- アメリカ情報機関調査員によって北朝鮮での進行中のビットコイン採掘が発覚
- 5/17日を境に、北朝鮮で不自然なデータが続いていることを確認
- 北朝鮮のビットコイン採掘は国が監督している可能性が高い
- 北朝鮮でインターネットにアクセスできる人物は限られており、その動きが容認されていることから推測される。
- 北朝鮮に対して国際連合が下した制裁は過去最も厳しい
- 各国から北朝鮮へ輸出を禁じられている今、マイニングは閉鎖された環境で政治資金を得るための施策の一つと考えることもできる
ベンチャーキャピタルIn-Q-Tel(グーグル・べンチャー及びCIAが運営)が支援しているRecorded Future社の報告では、
北朝鮮は5月17日にビットコイン採掘を始め、そのデジタル通貨で政治資金を手に入れている可能性がある
と言及しました。
国際連合安全保障理事会は月曜日に満場一致で北朝鮮に対して石油輸入制限、織物輸出の禁止、新たな労働契約の廃止を超える厳しさの制裁を下し、マイニングはこの孤立した国にとって存続できる収入源になり得ると考えられています。
Recorded Future社のPriscilla Moriuchi氏 (以下: モリウチ氏) は
我々は北朝鮮がどれほどの時間と量でビットコインを生成できているのかは確認できていませんが、そこに動きがあることは確かです。
と述べています。
マイニングを行う理由 / マイニングをしているのは個人か?国か?
マイニングを始めた理由に関しては、
一つ目の可能性として政治資金を手に入れるために国が後援しているということです。二つ目はインターネットにアクセスできる数少ないリーダーとその家族の中に個人的に利用しているユーザーがいるという可能性です。
と言及しています。
マイニングをするということは、高性能計算機を使って複雑な数学式を解くことでビットコイン取引が正確であることを確かめ、その報酬としてビットコインを得ることです。
しかし、北朝鮮という独裁的な国の国民のほとんどはインターネットにアクセスできません。
スレート誌によると、大学生、科学者、及び選ばれた政府官僚は国内イントラネット(Kwangmyong)にアクセスできます。しかしそのイントラネットではEメールやウェブサイトは利用できるものの、他の国からは切り離されてるそうです。
そうなるとインターネットにアクセスが可能な北朝鮮民は
地位が高いリーダーなどしか世界のインターネットウェブサイトに直接アクセスできない。とモリウチ氏も考えています。
北朝鮮マイニングと中国との関係?
北朝鮮のインターネットアクセスは主に3つのIPアドレスの範囲で行われおり、そのうちの一つは中国網通によって割り当てられています。ビットコインの価値は今年3倍以上となり、3800ドルに到達しました。北朝鮮の一番の取引先である中国はビットコイン世界で大きく活躍されビットコインの半分以上は中国で採掘されています。
さらに、中国のBitmain社とCanaan社はマイニングゲームハードウェアを独占しており、彼らのASICマイナー(通常の採掘機よりも50倍の速さで採掘ができる)は大規模なビットコイン採掘作業では必須なツールになってきました。
北朝鮮のインターネットアクセスが中国と繋がっていることなどを考え、ブロックチェーンコンサルタントでありながらNYCビットコインミートアップ設立者であるジョナサン・モハンによると、
仮に、中国が前から存在する取引関係を通し、北朝鮮からビットコインを買い取って中国市場にばらまいていても驚きではないです。と言及しました。
これに対しての中華人民共和国海関総署はノーコメントとしています。
北朝鮮への制裁
2014年にアメリカ合衆国財務省は制裁を避けるためにデジタル通貨が使われてしまう心配について語りました:
制裁が下された状態でも仮想通貨を使って匿名で取引を行うことができてしまうと我々が下す制裁の力が弱くなってしまいます。
1年前にFinCEN(アメリカ財務省金融犯罪取締ネットワーク)は仮想通貨取引所(Digital currency exchange)にFinCENに登録し資金洗浄やテロリストの資金調達などの怪しい取引があったら報告するように要請しました。以来、メジャーであるCoinbaseを含む多くの会社が登録をしています。
Coinbase社では北朝鮮や他に制裁を下されている国では運転せず、北朝鮮でのビットコインの動きについては全くコメントをしません。
Cryptocurrency Market Capitalizations によるとビットコインの総取引はもう少しで20億ドルに達し、北朝鮮でのビットコインの動きは世界に比べるとごくわずかである可能性が高いです。しかし、モリウチ氏によると
北朝鮮がしばらく前からビットコイン採掘をしていたが、一時期中止している、もしくは他の場所の施設やコンピューターを使っている可能性があります。そうなった場合、我々はその一時期のデータだけを見ていることになります。
発見までの経緯 / ハッキングとの関係性?
最初モリウチ氏はチームと共に北朝鮮のミサイル発射の前兆を探していた時、偶然ビットコイン採掘の動きを発見しました。
モリウチ氏は
5月17日の週のデータを受け取ったとき、見たことがないような不自然なビットコインの動きに気づきました。それは明らかにビットコイン採掘による動きであり、その後も進行を続けていました。と述べています。
モリウチ氏はそのビットコイン採掘を「怪しい活動」として報告しました。
彼女は以下のように述べています。
「ビットコイン採掘自体は全く犯罪でも怪しい活動ではありませんが、タイミング的にWannaCry攻撃と興味深い相関性がありました。」
万単位のコンピューターとデータファイルをロックし、ビットコイン支払いの身代金を要求したサイバー攻撃の5日後に北朝鮮でのビットコイン採掘が始まったことを考えると、アメリカ国家安全保障局もサイバー攻撃を北朝鮮と関係があると考えています。
北朝鮮は軍事費への一方的な偏り及び下された数々の制裁により長期にわたって経済問題に悩まされており、8月に下された制裁によって中国は北朝鮮から鉄、石炭、海産食品の輸入を禁止されました。これは北朝鮮の取引所得の約35%に値するため、北朝鮮はこれらの制裁をうまく避けるためにインターネットアクセスがあれば誰でも比較的容易にできます。
ビットコインマイニングを始めたのかもしれません。または、中国が輸入が制御されたため、北朝鮮を通じてマイニングで金を儲けている可能性も考えられるでしょう。
今後の北朝鮮仮想通貨利用に対しての世界の動き
最終的には国際社会及びビットコイン社会が北朝鮮とのビットコイン取引に賛成かによって今後が決まります。
MITビットコインクラブの幹部Nchinda Nchindaによると
取引をする相手を決めることは人の自由であるため、多くの人が北朝鮮とのビットコイン取引を拒否すれば北朝鮮はビットコインを通して何もできなくなります。とコメントを残しています。
Bitcoin ‘mining’: A new way for North Korea to generate funds for the regime
13 Sep 2017 Qin Chen
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