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Web3時代のVisaを目指すPlatON──創立者が語る伝統金融とデジタル金融をつなぐ「決済の高速道路」構想

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

LatticeX財団が主導するオープンな金融インフラ「PlatON(プラトン)」。その上に構築された決済・清算システムTopos(トポス)を通じ、金融機関や決済サービス事業者向けに決済・クリアリングシステムソリューションを提供。伝統金融とデジタル金融をつなぐ「決済の高速道路」構築を掲げている。

創立者の孫立林(Sun LiLin、サン・リリン)氏は20年近くの業界経験を持ち、独自の強みを持つチームとともにグローバルな展開を加速させている。「Web3時代のVisa」を目指し、日本を重要拠点と位置付けるサン氏にPlatONのビジョンと世界戦略を聞いた。

プラトンの哲学を受け継ぐ理念

──「決済の高速道路」(Payment Highway)を掲げるPlatONのビジョンは。

サン氏:2つある。1つは、Web3時代のVisaになること、もう1つはトークン化されたオープンな決済オペレーティングシステム「Topos(トポス)」の構築だ。トポスはブロックチェーンが決済に与える影響を具体化し、多様な機能を組み合わせて提供できるシステムを目指している。

──PlatONの強みは。既存の金融システムと比べた優位性を教えてほしい。

サン氏:第一にチーム。私は決済業界に20年以上携わり、メンバーも業界の出身者ばかりだ。私たちは2015年からブロックチェーン領域に参入し、一貫して自社開発を行ってきた。Web3と伝統的な決済の双方に精通している稀有な存在だ。

第二に、理念を追求していること。PlatONの名前の由来でもあるのだが、哲学者プラトンが提唱した「国家」のように、デジタル空間において人々が尊厳を持って生きられる理想の国を構築したいと考えている。PlatONのレイヤー1ブロックチェーンのジェネシスブロックには「国家」の中で語られた、正義をいかにして慎重に追求するかといった意味の言葉を刻んでいる。正義の追求は最高の目標だが、知恵だけでなく慎重さによって実現されるという、金融における最も重要な原則を私たちは大切にしている。

第三に、2013年にブロックチェーンとビットコインの可能性を認識して以来、決済・金融分野に特化してきた長年の経験を持っていること。

「トポス」が切り拓く伝統金融機関との協業

──トポスはオープンな決済・清算システムとして、従来の金融機関や商業施設にどのような価値をもたらすか。

サン氏:トポスの本質は「決済業界のミドルウェア」と言える。金融機関にとって最大の課題は、コンプライアンスや法規制、リスク対応などをすべてを自社で解決できない点にある。私たちはコンサルティングからリスク管理、技術支援まで包括的に後押しできる。

私たちは創業当初から金融機関や企業と協業してきた。最初の顧客はシンガポールのDCSカードセンター(旧ダイナースクラブシンガポール)で、同社とシンガポール金融管理局(MAS)の規制に対応しながら、世界初の「預金決済トークン」を発行した。これはステーブルコインに近いもので、最大500万ドル規模に達した。MASの1000を超える質問に答えながら、カード発行からデジタル通貨発行、決済業務までを完遂した。

その後、MASは正式にステーブルコインライセンスを発行し、StraitsXとPaxosが取得。StraitsXは現在、XSGDやXUSDなどを私たちのプラットフォーム上で流通させている。

東南アジア・中東などでサービス展開

──どんな国と地域でPlatONは利用されているのか。

サン氏:私たちはシンガポールのAllinPayや香港のPayment Asiaと提携し、Web3決済サービスを展開している。カバーする加盟店は15万〜20万店にのぼり、デジタルと伝統金融の橋渡しをしている。

また、中東最大のウォレット事業者やフィリピン中央銀行(BSP)の決済ライセンスを持つ企業とも連携し、クロスボーダー送金をプラットフォーム上で展開。フィリピンのステーブルコインはまだサンドボックス段階だが、近く正式承認が見込まれる。現在の取引量は1日30万〜50万ドルだが、来年末には500万ドル規模を見込んでいる。

私たちの拠点はシンガポールにあるが、各国規制に応じて法人を設立している。日本法人の設立も予定しており、現在はUAE、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、インドなどに進出している。

プライバシー保護とWeb3決済の進化

──クロスボーダー決済や企業間取引では、プライバシー保護が重要になる。どのように安全性を担保しているのか。

サン氏:主に2つの技術を使用している。MPC(マルチパーティ計算)とゼロ知識証明だ。

MPCについては、2019年にJP Morgan ChaseのJPM Coin向けに比較的完全なKMS(Key Management System)を提供した経験がある。現在は伝統的なマルチシグとMPCを組み合わせ、フロントエンドではアカウント抽象化も導入し、金融レベルの資産保管を可能にする完全なミドルウェアを構築している。

ゼロ知識証明では、公開鍵暗号に依存する伝統金融とは異なり、真の意味で信頼不要のインフラを構築可能だ。昨年リリースした「ZKPay(ゼロ知識決済)」では、1秒以内にオンチェーン取引を完了でき、伝統金融の複雑で時間・コストのかかる問題を回避できる。ZKPayは、ほぼすべての機関が再認証なしで証明書を発行できる前提で、安全な取引を実現している。

これらの技術は、3つの側面で活用される。1つ目は個人のデジタルライフにおけるプライバシーとセキュリティの保護。2つ目は金融機関がWeb3の世界を受け入れるための支援。3つ目は、加盟店が安全に資産を保管する支援だ。

──日本でも伝統的な金融機関がWeb3の世界に参入し始めているが、どう見ているか。

サン氏:私たちは日本の決済や証券システムを研究しているが、日本の監督官庁や法律に則り、正しくWeb3ソリューションを提供できれば大きな可能性があると考えている。

金融機関と金融インフラ提供者は役割が異なる。PlatONは後者として、決済や清算に加え、中央清算機関、証券の預託・保管など、証券・債券・デリバティブを含む幅広いインフラに携わってきた。つまりPlatONの本質は単なる決済基盤ではなく、金融インフラそのもの。まずは決済から始めるが、ここを入り口に証券や国際決済などさまざまな分野へ拡大していく計画だ。

「破壊者」のような存在だからこそ「慎重に」

──複雑な金融システムがブロックチェーンに置き換わると何が起こるのだろうか。

サン氏:まず決済の効率が飛躍的に向上する。技術的には1万倍以上の改善が可能で、世界中の金融活動が活発化し、人々はより簡単に金融サービスを利用できるようになるだろう。

PlatON創立者の孫立林(サン・リリン)氏

さらに、金融や決済はあらゆる場面に存在するが、スマートコントラクトとトークン化されたプログラマブルな資産が普及すれば、現在の複雑な仕組みは不要になる。

ある意味、ブロックチェーンは既存の金融システムにとって「破壊者」のような存在だ。だからこそ、私たちは「慎重に」進めていかなければならない。この「慎重さ(Prudence)」こそ、哲学者プラトンも提唱していた私たちの信念だ。

──最後に、改めて日本市場に期待することを聞かせてほしい。

サン氏:私たちは中国、香港、シンガポール、日本、中東などでの経験とコンプライアンス対応の知見を持つ唯一無二のチームだと自負している。日本に対しては大きな期待を寄せており、NTTデータやNRIなどがかつてアジアや世界の金融ITをリードしたように、Web3時代も日本が世界を牽引すると信じている。

将来的に日本は米国に次いでWeb3や金融インフラ分野で世界をリードし、アジア全体のハブとなると考えている。だからこそ、今回WebXにスポンサーとして参加した。今後も日本コミュニティとのつながりを深めていきたい。

|インタビュー:CoinDesk JAPAN広告制作チーム
|構成・文:瑞澤 圭
|撮影:多田圭佑

※当記事は、CoinDesk JAPANに掲載された広告シリーズ「Sponsored by WebX」からの転載です。

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