はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

トークン化株式のリスクに警鐘、国際取引所連合が規制強化を要請=報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

投資家へのリスク

近年、急速に拡大している「トークン化株式(tokenised stocks)」に対し、世界の主要証券取引所が加盟する国際取引所連合(WFE)が警鐘を鳴らしている。

ロイターの報道によると、WFEは米証券取引委員会(SEC)、欧州証券市場監督機構(ESMA)、証券監督者国際機構(IOSCO)などの証券規制当局に公式書簡を送り、トークン化株式への監督強化を要請した。

トークン化株式とは、企業の株式を表すブロックチェーンベースのデジタル資産。トークン化株式は、証券の所有権を表しているが、その保有者(投資家)が対象となる企業の株主として正式に登録されるわけではない。つまり、投資家は実際の株式ではなく、株式に紐づけられたデジタル資産を保有することになる。

WFEは書簡で「これらの商品は、実際には株式トークン、あるいは株式と同等のものとして販売されているが、実際にはそうではない」と指摘。トークン化株式が従来の株式と同様の権利や取引上の安全策を提供せずに株式を「模倣」していることを懸念していると述べた。

トークン化株式は、以下のような点で一般の株式とは異なっている。

  • 保有者が株主としての法的権利を持たない:企業経営に対する議決権や配当請求権は付与されない
  • 従来の証券市場に課されている法的保護の欠如:市場の信頼性や公平性が損なわれる恐れ

さらにWFEは、トークンが破綻した場合、株式の発行者である企業の評判が損なわれる可能性があると指摘し、規制当局はトークン化された資産にも証券法を適用すべきだと主張。明確な所有権と保管のルールを整備し、トークンが上場株式と同等のものとして宣伝されることを防止するよう強く求めた。

国際取引所連合(WFE)とは

WFEとは、英国ロンドンに拠点を置く世界の取引所・清算機関等が加盟する連合組織であり、資本市場に関する政策提言や調査研究活動、統計データの収集・提供等を行う。米CMEグループやナスダック、ロンドン証券取引所グループ、日本取引所グループ(JPX)など、250を超える取引所と清算機関を代表している。

トークン化株式の提供

トークン化株式を推進している代表的な企業には、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンやコインベース、米大手投資アプリのロビンフッドなどがあり、一部のプラットフォームではすでに販売が開始されている。

クラーケンは4月14日に、米国市場の上場株と、株のETFに投資できるサービスを段階的に開始したと発表。米国の一部の州のユーザーを対象として、取引手数料無料で1万1,000種類の株やETFへの投資が可能になった。

5月22日に同取引所は、Backed社と提携し、自社開発のトークン化株式取引サービス「xStocks」の提供予定を発表。米国を除く欧州、中南米、アフリカ、アジアの顧客が対象で、ストラテジー、アップル、テスラ、グーグル、メタなど米国主要企業55銘柄超の株式・ETFがソラナブロックチェーン上で24時間365日取引可能となる。

また、世界第2位の仮想通貨取引所Bybitは6月30日、同じくBacked社との提携を通して、xStocksを現物取引プラットフォームに上場したと発表。クラーケンと合わせると、米国を除く世界190カ国以上でサービス利用が可能となった。

このサービスにより、従来の証券会社を介さずに世界の株式市場にアクセスでき、仮想通貨と同じツールで株式・ETFの取引ができるようになる。

ロビンフッドは6月30日、米国の株やETFをトークン化した「Stock Tokens」を取引できるサービスをEU(欧州連合)のユーザー向けにローンチした。

Stock Tokensでは、エヌビディア、マイクロソフト、アップルなどの上場株やS&P500に連動するETF、およびOpenAIやSpaceXなどの未上場株など200超の商品をトークン化した取引サービスを提供している。ただし、要件を満たしたユーザーのみが対象となる。

関連:ロビンフッド、トークン化した米国株やETFの取引サービスを欧州で提供 株価最高値更新

しかし、この発表直後にOpenAIは、ロビンフッドのトークン化株式との関係を正式に否定。「ロビンフッドとの提携はなく、このサービスに関与しておらず承認もしていない」との声明を発表した。

WFEのナンディニ・スクマーCEOは、一部の企業がトークン化株式に懸念を表明していると指摘し、WFEの立場は市場インフラ事業者や金融セクター全体の懸念を反映していると主張。「いわゆるトークン化された米国株を提供、あるいは提供を予定しているブローカーや仮想通貨取引プラットフォームが多数あることに、我々は懸念を抱いている」と述べている。

関連:オープンAI、ロビンフッドの株式トークン化サービスとの提携を否定 未承認でトークン発行か

米SECの取り組みとコインベースの発表

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は7月31日、証券規則と規制を現代化し、米国の金融市場のオンチェーン移行を可能にするイニシアチブ「プロジェクト・クリプト」の開始を発表した。

その中で、SECはオンチェーン・ソフトウェア・システムの可能性を最大限に発揮するため、古い規則の更新も指示した。分散型金融システム(DeFi)や自動化マーケットメーカー(AMM)など、中央仲介者を必要としないシステムに対応する道筋も創出するという。

アトキンス委員長は「分散型金融やその他のオンチェーン・ソフトウェア・システムが証券市場の一部となり、重複的・不要な規制で埋もれることはない」と強調した。

関連:米SECが「プロジェクト・クリプト」始動、米金融市場のオンチェーン移行目指す

この政府方針の発表と同日、コインベースは「全ての交換所」構想の下、トークン化株式や予測市場など多様な金融商品のサービス提供を開始すると発表した。ブライアン・アームストロング最高経営責任者が、10年以内にコインベースを米国トップの金融サービスアプリとする目標を掲げる中、プロダクト担当副社長マックス・ブランズバーグ氏は「すべての資産をオンチェーンで取引できるワンストップショップを構築している」と説明した。

コインベースの新サービスには、現実資産のトークン化、株式、デリバティブ、予測市場、初期段階トークン販売が含まれ、サービス開始は数ヶ月以内の予定とされている。

トークン化株式の大きなうねりが押し寄せる中、世界の主要株式市場を代表するWFEが強い警戒感を表明したことで、今後の規制の動向や市場の方向性が注目される。

関連:コインベース、米国でトークン化株式と予測市場を数カ月内に開始へ

関連:仮想通貨取引所ランキング|実績・ユーザー評判・プロ分析で徹底比較

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/13 木曜日
11:25
ブラジル大統領、押収仮想通貨の即時売却を合法化する法案を提出 組織犯罪対策強化へ
ブラジルのルラ大統領が犯罪捜査で押収した仮想通貨を裁判結果前に売却できる法案を議会に提出した。中央銀行は今週、仮想通貨事業者への認可制導入を含む新規制も公表している。
10:25
ユーザー資金を凍結できる16ものブロックチェーンを特定、分散化の観点で議論呼ぶ=Bybit
仮想通貨取引所Bybitがユーザー資金の凍結機能を持つブロックチェーンを特定した。ハッキング対策に有効だが、分散化の理念と矛盾するとの指摘もある。
10:15
SBIグループで資産運用|証券・銀行・仮想通貨投資を効率的に
証券・銀行・仮想通貨を1つのエコシステムで管理できるSBIグループ。スマホ1つで株式、投資信託、金ETF、仮想通貨への投資を始められます。手数料優遇、ポイント連携、スムーズな資…
09:45
ヤフー・ファイナンス、ポリマーケットと提携し予測市場ハブを数カ月以内に開設へ
ヤフー・ファイナンスが予測市場プラットフォームのポリマーケットと提携し、新たな予測市場ハブを立ち上げる。経済や市場動向の確率データと分析を組み合わせて投資家を支援。
09:20
ビットワイズ、2026年にICO復活で数十億ドル規模の資金調達を予測 コインベーストークン販売サービス立ち上げを受け
仮想通貨資産運用会社ビットワイズのホーガンCIOが、コインベースのトークンセール・プラットフォーム立ち上げを受けて2026年にICOが資本調達の重要手段として復活すると予測。
08:50
モバイルゲーム大手KLab、ビットコインをトレジャリー資産として購入
モバイルゲーム開発のKLabが約2,000万円のビットコインを購入。国内では今夏以降、Defコンサルティング約50億円、イオレ約160億円など上場企業のトレジャリー戦略が加速。
08:30
JPモルガン、ベースチェーンで「JPMコイン」提供開始
JPモルガンが米ドル建て預金トークン「JPMコイン」を機関投資家向けにイーサリアムL2のBase上で提供開始した。B2C2、コインベース、マスターカードがテスト取引を完了している。
07:55
スイ、ネイティブステーブルコイン「USDsui」を年内ローンチ
ブロックチェーンのスイ(SUI)がネイティブステーブルコイン「USDsui」を年内に立ち上げる。ストライプ傘下のブリッジが発行し、主要プラットフォームとの相互運用性を備える。
07:12
サークル、独自ブロックチェーン「Arc」向けトークン発行を検討 USDC流通量は前年比2倍超
ステーブルコイン発行企業サークルがArcブロックチェーン向けネイティブトークンの発行可能性を発表した。第3四半期のUSDC流通量は前年比108%増の737億ドルに達し、純利益は202%増加している。
06:50
観光客向け消費税還付をステーブルコインで実証実験、韓国NH農協銀行がアバランチなどと協力
韓国NH農協銀行がアバランチ、ファイアブロックス、マスターカードと協力し、ステーブルコインを使用した観光客向け消費税還付のデジタル化実証実験を開始した。
06:10
ナスダック上場BTCマイナーBitdeer、米国で建設中のマイニング施設で火災発生
米オハイオ州で建設中のビットディアのビットコインマイニング施設で火災が発生し、2棟が炎上した。負傷者はなく、まだマイニング機器は設置されていなかった。
05:55
米SEC委員長、仮想通貨の分類体系を明確化へ
SECのアトキンス委員長が仮想通貨のトークン分類体系を数カ月以内に検討すると発表した。ハウイテストに基づき有価証券に該当するトークンを明確化し、ネットワークトークンやミームコインの多くは管轄外となる見込みだ。
05:30
世界初のZcash保有企業サイファーパンク、ウィンクルボス兄弟主導で91億円調達し20万ZEC取得
リープ・セラピューティクスが社名をサイファーパンク・テクノロジーズに変更し、プライバシー重視の仮想通貨Zcashを蓄積する戦略を発表した。ウィンクルボス・キャピタル主導で91億円を調達し、20万ZECを取得している。
11/12 水曜日
13:45
「仮想通貨は正当なポートフォリオ分散手段」 機関投資家のアプローチに大きな変化=シグナム
スイスのデジタル資産銀行シグナムが発表した最新調査で、回答した世界の機関投資家の89%が仮想通貨をすでに保有し、仮想通貨を投機ではなくポートフォリオの有効な分散投資手段とみなしていることが明らかになった。
13:00
米上場ターボ・エナジー、ステラ・タウラスと提携 スペインで再エネ融資をトークン化
ナスダック上場のターボ・エナジーがタウラス、ステラと提携し、スペインでクリーンエネルギー融資のトークン化実証実験を開始。ブロックチェーン活用で744億ドル規模のEaaS市場参入を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧