マクロ経済環境と流動性
暗号資産(仮想通貨)サービス企業Matrixportは14日、週次市場レポートで、2024年の見通しとして仮想通貨市場に有利なマクロ経済環境と流動性を解説。「SEC(米証券取引委員会)が2024年1月に、ビットコイン現物ETFを承認しなかったとしても、2024年には暗号価格が上昇する可能性が高い」と主張した。
Matrixportのリサーチ部門を率いるマーカス・ティーレン氏は、2022年のような流動性の低い環境下では仮想通貨は苦戦する傾向がある一方、将来流動性が高まると期待されると成長すると説明。これが昨年下落したビットコインが、今年上昇した理由だと述べた。
前回のビットコインの強気相場は、米政府による「コロナ禍に対する過剰な刺激策」で生じた高い流動性に端を発し、その制限が示唆された2021年11月にピークに達した。また、FRBによる利上げサイクルの終了への期待が高まると、価格は底を打ったとティーレン氏は言う。
米国連邦準備制度理事会(FRB)は23年7月から利上げを停止しているが、この状況は、2018年にFRBが連続利上げを行ったのち、その後7ヶ月に渡り停止した2019年1月と似ているという。そして、その「一時停止中」に、ビットコインは300%近く上昇したと指摘した。
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米企業には潤沢な余剰現金
ティーレン氏によると、米国株式市場の28%のシェアを占めるテクノロジー企業が「負債はほぼゼロ」であり、「必要のない現金を大量に蓄え込んでいる」という。
その例として、Apple(1,670億ドル≒23.7兆円の現金と短期投資)、アルファベット (1500億ドル≒21.3兆円の現金)、マイクロソフト(1210億ドル≒17.2兆円の現金)を挙げた。
総じてSP500の上位13社は1兆ドル(142兆円)の現金を持っているが、これらの企業は十分なキャッシュフローを生み出しており、現金を必要としない上に、FRBの高金利の恩恵を受け、この現金に対して5.25%の利子を得ていると指摘。つまり、これらの米企業には年間525億ドル(7.4兆円)の「フリーマネー」が手元にあることを意味すると、同氏は強調した。
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マネー・マーケット・ファンド残高は倍増
また、パンデミック以降、米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)残高は3兆ドル(426兆円)から6.1兆ドル(866.1兆円)に急増したという。
ティーレン氏によると、これは現在、毎年約3,700億ドル(52.6兆円)の利息が支払われていることを意味し、1日に換算すると約10億ドル(1,420億円)に達する。そして、その資金はMMFだけでなく、株式や仮想通貨などのよりリスクの高い投資に「簡単に」流入する可能性があると述べている。
ビットコイン半減期と大統領選挙
マクロ経済環境以外でビットコイン価格に影響を与える要素として、ティーレン氏は2024年のビットコイン半減期と米大統領選をあげた。
4回目となるビットコイン半減期は2024年4月18日前後に予定されており、マイニング報酬は現在の6.25 BTCから3.125 BTCに削減される。過去の半減期の年には、ビットコイン価格は平均192%上昇したと同氏は指摘した。
また、ティーレン氏は、ドナルド・トランプ前大統領が再選される「可能性が高い」と見ており、「トランプ氏の政策は米国経済を押し上げ、それに伴って米国の株価や仮想通貨の価格も押し上げられる可能性がある」と期待を寄せた。
米資産管理大手VanEck社も2024年の予測レポートで、トランプ氏再選の可能性を指摘。その政治的変化により、ゲンスラーSEC委員長の規制アプローチに変更を促すとの機運が高まり、ビットコイン価格が11月には過去最高値を記録すると予想している。
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