はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

CoinW仮想通貨市場レポート:大きな転換期を迎えた2024年の総括と今後の展望

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産(仮想通貨)年次レポート

2024年末の暗号資産市場は大きな転換期を迎え、12月17日には市場全体の時価総額が約3.908兆ドルまで拡大しました。この急成長の主な要因は、ビットコイン価格が史上初めて10万ドルを突破したことにあり、その背景には米SEC(証券取引委員会)によるビットコイン現物ETFの承認が大きく影響しています。

これにより機関投資家からの大規模な資金流入が促され、市場の流動性は大幅に改善しました。また、イーサリアムをはじめとするアルトコインも、機関投資家の関心拡大と伝統金融業界での認知度向上により恩恵を受けています。

CoinGecko.com

2024年の上昇相場を牽引した要因

2024年1月10日、米証券取引委員会(SEC)が複数のスポットビットコインETFを承認したことで、機関投資家の参入が加速しました。この決定によりビットコインは正式な投資資産としての地位を確立し、市場への大規模な資金流入のきっかけとなりました。

さらに、2024年4月19日に実施されたビットコインの半減期イベントは、市場の楽観的な見方をより一層強めることとなりました。

4年に1度の半減期は、歴史的に供給量の減少を通じて価格上昇につながりやすく、実際にビットコイン価格は半減期後、6万3,500ドルから10万8,000ドルまで上昇し、2024年12月17日時点で約10万6,000ドルを記録しています。

この強気相場は暗号資産市場全体に波及し、規制下での参入を目指す主要機関投資家の動きは、より多様な暗号資産投資への展開を示唆しています。機関投資家からの信頼が高まるにつれ、イーサリアムなどのアルトコインも時価総額と採用率の両面で著しい成長を遂げています。

機関投資家の本格参入

この動きを主導したのは、世界最大手金融機関のブラックロックのビットコインETF「iShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)」で、2024年末時点で約551,917BTCを保有し、その価値は約517億ドルに達しています。フィデリティやヴァンエックといった大手金融機関も暗号資産ETFの展開を進め、規制に準拠した安全な投資環境の整備に貢献しました。

機関投資家の参入による影響は、以下の点で顕著に表れています:

・ビットコイン価格の記録的な上昇:2024年初めの約4万2,200ドルから年末には10万8,000ドルまで上昇

・取引量の大幅な増加:中央集権型取引所の取引量は過去最高を記録し、2024年12月5日には約2,480億ドルを達成

・オプション市場の拡大:2024年11月中旬にはビットコインのオープンインタレストが40億ドルを超え、価格が7万ドルを突破すると急速に拡大

機関投資家の積極的な参入は、暗号資産が正当な投資対象として広く認知されつつあることを示すとともに、投資環境の多様化が進んでいることを表しています。

coinglass.com

規制環境と地政学的影響

ビットコイン現物ETFの承認により、投資家は従来の投資信託の枠組みを通じてビットコインに投資できるようになりました。これにより伝統的な金融市場における暗号資産の正当性が高まり、2024年5月23日にはイーサリアムETFも承認されるなど、機関投資家が求める安定した投資環境の整備が進んでいます。

また、リップル社と米SEC(証券取引委員会)の訴訟では、XRPの一般販売については証券性を否定し、機関投資家向け販売については証券として分類するという判断が下され、1億2,500万ドルの和解金支払いで決着しました。

この判決は規制の明確化につながる重要な先例となり、他の暗号資産企業や機関投資家にとっての不確実性を軽減するものとなりました。

一方で、規制面での課題も残されています。バイデン前政権が提案した暗号資産マイニングへの30%課税は、事業運営コストや米国でのマイニング事業の採算性に対する懸念を引き起こしています。

2024年の地政学的な動向も暗号資産市場に大きな影響を与えました。ロシアはドル支配への対抗策としてビットコインの活用を提唱し、中国は金融安定性への懸念から厳格な規制を導入する一方、香港では4つの暗号資産取引所に営業許可を与えるなど、柔軟な対応を示しています。

欧州では2024年12月30日にMiCA(暗号資産市場規制)が発効し、EU加盟国間で統一された規制の枠組み作りが進められています。

さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き下げ(5.25-5.5%の範囲から4.25-4.5%の範囲へ)は、ビットコインの投資魅力を高め、市場の流動性向上に寄与しています。

分散型金融(DeFi)の発展

2024年のDeFi分野は目覚ましい成長を遂げ、総ロック価値(TVL)は2023年末の54.44億ドルから約119.72億ドルまで拡大し、約120%の伸びを記録しました。

この成長を牽引したのは貸付プロトコルで、2024年のTVLは74.94億ドルに到達し、次いで流動性提供プロトコルが59.5億ドルを記録しています。

DeFiLlama.com

TVLの著しい増加は、DeFiが従来の金融システムの有力な代替手段として認知されつつあることを示しています。DeFiエコシステムでは、新たな金融基盤の構築や機能の多様化を実現する革新的なプロトコルが次々と登場しています。

特に注目を集めているのが、Babylon Labsが展開するビットコインを基盤としたDeFiサービスです。ユーザーは資産の所有権を保持したままBTCを預け入れることが可能で、そのTVLはすでに20億ドルを超えています。

DeFi市場全体の成長は、投資家からの信頼回復を反映するとともに、分散型プラットフォームにおけるユーザー体験の向上と収益機会の拡大を示しています。

2024年の市場トレンド

2024年は実物資産(RWA)のトークン化が大きく進展しました。ミクロ・キャピタルによるマイクロファイナンス向けトークン化債券や、ダイヤモンド・スタンダード・ファンドによるダイヤモンドのトークン化など、従来アクセスが困難だった資産への投資機会が広がっています。

大手金融機関の参入も加速し、ブラックロックやフランクリン・テンプルトンなどがトークン化されたマネーマーケットファンドを導入。これは従来型金融におけるトークン化技術の実用性を実証する取り組みとなっています。

注目すべき動きとして、OndoのUSDYやUSDeといった革新的なステーブルコインの登場があります。これらは米国債を裏付けとした安定的な利回りを提供しながら、規制要件にも対応しています。また、Pump.funやHyperliquidなどのプラットフォームを通じて、分散型金融(DeFi)と中央集権型金融(CeFi)の融合が進み、取引の民主化と機関投資家の関心を高めています。

2024年には、ミームコイン市場も新たな展開を見せました。Solanaプラットフォーム上のCHILLGUY、HAWK TUAH、GOATなどのプロジェクトが小売投資家の注目を集め、各々の時価総額は5億ドルを超えています。ただし、新規トークンの高い失敗率は依然として課題となっています。この現象は暗号資産市場におけるコミュニティ主導の特性とトレンドの影響を示す一方で、ミームコイン市場の持続可能性や価格変動性、市場操作に関する懸念も指摘されています。

2025年の展望

2025年のビットコイン価格予測は、2024年の好調な市場環境と暗号資産に好意的な政策期待を背景に、かつてない盛り上がりを見せています。

市場アナリストたちは概して楽観的な見方を示しており、米国が戦略的なビットコイン準備金制度を導入した場合、主要金融機関は10万ドルから100万ドルまでの幅広い目標価格を掲げています。業界専門家からは、年末までに25万ドルを超えるとの予測も出ています。

ただし、これらの強気な予測にもかかわらず、ビットコイン価格は依然として投機的な性質を持ち、従来の金融商品と比べて市場心理の影響を強く受けやすい状況が続いています。

アルトコイン市場については、XRP、ソラナ、ドージコインなど主要銘柄のイノベーションと一般認知度の向上により、時価総額が7兆ドルに達するとの予測が出ています。個人投資家の高利回り追求姿勢から、ビットコインからアルトコインへの資金シフトが予想され、2025年は活況なアルトコインシーズンの到来とともに、市場全体の大幅な評価額上昇が期待されています。

結論

2024年の暗号資産市場は、規制環境の整備と機関投資家の本格参入により、大きな転換点を迎えました。伝統的金融と分散型金融の融合が進展する中、2025年以降も成長が継続すると期待されています。

こうした市場環境において、CoinWは「信頼できる暗号資産のパートナー」として、業界の知識習得を目指すトレーダーや投資家に向けて、価値ある情報とリソースを提供していきます。さらに、LALIGAとの提携をはじめとする戦略的パートナーシップを通じて、より幅広い層に向けて金融技術の未来への扉を開いていきます。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/20 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、投資会社創設者によるETH1万ドル到達予測やXRPの最高値更新など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン1800万円目前で揉み合い、米規制緩和進展が下値支え|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)対円相場が1800万円を窺う展開。史上最高値更新後の高値揉み合いが続く中、米下院でのジーニアス法案可決など規制緩和の進展が相場を支援。トランプ政権の仮想通貨政策レポート公表を22日に控え、戦略的ビットコイン備蓄の具体策にも注目。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ大統領による米初の仮想通貨包括規制法署名に高い関心
今週は、ビットコインの価格予想、古参ビットコイン大口保有者の動向、トランプ大統領による米初の仮想通貨包括規制法への署名に関する記事が最も関心を集めた。
07/19 土曜日
13:50
トランプ一族関連のWLFI、4.5億円分のイーサリアムを追加購入 総額370億円超に
ワールド・リバティ・フィナンシャルが861ETHを新規購入し、総保有量は70,143ETHに到達。仮想通貨法案可決が追い風に。
13:20
ジャック・ドーシーのブロック社、S&P500指数に追加へ
ジャック・ドーシー率いるブロック社がS&P 500指数に追加される。株価は時間外取引で10%以上上昇した。同社は米国製の新ビットコインマイニングチップを年内発売予定だ。
11:30
ピーター・ティール支援の仮想通貨取引所ブリッシュがIPO申請=CNBC
元NYSE社長トム・ファーレイ率いるブリッシュが証券取引委員会にIPOを申請。コインデスク買収実績を持つ同社の上場計画と業界動向を報告。
11:02
著名アナリストが分析、「ビットコインからイーサリアムへ資金移動、アルトシーズンの兆し」
ウィリー・ウー氏らがアルトシーズン開始を予測。仮想通貨ビットコインからイーサリアムへの資金ローテーションが本格化し、アルトコイン市場の上昇環境が形成。
10:05
JBA、暗号資産アンケート 分離課税20%導入の場合84%が投資増額意向
日本ブロックチェーン協会が暗号資産税制アンケート結果を公表した。保有者の84%が分離課税20%で投資増額すると回答した。また、10人に1人以上が暗号資産を保有などの結果も出た。
08:50
仮想通貨全面高の一週間、米下院クリプトウィーク振り返りと今後の見通し|仮想NISHI
今週の仮想通貨市場は、米下院で開催された「仮想通貨週間」において、ビットコインが史上最高値となる12万ドルを超える展開となった。アルトコイン市場においても大幅な上昇が見られた。
08:30
リップル発行のRLUSD、ブルーチップから最高評価獲得
独立の格付け機関ブルーチップがリップルのRLUSDステーブルコインにA評価を付与。BNYメロンでの準備金管理と堅牢なコンプライアンス体制などが評価された。
07:30
「米SECはトークン化の規制例外措置を検討中」アトキンス委員長
米SECのアトキンス委員長が、SECは証券のトークン化における規制の例外措置を検討していると明かした。RWAのトークン化は仮想通貨・ブロックチェーン領域で大きなトレンドになっている。
07:00
「保有していれば国家債務削減できたか」ブルガリア政府が2018年に手放した21万ビットコインの現在価値
ブルガリア政府が2018年に売却した21万3500BTCの仮想通貨ビットコインの現在価値は250億ドル超。同国債務の約8割に相当する巨額損失として話題に。
06:20
米上場ビットデジタル、イーサリアム保有量12万ETHに拡大
米ナスダック上場のビットデジタル社が18日、6730万ドルの資金調達で19683ETHの仮想通貨イーサリアムを追加購入。総保有量は120,306ETHで、時価4.24億ドルに拡大。
05:40
トランプ大統領がステーブルコイン法案に署名、米初の仮想通貨包括規制法が成立
トランプ大統領が19日、ステーブルコイン規制枠組みを定めるGENIUS法案に署名し米初の仮想通貨包括規制法が成立。2500億ドル規模のステーブルコイン市場に明確な規制導入。
07/18 金曜日
17:36
JBA、仮想通貨の税制改正「5項目」提言 申告分離課税20%など
日本ブロックチェーン協会が7月18日、暗号資産の税制改正要望書を政府に提出。最大55%の総合課税から20%分離課税への移行、損失繰越控除、暗号資産同士の交換非課税など5項目を要望。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧