WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

暗号資産制度に関する第二回「金融審議会」、有識者の委員らが議論交わす

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

金融庁は9月2日、金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の第2回会合を開催した。

会合では、暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)に移行する方針について委員が議論を行い、制度設計の詳細や実効性について様々な意見が交わされた。

規制移行の背景と市場の現状

金融庁は暗号資産の投資対象化が進展している現状を踏まえ、金商法による規制が適切であるとの方針を示した。国内の暗号資産交換業者における口座開設数は延べ1,200万口座を超え、利用者預託金残高は5兆円以上に達している。投資経験者の暗号資産保有者割合は約7.3%で、FXや社債より高い保有率となっている。

日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の報告によると、個人の暗号資産投資家の80%以上が10万円未満、90%以上が50万円未満の投資となっており、小口投資が中心となっている。現在、国内では105銘柄が上場しており、そのうち50銘柄に付帯条件が付されている。

一方で、金融庁の金融サービス利用者相談室には月平均300件以上の暗号資産関連相談が寄せられており、その大半は詐欺的な投資勧誘や取引に関するものとなっている。SNSを通じた勧誘、フェイク動画の悪用、出金トラブルなどが主な相談内容である。

トークン分類基準と情報開示要件

金融庁は暗号資産を以下の2類型に分類する案を提示した。

出典:金融審議会資料

  • 類型①(資金調達・事業活動型)
    資金調達の手段として発行され、その調達資金がプロジェクト・イベント・コミュニティ活動等に利用されるもの。IEOトークンや多くのプロジェクトトークンが該当。
  • 類型②(非資金調達型)
    それ以外のもの。ビットコイン、イーサリアム、ミームコイン等が該当。

類型①については発行者に情報開示義務を課し、類型②については暗号資産交換業者が情報提供を行う仕組みを想定している。分散化の進行により類型①から②へ移行する可能性も考慮される。

日本ブロックチェーン協会(JBA)は、より具体的な分類基準を提案した。同協会は「議決権51%以上を保有する場合だけでなく、オフチェーンの実質的な支配度でも評価すべき」として、形式的な分散化だけでなく実質的な意思決定権に基づく判定を求めた。

特に、新規発行のプライマリー市場での新規発行だけでなく、流通市場のセカンダリーでの金庫暗号資産(エスクロー解除を含む)の売却も規制対象とすべきとの見解を示した。

出典:金融審議会資料

業規制と市場開設規制の方向性

金融庁は、暗号資産について基本的に第一種金融商品取引業に相当する規制を課す方針を示した。これは、セキュリティトークンと同等の流通性があることや、多くの暗号資産交換業者が店頭暗号資産デリバティブ取引を兼営している実態を踏まえたものである。

市場開設規制については、個々の暗号資産取引所の価格形成機能が限定的であることから、金融商品取引所の免許制やPTS(私設取引システム)の認可制のような厳格な規制は不要との見解が示された。ただし、既存の金融商品取引所による暗号資産の上場については、ハッキングリスク等を考慮し、現時点では慎重な姿勢を維持している。

委員からの主な意見

松尾真一郎委員:ジョージタウン大学研究教授/バージニア工科大学研究教授
米国のCLARITY法案への過度な依存に警戒し、情報提供規制は類型を問わず横断的であるべきと提案した。

永沢裕美子委員:Foster Forum(良質な金融商品を育てる会)世話人
金商法移行に賛成する一方、暗号資産の取引所上場は時期尚早と慎重姿勢を示した。

加藤貴仁委員:東京大学大学院法学政治学研究科教授
金商法移行に賛成し、分散化と情報非対称性の関係は単純ではないと指摘した上で、DEX(分散型取引所)での資金調達拡大に対応できる枠組みの必要性を指摘した。

岩下直行委員:京都大学公共政策大学院教授
暗号資産の伝統的金融としての制御は本質的に無理としながらも、日本のIEO(Initial Exchange Offering)事例では公募価格を上回っているトークンが1つもないという具体的データを示し、警鐘を鳴らした。

小川恵子委員:公認会計士・EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
金商法移行に賛成し、開示の十分性・適時性・適正性の担保の重要性と、実質支配力の定義の重要性を強調した。

有吉尚哉委員:弁護士・西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
金商法移行に賛成する一方、兼業規制がイノベーション阻害しないよう配慮を求めた。

伊藤亜紀委員:弁護士・片岡総合法律事務所
決済インフラとしての可能性に配慮した制度設計を求め、格付け機関のような第三者評価機関の必要性について質問した。

松井智予委員:東京大学大学院法学政治学研究科教授
情報開示における中立性と動的変化への対応の重要性を強調した。

松尾健一委員:京都大学大学院法学研究科教授
情報開示の目的は詐欺防止であり、公的エンフォースメントの拡充が必要と提案した。

河野康子委員:一般財団法人日本消費者協会理事
利用者保護を最優先とし、金商法への位置づけに賛同した。

河村賢治委員:立教大学法学部教授
価格形成力を基準とした規制の考え方を提示した。

佐古和恵委員:早稲田大学理工学術院教授
投資対象化の進展に疑問を示し、若年層への影響を懸念した。

大槻奈那委員:名古屋商科大学大学院マネジメント研究科教授
金商法移行に賛成し、国際性・柔軟性・市場方向性の明確化が重要と強調した。

総括

この規制移行は単なる制度変更ではなく、暗号資産を投資商品として正式に位置づける歴史的転換点である。

ETF解禁や分離課税への道筋も期待される一方、実効性のある制度設計と国際競争力の維持が今後の焦点となる。業界の健全な発展と投資家保護のバランスを取った制度構築が求められている。

関連:「仮想通貨は基本的に金商法のみで規制を」金融庁が検討へ 分離課税移行やETF解禁につながるか

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/21 火曜日
20:04
骨太方針2026、オンチェーン金融推進を初明記
政府が21日に閣議決定した「骨太方針2026」は、トークン化預金やステーブルコインを活用する「オンチェーン金融」の推進を初めて明記した。脚注で定義や活用分野を示し、資産運用立国政策との関係も明らかにしている。
17:21
ステーブルコイン流出35日連続、ビットコイン需要不足映す=アナリスト
アナリストのアクセル・アドラーJr.氏が7月21日、ビットコインとステーブルコインの取引所フローを分析。ステーブルコインは35日連続で流出が続き、価格上昇を支える買い需要の資金が乏しい状況を指摘した。
17:00
金融とWeb3の架け橋、金融機関が共同で築く次世代決済インフラ|WebX2026
WebX2026「金融とWeb3の架け橋」セッションレポート。Circle榊原健太氏、野村稲井田洋右氏、JCB久保寺晋也氏、住友商事内村直哉氏が登壇。ステーブルコインは決済の脅威か補完か、円建て・ドル建ての普及戦略、各社の実証実験と規制上の課題、2年後の決済インフラの姿まで、大企業4社の視点から議論する。
16:43
香港ステーブルコインHKDAP、月内発行へ=報道
スタンダードチャータード系のアンカーポイントが、香港ドル型ステーブルコイン「HKDAP」を月内に発行すると香港メディアが報道。OSLとHashKey Exchangeが取扱事業者を担う見通しで、規制下での展開となる。
15:25
ナイジェリア、仮想通貨規制の大統領令に署名 評議会新設
ナイジェリアのティヌブ大統領が仮想資産規制を一元調整する大統領令に署名し、即日発効した。中央銀行主導の評議会を新設し、活動内容に応じた登録制度の導入やサンドボックス整備、税制方針の公表を進める方針だ。
14:40
メタプラネットの次なる成長戦略 ビットコインとデジタルクレジット構想|WebX2026
WebX2026「メタプラネットの次なる成長戦略」セッションレポート。ビットコイントレジャリー企業として4万3,000BTCを保有するメタプラネットが、社債・優先株を軸にしたデジタルクレジット戦略を語った内容をまとめた。
14:30
米マイニング大手Hut8、1GWのAIデータセンターの完全商業化 15年間98億ドルの追加契約締結 
米Hut8がテキサスのAIデータセンターで15年98億ドルの追加契約を締結し、1GW全容量の商業化を達成した。IRENも28億ドル契約で2026年ARR目標を40億ドル超に上方修正した。
14:21
ロシア下院、仮想通貨規制法案の採決へ 非適格投資家にも正式購入の道
ロシア下院は21日、仮想通貨規制法案の採決を実施予定だ。非適格投資家も上限付きでビットコインなどの購入が認められる見通しで、対外貿易決済への活用も盛り込まれている。
11:15
ビットマイン、先週は7430ETHのイーサリアムを取得
ビットマインは、過去1週間で仮想通貨イーサリアムを7,430ETH購入したことを発表。購入減速の理由や総保有量、ステーキング数量などについても説明している。
10:26
トランプ大統領、クラリティー法の倫理条項に同意
トランプ大統領が仮想通貨規制法案クラリティー法の倫理条項に同意したと関係者が明らかにした。数カ月続いた交渉の最大の障壁が解消し、上院での採決が視野に入る。8月上旬の審議期限までの動向と、大統領一族の関連企業を巡る争点を整理する。
10:00
ゲームで守る社会インフラ 電力・自治体DX最前線|WebX2026
電柱600万本の点検を市民の力でどう支えるか。東京電力パワーグリッド副社長・大石峰士氏、函館市長・大泉潤氏、経産省・吉田修一郎室長、Growth Ring Grid・鬼頭和希氏がWebX2026で語った「インフラの民主化」「意識させないWeb3」とは。
09:54
ハイパーリキッドHIP-4、誰でも個別の予測市場を作成できる仕組み導入へ
ハイパーリキッドはHIP-4予測市場について、誰でも展開可能なパーミッションレス方式の追加を計画している。50万HYPEのステーキングなどが条件となる見込みだ。
09:25
ストラテジー、先週はビットコインの購入も売却もなし
ストラテジーは、13日から19日は仮想通貨ビットコインを購入も売却もしなかったことを報告。米ドル準備金は約5,240億円に増えたと伝えた。
07/20 月曜日
14:07
セイラー氏、ビットコインBIP-110に「110の理由」で全面反対
米ストラテジー社のセイラー会長が、ビットコインのソフトフォーク提案BIP-110に反対する論考を投稿した。「ルールは失効しても前例は残る」と警鐘を鳴らし、中立的なルールを維持する重要性を訴えた。
12:27
仏ギャンブル規制当局、予測市場ポリマーケットをブロック ワールドカップで取引急増の中
フランス国立ギャンブル局が予測市場ポリマーケットへの接続遮断を命令。気象センサーへの不正操作疑惑やKYC不備、W杯に伴う取引急増を背景とした規制強化の経緯を解説。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧