- 未来投資会議でブロックチェーンの利活用について議論
- 政府の未来投資会議で、コンテンツ流通、金融分野、再生可能エネルギーでブロックチェーンの導入方針が示された。サンドボックス制度では、AI・IoTを含むビジネス実用化で、4年後のユニコーン企業20社創出を掲げる。
未来投資会議でブロックチェーンの利活用について議論
政府は5日、「未来投資会議(第28回)」で、ブロックチェーン技術の利活用について方針を示した。
16年9月に始まった未来投資会議とは、内閣総理大臣を議長とし、企業代表者らが議員を務めるもので、国や地方の「成長戦略」を議論する会議となる。過去には大規模伐採問題について議論し、「改正国有林法」などの法案提出につながった事例もある。
またフィンテック/金融分野では、2025年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増させ、4割程度とすることを目指していることが報じられ、民間企業とともに官民一体で推進する機運につながった。
そんな未来投資会議では、「Society5.0」の実現の一環として、ブロックチェーン技術を含む、デジタル市場のルール整備を掲げている。
内閣府の公式サイトによれば、
- 狩猟社会(Society 1.0)
- 農耕社会(Society 2.0)
- 工業社会(Society 3.0)
- 情報社会(Society 4.0)
に続く、新たな社会を指すものであり、第5期科学技術基本計画において、日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)という定義となる。
デジタル市場のルール整備
デジタル市場のルール整備におけるKPIの進捗状況は、以下の通りだ。
企業価値又は時価総額が10億ドル(1000億円)以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)又は上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出
【参考値】
・未上場ベンチャー企業:2社(JAPAN STARTUP FINANCE REPORT 2018(2019年2月現在)
・上場ベンチャー企業:5社(内閣府調べ(2019年4月現在)
国が奨励するサンドボックス制度の活用としては、AI・IoT・ビッグデータ・ブロックチェーンをはじめとする革新的な技術やビジネスモデルの実用化を早期に行い、革新的な商品・サービスを間断なく創出することで、生産性を飛躍的に向上させるため、生産性向上特別措置法に基づき導入。
FinTechのみならず、IoT、ブロックチェーン等を医療、環境等の分野で活用するものなど、6件の実証計画が主務大臣の認定を受けたとしている。
インターネットにおける新しい石油、デジタル世界における新たな通貨とも呼ばれるデータに注目が集まっている。デジタル・プラットフォーム企業は、これを巧みに活用し、利用者や事業者に便利で有益なサービスや世界市場へのアクセスを提供するなど、デジタル時代に欠かすことのできない存在となっている。
一方で、デジタル・プラットフォーム企業は独占化・寡占化が進みやすいという特徴を有しており、取引環境の透明化・公正性の確保に向け、公正かつ自由な競争を促進することが求められている。
ブロックチェーン技術の利活用に前向きな分野
そのような背景がある中、まずは以下の分野において、ブロックチェーンの利活用を本格化させる。
1. コンテンツの円滑な流通
ブロックチェーン技術等を活用したコンテンツの流通について本年度実証を行いその結果を踏まえて、新たなビジネスの創出や著作物に関する権利処理及び利益分配のあり方の検討を行い、来年度中に取りまとめる。
2. FinTechの実用化等イノベーションの推進
金融分野におけるブロックチェーン技術の実用化に向けた取組の一環として、貿易金融における手続に関し、実証実験の結果を踏まえ、ブロックチェーン技術を活用した電子化に係る課題を整理するとともに、その解決方策を検討する。
3. 地域・くらし分野・その他環境保全での取組
自家消費される再生可能エネルギーのCO2(二酸化炭素)削減価値を取引できるプラットフォームを構築し、ブロックチェーン技術を用いて実証し、先進技術の実用化・ビジネス化を促進する。