
ザ・プリンス パークタワー東京で25日に開催されたWebX 2025において、トロン(TRON)創業者のジャスティン・サン氏がオンラインの基調講演を行い、最新動向と今後の戦略について語った。
ステーブルコイン分野で圧倒的な地位を確立
ジャスティン氏は講演の冒頭で、トロンが「ステーブルコインのコア・グローバル・ブロックチェーン」としての地位を築いていることを強調した。現在、トロン上で流通するUSDTは約820億ドルに達し、これは全USDT供給量の約半分を占める規模となっているという。
「トロンはステーブルコイン取引において主導的地位にあり、毎日100万を超える独自のアカウントがUSDT取引を行っている」とジャスティン氏は述べ、同ネットワークの活発な利用状況をアピールした。
新たなステーブルコインUSD1の発行開始
特に注目すべき発表として、World Liberty Financialが新たに発行したステーブルコインUSD1がトロン上でローンチされたことが挙げられる。USD1はGate.ioやHTXなど複数の取引所でサポートされており、発行量はすでに2,500万ドルを突破している。
充実したDeFiエコシステム
ジャスティン氏は、トロン最大の分散型レンディングプラットフォームであるJustLend DAOの発展についても言及。同プラットフォームにはUSD1も統合され、多様な取引オプションを提供している。
さらに、分散型取引プラットフォームSun.ioでは、第3四半期に永続先物取引の導入を予定していることも発表された。

セキュリティ強化への取り組み
さらに、トロンが主導するT3 Financial Crime Unionの活動についても報告があった。Tether、TRM Labsと協力し、新たにバイナンスも参加したこの組織は、2億5,000万ドル以上の不正資産を凍結する成果を上げている。
「バイナンスの参加により、我々は世界最大級の犯罪対策組織の一つになったと考えている」とサン氏は述べた。
機関投資家の関心拡大
機関投資家レベルでの採用も進展を見せている。2021年以来、TRXは欧州でETN(上場投資証券)として取引されており、2025年5月にはSECがCanary CapitalによるTRX ETF申請を承認したことも明かされた。
また、以前SRMとして知られ現在は上場企業となった会社が独自のトロン戦略を開始し、Tron Inc.も約20億ドルの資産を含む新たな取り組みを発表している。
宇宙飛行という歴史的快挙
講演の締めくくりとして、ジャスティン氏は今月実施したBlue OriginのNS-34宇宙飛行について触れた。宇宙に行った712番目の人類となったという。
「これは、トロンエコシステムが初めて地球の大気圏を超えて存在感を示した瞬間だった。技術、ビジョン、野望が地球を超えたとき、無限の可能性が開かれることを実感した」と感慨深く語った。
今後への展望
WebX 2025での講演を通じて、トロンがステーブルコイン分野でのdominanceを維持しながら、DeFi機能の拡張、セキュリティ強化、機関投資家の取り込みを着実に進めていることが明らかになった。ジャスティン氏の宇宙飛行は単なるパフォーマンスを超え、ブロックチェーン技術の可能性を象徴的に示す出来事として位置づけられている。