
買収交渉、コインベース優位か
米国最大の暗号資産取引所コインベースと決済大手マスターカードが、それぞれロンドンに拠点を置くBVNKの買収に向けた交渉を進めている。米経済誌フォーチュンが9日報じた。
BVNKは2021年の創業で、ステーブルコインを活用した顧客取引、国際送金、グローバル資金管理など幅広いサービスを企業向けに提供。ビジネスワイヤの発表によれば、BVNKのプラットフォームは世界の大手企業や決済事業者向けに年間200億ドル超を処理しているという。
フォーチュン誌によると、取引条件や落札者はまだ確定していないが、売却価格は15億ドルから25億ドルの範囲とされている。もし取引が成立すれば、ステーブルコイン企業の買収としては過去最大規模となる。
また、フォーチュン誌は交渉が最終的な合意に至らない可能性もあるが、現時点ではコインベースがマスターカードより優位に立っていると報じた。
参考までに、昨年には決済大手ストライプがステーブルコイン企業ブリッジを11億ドルで買収しており、ブロックチェーン決済への需要増加を示している。
金融大手、相次ぎステーブルコイン分野へ
ステーブルコインへの関心が高まる中、伝統金融業界も参入を加速させている。特に今年6月にステーブルコイン大手サークルが好調なIPOで上場し、7月にはトランプ大統領がジーニアス法に署名したことで、業界への注目度が一層高まった。
注目すべきは、9日にCiti VenturesもBVNKに投資し、次世代金融インフラの構築を支援すると発表したことだ。
さらに、クレジットカード決済大手のビザも最近、国際送金の近代化を目指したステーブルコイン試験運用を開始している。それ以前には、マスターカード自身もFiservと提携し、新たなステーブルコインの推進に乗り出していた。
ステーブルコインブームが本格化する中、金融大手各社の動きは今後さらに活発化する見通しだ。
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