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『仮想通貨ビットコイン価格は落ちているが、約定代金ベースで見ると取引量は増加』日本国際金融フォーラム、CoinPostレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

第20回 日本国際金融システムフォーラム2019 レポート
2月28日、第20回 日本国際金融システムフォーラム2019が都内で開催され、仮想通貨・ブロックチェーン業界の有識者らが見解を述べた。本稿では、講演内容のレポートをお届けする。

第20回 日本国際金融システムフォーラム2019 レポート

2月28日、第20回 日本国際金融システムフォーラム2019が開催され、仮想通貨・ブロックチェーン業界の著名な有識者らが登壇した。

今回の会議テーマは以下の通り。

  • 金融庁のデジタライゼーション戦略 ~機能別・横断法制、フィンテック、仮想通貨~
  • 仮想通貨の次なるステップと金融機関 ~金融インフラ及びアセットの視点からの考察~
  • 仮想通貨ビジネスに求められる経営管理態勢~FATF対応と海外の最新動向~
  • デジタル時代のリスクガバナンスと規制に対するSIXのアプローチ
  • 金融取引へのブロックチェーン・分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)活用

基調講演は、金融庁企画市場局 参事官 松尾元信氏。

金融庁のフィンテック施策等を解説後、ビットコイン、ブロックチェーン等の基礎的な概要、仮想通貨にかかる法整備、仮想通貨の時価総額・国内外の取引量・ICOの概要、各国の仮想通貨規制動向、ブロックチェーンの活用事例等に関して概要を解説した。

仮想通貨の次なるステップと金融機関 ~金融インフラ及びアセットの視点からの考察~

パネルディスカッションでは、一般社団法人仮想通貨交換業協会会長 奥山泰全氏、ビットバンク株式会社 代表 廣末紀之 氏、アンダーソン・毛利・友常法律事務所 河合健 氏が、仮想通貨を巡る現状と、今後期待される金融インフラとしての発展の可能性に迫った。

会場の模様 撮影:中村晋

奥山氏

昨年2018年に自主規制認定団体が10月24日設立され、コンプライアンス等を法令遵守、取り扱う仮想通貨はどういうものにするか、どういう仮想通貨はモニターしておかねばならないか、顧客資産の管理、システム障害、セキュリティに関してどうして行くかを自主規制に盛り込んだ。

AMLや反社対策、匿名のアドレスによる入出金等の疑わしい取引のモニタリングに関しても対策は進めている。

その他苦情や紛争解決、悪質な勧誘も営業行為関連規則や取引業務関連規則で自主規制した。

また資金決済法とは異なるが、証拠金取引に関しても、現時点では暫定的な倍率規制を優先しながら対応しているが、まだまだ対応して行かねばならない。

財務管理規則、経営倫理、職務管理等も自主規制にて対応、ICOの取り扱い管理区分は当局と連携して進めて行きたい。

昨年10月の認定自主規制団体発足以降、6つのスタディグループ(仮想通貨の安全管理、サイバー攻撃対応、AML、利用者管理、苦情処理、利用者への情報提供)を設置した。

自主規制団体として外部とも連携を取り、従来展開されていなかった自主規制をしっかり展開して行き、法令に則った業界の健全化に取り組みたい。

国内は事件後仮想通貨の動きは下がったが、グローバルでは仮想通貨の取り扱い品目が700種も増え、ICOも資金調達が日本円で2兆円に達している。

また、ビットコインの価格が下がっていると言われる事があるが、約定代金ベースで見るとトランザクションボリュームは増えている。

廣末氏

仮想通貨交換業のメインプレーヤーは金融出身者達だが、非金融出身者もいる。お客様の資産を預かる業務なので金融機関的な倫理観が必要であるので、自主規制団体が基準を作る事でモラルの底上げがされて来ているのは感じている。

ハッキング等への安全管理に関しては、秘密鍵の管理をどうするか創業以来突き詰めて来ており、また、最近カナダの取引所の代表が亡くなった際のバックアップが無かったのは初歩的なミスであるが、ビットバンクでは代表が亡くなった場合もバックアップは効くようにしている。

事件後に点検して更なるバックアップを取り、内部犯行防止のバックアップ、盗難の可能性のあるホットウォレットには顧客資産を置かない等の対策をしているが、業界にも徹底して行かねばならない。

河合氏

イノベーションがまだ途中段階であり、予測していない状況が起きるのが現在の仮想通貨業界。

法制がまだ追いついていない中、いち早くその状況に追いついて行くには自主規制は必要であり、これまでの自主規制団体よりも大きくなって行くだろうと予想している。

現在、規制対象となっているのは、仮想通貨の売買取引、交換取引及びその媒介、仮想通貨の保管預かり業務。証拠金取引に関しては現在レギュレーションが無く、また金融商品の定義に仮想通貨がまだ入っていないので、現状は自主規制のみで対応している。

背景としては、2015年にFATFに仮想通貨と現物取引をしている取引所を登録制とするようレコメンドされ、それに従っていたが取引ボリュームの大きいものはその時点で想定はしていなかった事だと思われる。

また本年、国会に提出される予定の法案骨子は

  • 現物取引:現在は仮想通貨事業者が金銭を預かる際は銀行預金で分別管理をしている。FXと同じように顧客区分管理信託にする必要性有。
  • 一定の公正取引:相場操縦、風説の流布は規制する。
  • インサイダー:何が重要事実であるかが分かりにくいので見送り。
  • カストディ業者:仮想通貨交換業の登録が必要となって来る。
  • デリバティブ:金商法内で対応、店頭デリバティブと同じ位置付けにして行く。今までの金商法の店頭デリバティブに仮想通貨関連デリバティブのような特別条項を加える可能性有。
  • ICO:証券性のあるものと無いものに分ける。

    証券性のあるもの:金商法内で証券の一類型として扱う。既存の規制と極めて近いものになる事が想定される。

    証券性の無いもの:今までの仮想通貨と同じ取り扱い

大部分のものが既存のルールをベースとし、金融商品の世界に近いものとなる。金融業の人間からすると、理解しやすいものとなって来るだろう。

現物の安全管理はサイバーセキュリティとウォレット管理の知見も必要だが、兼業承認も下りる可能性があり、参入しやすくなると想定している。

あともう1点予想しているのは、先物と証拠金、現物の世界に関してはスワップ等のオプションが取り扱えるようになる事。

一部の金商業者からもそれを想定した相談を受け始めている。

奥山泰全氏(撮影:中村晋)

―その一方で奥山氏は、

奥山氏

金商法適用にしたとしても、証券業者が兼業申請を出して仮想通貨業に参入して来ると言うのは、無いと思われる。

制度的にはクリアにはなって来ているが、実態はまだ追いついていないし、仮想通貨業を始めるが故に、自社のビジネス自体を大きなリスクに巻き込んで行くわけにはいかないからだ。

STOが金商法の適用に入って行くとしても、別箱、別エクィティティとして業者を立てるのでは。

また、自主規制団体の知らないところでも次々と詐欺が出て来ており、我々交換業者の推進する仮想通貨の世界と、巷で開かれるスモールミーティングや俗な雑誌で展開される仮想通貨の話題は、ここ1年でかなりギャップが出て来ている。

この“多様化”して行く仮想通貨を実態としていかに巻取って行くか、利用者を保護して行くかを念頭に、世界では700もの仮想通貨が増えているにも関わらず、今の日本は仮想通貨が1つも増えていない状態なので、問題意識を持っている。

またデリバティブに関して、ボラティリティによって証拠金倍率が設定されているが、昨年の事件前後も(最大レバレッジを)25倍で設定している業者もおり、過剰流動性の提供と、顧客の未収金リスクを発生させていた。

過剰な流動性が市場をおかしくしているので、いたずらな投機マーケットではなく健全なマーケットにして行かねばならない。

しかしながらデリバティブ取引が80%もある事に関しては、個人的には悪い事だとは思っていない。

また、今年の仮想通貨業界の展望に関しては、

河合氏

ハッキングが続いていたが、法制面ははっきりして来た。いよいよ実用されるブロックチェーンプロダクトも出て来るのでは。

ブロックチェーン上でデジタル資産が動くようになると、支払いを銀行送金でやるのではなく、仮想通貨の中でもステーブルコインによるペイメントのニーズも出て来るだろう。元々資金決済法が意図したような動き、投機ではなく、実際に使われる世界への道筋が見えつつある。アセットもデジタル化されて行く初年度になるのでは。

奥山氏

セントラルエクスチェンジで取り扱われていた有価証券が分散市場に、財産と財産が法定通貨を介さず行き来できるようになった。

分散化しつつあるこれらの法適用や自主規制は非常に難しいが、あるべき市場を形成する必要がある。仮想通貨自体をマネーゲームではなく、実体として利用される市場にしなければならない。

今年以降は、世の中のインフラ、実用として注目され直されるようにする為、仮想通貨交換業者とその自主規制団体は尽力して行きたい。

廣末氏

仮想通貨の価格がどうであれ、技術進展さえ進んでいれば先はある。プロトコルのセカンドレイヤー、DAppsのアプリケーションレイヤーへの参入者が増えてエコシステムが大きくなりつつある。投機から実需への過渡期にあるので、もうしばらくすると道筋は見えて来るだろう。弊社としても貢献して行きたい。

山藤氏・川浪氏・神脇氏・枝廣氏(撮影:中村晋)

このほかの講演でも、株式会社ビットポイントジャパン代表 小田氏が、仮想通貨におけるFATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)、KYC(顧客の身元確認)、AML(アンチマネーロンダリング)の基礎概要等について講演。

経済制裁対応サービスを提供するSIXフィナンシャルインフォメーションジャパン株式会社からは、同社が提供するデータを活用する事により、制裁対象国・制裁対象企業に関連する有価証券の特定が行う事が可能とのサービス紹介があり、金融機関のコンプライアンス業務担当者にとって興味深い講演を行った。

最後のディスカッションでは、株式会社日本取引所グループ 山藤氏、Fintertech株式会社 川浪氏、三井住友アセットマネジメント株式会社 神脇氏、株式会社大和総研 枝廣氏が登壇。

ブロックチェーンとDLT(分散型台帳技術:Distributed Ledger Technology)の違いの説明に始まり、DLTを活用した証券ポストトレード業務に関するプロジェクトを議論した。

約定照合業務における、セルサイドとバイサイドが抱える悩み(基準価格算定の遅延、アンマッチ解消に要する時間、各社ごとのコンファメーションなど)を解消するにはDLTを実装するのが適しているとの見解を述べた。

DLTは将来的にコーポレートアクションデータの自動化、議決権の行使にも使え、また、前述のポストトレードでの約定照合・決済照合のSTP化が可能となるので、スイッチングコスト、責任の所在、トラブル時のリカバリ―方法も課題として見据えながらも、何十年と課題であった当日決済(T+0)も夢ではないのではないか、と期待を示した。

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