はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

160億円相当が不正流出のMango Markets、浮き彫りとなった3つの脆弱性

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FTXサムCEOの指摘

大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリードCEOは12日、160億円相当の資産が流出したMango Marketsへの攻撃を分析した。

顧客口座の証拠金リスク計算をリアルタイムで実行する「リスクエンジン」の保護、及び基本的な動作確認(サニティチェック)が不足していたと、資金を奪われたDeFi(分散型金融)プロトコルを指摘した。

サム氏の主張からは、Mango Marketsの主に3つの脆弱性が読み取れる。

1つ目は、Mango Marketsの永久先物市場が参照価格に、オラクルが提供する価格フィードの生データを使用していたこと。今回、参照元であるMNGO現物市場の価格が意図的に10倍に引き上げられ、攻撃者の資産評価額が不当に吊り上がり、Mango上の流動性が実質全て借り上げられた。

2つ目は、流動性の低いトークンに一切条件を付けずに、資産借り入れの担保として認めていたこと。実際にハッキングで使用されたMNGOが短時間で0.04ドルから0.40ドルに上昇したように、流動性の低いトークンの価格は簡単に上下する。

これら流動性の低いトークンは額面価値のまま実際に売却することはできないため、ステーブルコインやビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などより安定性の高い資産と同一種類の担保として扱うべきではない。

そして3つ目は、巨大なポジションを抱えるユーザーポジションのリスクを放置したことだ。2つ目の要素と組み合わさって、Mango Marketsは攻撃者にみすみす160億円(1億ドル)相当ものトークンを引き出すことを許した。

Mangoはどのようにすれば良かったのか?その答えはFTXに既にあるようだ。

サム氏によれば、FTXのデリバティブ市場ではリスクエンジンに指数平滑移動平均(EWMA)の概念を取り入れている。外部市場から変動幅の激しい価格フィードを受け取ってもすぐには動かない。「5分間で20%以上動かない」ように調節されているという。今回のケースでは、MNGOが900%上昇した場面においてもFTXでは100%程に上昇幅が抑えられた。

関連:Mango Markets、160億円相当の資産が不正流出か

オラクルとリスクエンジン

また、FTXでは基本的に米ドル以外の担保は、ヘアカット(担保価値評価額の削減)が行われている。加えて、「IMFファクター(コインに必要な証拠金の乗数)」があり、流動性の低いトークンにはより大きなマージン(証拠金)を要求する。

仮にFTXで5億MNGOをマージンに使用するには、500%もの厳しい(不可能な)証拠金維持率が課せられる。さらには、大きなポジションに対しては所定の証拠金維持率に達する前からポジションの支払い能力が再評価されるという。

このような対策が施されていないMango Marketsでのハッキング事件は、起きるべくして起きたもの、とサム氏は示唆している。DeFiプロトコルが多用するオラクルの価格フィードの設計をついた攻撃が多発していることを受けて、同氏は「オラクルは市場の歴史と現在の状態を教えてくれるが、何も教えてくれない」として以下のように指摘した。

その情報を消費し、どのポジションが安全かを判断するのは、リスクエンジンの仕事だ。時には、オラクルを何も考えずに再現する訳にはいかないこともある。自分自身で判断しなければならない。

関連:FTXサムCEOの嘆き「仮想通貨業界の窮地を共に救える企業がない」

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/26 水曜日
16:30
MEXC、毎月の準備金監査を導入 Hackenを独立監査人に任命
暗号資産取引所MEXCがブロックチェーンセキュリティ企業Hackenを独立監査人に任命し、毎月の準備金監査を導入。初回報告は11月末に公開予定。マークルツリー方式による検証の仕組みも解説。
15:35
ロビンフッド、予測市場向けデリバティブ取引所を新設 2026年運営開始
ロビンフッドがサスケハナと提携し、CFTC認可の先物取引所を買収。予測市場事業を強化し、2026年の独自取引所運営を目指す。市場規模は2035年までに955億ドルに達する見込み。
14:50
日本の暗号資産規制、具体的な方向性は?──金融審議会WG
金融審議会WGが暗号資産規制の報告書案を取りまとめ。資金決済法から金商法へ移管し、インサイダー取引規制や課徴金制度を新設する。銀行子会社の参入も解禁。座長は「お墨付きを与えるものではない」と強調した。
14:12
仮想通貨企業のベンチャー投資、価格上昇でも活動は低調=レポート
仮想通貨金融大手ギャラクシーデジタルは、2025年第3四半期(Q3)の仮想通貨ベンチャーキャピタル(の現状について、市場心理は改善し活動も増加しているものの、以前の強気相場の水準には大きく及ばないと指摘した。
13:35
F・テンプルトン、ソラナETFの最終上場手続きを完了 まもなく取引開始へ
運用資産255兆円を誇るフランクリン・テンプルトンがソラナETFのForm 8-Aを提出。取引開始が目前に迫る中、既存のソラナETFは20日連続で純流入を記録し、累計858億円の資金が流入している。
13:10
米CFTC、民間企業CEOにイノベーション評議会への参加を呼びかけ 仮想通貨にも対処 
米CFTCのファム代理委員長が「CEOイノベーション・カウンシル」参加者の候補者推薦を呼びかけた。仮想通貨や予測市場の規制策定に向け、業界リーダーを募集している。
11:15
VanEck、BNB現物ETFのステーキング計画を撤回 方針転換に
VanEckが米SECに提出したBNB現物ETFの修正届出書で、当初予定していたステーキング機能を撤回。BNBの有価証券分類をめぐる規制リスクが背景にあるとみられる。
11:05
米上場のリライアンス社、デジタル資産トレジャリーをジーキャッシュ(ZEC)に一本化
ナスダック上場のリライアンス・グローバル・グループがデジタル資産トレジャリーを仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)に統合した。プライバシー機能を持つ仮想通貨への需要が高まる中、サイファーパンク・テクノロジーズも追加購入を発表している。
10:25
予測市場ポリマーケット、CFTC承認受け米国市場に正式復帰
予測市場大手ポリマーケットが米CFTCの承認を受け、3年ぶりに米国市場に正式復帰。2022年の罰金処分後、QCX買収とICEからの投資を経て、完全規制下での事業再開へ。
10:10
スタンダードチャータード銀行、21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定
スタンダードチャータード銀行が21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定された。機関投資家の需要に対応し安全な保管サービスを提供。様々な仮想通貨企業とも提携を進めている。
10:05
「仮想通貨交換業者の販売所誘導に懸念の声」金融庁の作業部会
金融庁は、仮想通貨制度に関する作業部会の報告書案を公開。報告書案には、仮想通貨交換業者の販売所誘導に対する懸念が指摘されているとも記載されている。
07:35
仮想通貨支持派のホワイトハウス経済顧問ハセット氏、次期FRB議長の最有力候補に浮上
ホワイトハウス国家経済会議のケビン・ハセット委員長が次期FRB議長の最有力候補として浮上。トランプ大統領の信頼が厚く金利引き下げ方針に賛同する人物で、デジタル資産市場作業部会で中心的役割を果たしコインベース株も保有。
06:58
米銀大手USバンコープ、ステラで独自ステーブルコインをテスト
米国第5位の銀行USバンコープがステラブロックチェーン上で独自のステーブルコインをテストしている。資産凍結機能などのセキュリティを評価し、バンク・オブ・アメリカやシティに続いてデジタル資産への取り組みを拡大。
06:40
メタプラネット、ビットコイン担保に約200億円を借入れ
メタプラネットは、約203億円の借入れを行ったことを発表。調達した資金は、ビットコインの追加取得やビットコインインカム事業、市場環境に応じては自己株式の取得に充当する予定だと説明した。
06:30
ビットワイズのドージコインETFも承認、水曜日にも取引開始見込み
ニューヨーク証券取引所がビットワイズのドージコインETFの上場を承認した。水曜日にも取引が開始される見込みで、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧