株価は反発
日経平均株価は、前週末比429円高の18,249円で前場を引けた。GMOを筆頭に仮想通貨関連銘柄も反発している。
新型コロナウイルス(COVIT-19)の感染拡大を受けた緊急事態宣言の報道も好感されたようだ。
一見するとマイナスファンダであるが、先行する欧米を鑑みて市場に織り込まれていること、国内でも日々感染者数が増加する中で緊急事態宣言が発出されずに対応を保留せざるを得ない首都圏の企業や学校関係者、医療従事者らの危機感が募っていたこと、緊急事態宣言を受けた国の救済策や対応強化の本格化が想定されることなどが投資家心理にプラスに働いた。
懸念されていた、東京オリンピック延期や米雇用統計なども経過し、当面の悪材料は市場が織り込んだとの見立てもある。
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ソフトバンク孫正義社長が、今月4日までに実施したTwitterの大規模アンケート結果によれば、回答者24万人のうち、実に80%以上が緊急事態宣言の発令を支持していた。
東京都知事の緊急記者会見などを受け、国民の多くはすでに外出を控えているほか、会社への出勤を避ける企業のテレワーク対応も大幅増加。予定されていた各種中・大型イベントは延期や中止など自粛を余儀なくされ、週末の閑散とした街並みも報じられている。
コロナ・ショックが襲った2020年3月
3月は、欧米圏での感染拡大に伴い海外勢が大幅な売り越しに転じ、国内でも13日の株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数(SQ)に合わせるようにして、全市場が一斉に売りへと傾いた。
ニューヨーク株式市場は、ダウ平均が過去最大となる2300ドル超の下げ幅でサーキットブレイク。その3日前に記録した過去最大の下げ幅をいとも容易く更新した。12日には日経平均株価も大暴落となり、ビットコイン(BTC)価格も前日比-45%という史上稀に見る下落幅を記録した。
追証回避売りなどの現金捻出需要が急拡大したことで、安全資産である金や債券まで投げ売られるというまさにパニック相場となり、個人投資家はもちろん、機関投資家ですら阿鼻叫喚の渦中にあったといっても過言ではない。
日経平均株価が16,726円まで下落した18日には、日経平均の今期予想株価収益率(PER)は10.68倍に。 13年〜18年にかけて14〜16倍で推移していたが、米中貿易戦争に伴う先行き不透明感が募ると、14倍を下回る状況が続いていた。
また、同日のPBR(株価純資産倍率)は、0.83倍まで急降下している。PBRの1倍割れは7年3ヶ月ぶり。 PBRとは企業の資産面から株価の状態を判断する指標で、「割高」か「割安」かを判断する基準の一つとなる。
しかし、高時価総額銘柄の影響力が大きくなる加重平均は実態に則しておらず、指数ベースだとPBR1倍水準は13,500円付近との指摘もあり、今後世界中の企業の業績急悪化が露呈することが想定される中、株価のフェアバリューをどこまで認められるかは判断の別れるところだ。
経済停滞が長期化すれば、想定を大幅に超える業績悪化や大手企業の経営破綻につながるケースも起こり得るため、この先も予断を許さない展開が予想される。
ビットコイン市場
ビットコイン(BTC)は、前日比0.35%高の74.5万円(6844ドル)に。
日足確定タイミングの午前9時には、日経平均の反発に後押しされるようにして1.5万円幅ほど上昇した。
急落後に下値の固さが確認される一方で上値も重く、狭いレンジ内を乱高下しつつ推移している。
歴史的な経済危機を背景に、市場規模の違いから米ダウの値動きなど外部環境に依存する場面も多く、少なからず振り回される展開は今後も続くものと考えられる。
なお、米ETF専門企業VanEckの分析によれば、ビットコインと金(ゴールド)は、世界的なコロナ・ショックにおける有事に伴い、歴史上最も高い相関性を示している。
深刻化する実態経済へのダメージを最小限に抑えようと各国も必死だ。過去最大規模の大型経済・金融政策を矢継ぎ早に出したことで、全アセット現金化の最悪フェーズは一旦脱したとの見方がある。ましてやトランプ大統領率いる米国は、4年に1度の大統領選挙を目前に控えており、感染拡大ペースの早さからも悠長に構えていられる余裕は全くない。
しかしながら、大掛かりな金利引き下げなど金融緩和政策は副作用のリスクもある。停滞する経済活動の活性化を促す一方、量的緩和に伴うインフレーションで物価が上昇すれば、相対的に現金(預貯金)の価値が目減りする懸念もあるからだ。
インフレ局面で資金の集まりやすいゴールドやプラチナなどの貴金属同様、「有限供給量」のビットコイン(BTC)が、中央集権的かつ、ある種「無限供給量」の法定通貨に対してアンチテーゼとなり得るか、価値の保存手段として分水領にあると言えよう。