ・アルドイノCEOは、次のように説明した。
ビットコイン(BTC)が通貨インフレに対する分散型ヘッジ手段であるところ、ゴールドは長年にわたり実証された価値の貯蔵手段であり続けている。
エレメンタルを通じて、多様なゴールドのロイヤルティ・ポートフォリオへのエクスポージャーを獲得することで、当社エコシステムの基盤を強化すると共に、テザー・ゴールドや、コモディティ担保型デジタル資産を発展させていく。
エクスポージャーとは
ある資産の価格変動や収益機会に影響を受ける状態のこと。例: 「ゴールド価格の上昇による利益機会」など
テザー社は、スイスの金庫で保管されている現物ゴールドによって裏付けられている金連動トークン「テザー・ゴールド(XAUT)」を提供しているところだ。
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エレメンタルは、金銀など貴金属を採掘する鉱山会社が運営するプロジェクトに対して資金を提供し、その見返りにロイヤルティ(通常は鉱山の売上高の一定割合)などを取得する事業を行っている。オーストラリア、コートジボワール、チリなど世界の様々な鉱山が取引先だ。
テザー社は、エレメンタル株式取得により、世界のゴールド生産への分散的なエクスポージャーを得られると述べた。
採掘に伴う直接的な運営リスクを回避しながら、デジタル金融商品の透明性と安定性を高める低リスク実物資産に対するエクスポージャーを求める同社の方針にも合致するとしている。
テザー社は、同社が10万超のビットコイン、約80トンの現物ゴールドを保有しているとも述べた。これは、同社の製品およびリスク戦略においてますます重要な要素になっていると続ける。
同社は以前、過去2年間でゴールドが大幅上昇しているのは、米ドル依存からの脱却を目指すBRICS諸国の中央銀行によるゴールド蓄積に支えられているとの見解を示していた。
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