- リトアニア中銀会長、CBDCの利点・欠点を考察
- 欧州中央銀行の審議会にも名を連ねるキーパーソンが、ブロックチェーン上で発行するデジタル法定通貨(CBDC)の利点や懸念点を挙げた。現在の金融システムに大きな疑問を投げかける興味深い題目との見解を示している。
欧中銀の会長、デジタル版法定通貨の利害を考察
欧州のリトアニア中央銀行の会長であるVitas Vasiliauskas氏が、中央銀行の発行するデジタル法定通貨について言及していたことがわかった。欧州中央銀行の審議会にも名を連ねるキーパーソンが、デジタル法定通貨(CBDC)の利点や懸念点を挙げながら、今後も慎重に検討していく姿勢を示している。
Vasiliauskas会長は先月12日、米国首都のワシントンDCで開催されたカンファレンス「Managing The Soft Landing of the Global Economy」にてデジタル法定通貨が現在の金融システムに大きな疑問を投げかける興味深い題目だと言及。国の中央銀行がブロックチェーン上で法定通貨を発行した際の利点や懸念点について、以下のように指摘した。
ポジティブな利点 | 課題となり得る懸念点 |
---|---|
支払い・決済の効率化向上 | 銀行預金の代替商品となるリスク |
流動性の確保(カウンターパーティリスクの削減) | CBDCの堅牢性 |
金融包括 | 中央銀行の保有資産拡大が必要となる可能性 |
金融安定 | 資金洗浄に係る規制遵守の手法 |
Vasiliauskas会長は、このように中央銀行がデジタル版法定通貨(CBDC)を発行した場合、一部分野において効率化が図れると述べながらも、中央銀行がCBDCを発行するまでには乗り越えなければならない課題も複数残ると指摘。
具体的にはCBDCが一般的に利用された場合、そちらが銀行預金に代わりに利用され、中央銀行に一般市民の資金が中央銀行に集中するシナリオを想定。そうした場合、中央銀行が予算を拡大する必要性が生まれる可能性もあると述べた。
また、CBDCが未だどこでも利用されていないことから、堅牢性の実数値が未知数で、大量資金を送金する際の規制遵守をどのように確保するかが課題となるとも言及した。
しかし、このように述べながらも、デジタル版法定通貨は「一般的な予備口座でも、仮想通貨でもない」新たなものだと説明。今後も欧州中央銀行は引き続き仮想通貨業界とブロックチェーン技術の進展を伺いながら、中央銀行が発行するデジタル法定通貨を検討していくとの姿勢を明らかにした。
大型金融機関である欧州中央銀行は、欧州における金融体制を大きく影響を与えるため、今後も同機関の動向は各国政府も重要視していくと考えられる。その他にも国際通貨基金(IMF)のラガルド議長も、仮想通貨やブロックチェーンの将来性を肯定的に捉えていた。
すでに東カリブ中央銀行やマーシャル諸島など、小国政府の中央銀行などで積極的に検討されている。仮想通貨やブロックチェーン技術の普及において、今後も重要な動きとして注視していきたい。