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セイラー率いるストラテジー社のビットコイン戦略を徹底分析=VanEck

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコイン投資商品としての位置付け

資産運用大手VanEck(ヴァンエック)は22日、米ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)のビットコイン戦略について分析したレポートを発表。同社の株式 (MSTR)を「レバレッジをかけたビットコイン投資商品」と定義し、そのメリットとリスクを解説した。

マイケル・セイラー氏率いるストラテジー社は、2020年に現金準備金の大部分を暗号資産(仮想通貨)ビットコインに投資するという大胆な財務戦略を採用した。継続的にビットコインを購入し、現在576,230 BTC(ビットコイン総供給量2,100万枚の2.7%超)を保有。時価総額は640億ドル超(約9.2兆円)に達する。

ストラテジー社の戦略は、普通株1株当たりのBTCの「裏付け」を増やすことで、株価を最大化することだ。

まず、債券や株式の発行により資金を調達し、ビットコインを追加購入することで、1株当たりのBTC保有量(「ビットコイン利回り」)を増やす。ビットコイン価格の上昇局面で、投資家意欲が高まるタイミングを利用し、新たな債券発行で資金を調達。さらなるビットコイン購入とレバレッジ強化を繰り返す。

その結果、MSTR株はビットコイン価格の上昇に連動して、加速的なビットコインへのエクスポージャーを提供する。VanEckは、MSTR株の価格ダイナミクスは、ビットコインのコールオプションに類似していると評価している。

関連:マイケル・セイラーのストラテジー、ビットコイン追加取得のため3000億円調達計画

プレミアム発生の理由

ストラテジー社の株価には、同社が保有するビットコインの価値(純資産価値、NAV)よりも高い価格(+112%)で取引されるプレミアムが発生している。

VanEckはプレミアムを支える要因として次の四つを挙げた。

  • 将来のBTC保有量に対する市場の期待感:同社がビットコインを継続して購入し、BTC価格も上昇するという認識
  • 規制プレミアム:規制の制約により直接ビットコインを購入できない投資家層の存在。同社の上場株式がビットコインへのエクスポージャーの魅力的な代替手段として機能
  • レバレッジ効果:セイラー氏の卓越したレバレッジ活用能力への投資家の信頼
  • 投機的なポジショニング:ボラティリティと資本構成の効果的な利用

VanEckは、プレミアムがストラテジー社の原動力となる「クリプト・リアクター」だと主張している。

このプレミアムは、ボラティリティとビットコインへのエクスポージャーが投資家の資本を引き付け、プレミアムを増幅させるBTCのさらなる蓄積を可能にする再帰的なループを通じて、MSTRの株式価値を高める。

関連:サウジ中央銀行、15億円相当のストラテジー株保有でビットコインに間接投資

ビットコイン戦略における主なリスク

VanEckは、ストラテジー社のビットコイン戦略を高く評価する一方で、その戦略モデルにおける主なリスクも指摘した。

  1. ビットコイン価格の下落:ビジネスモデルはBTC価格の上昇を前提としている
  2. BTCまたはMSTRのボラティリティの低下:MSTRの転換社債および優先株への投資家の関心を低下させる
  3. MSTRのNAVプレミアムの急落
  4. コア事業の悪化:ソフトウェア事業は依然としてキャッシュフローに貢献
  5. レバレッジ型BTC商品を可能にする規制変更
  6. 他企業によるビットコイン戦略採用:競争の激化 規模が小さい新興企業は少ない資本で高いBTC利回りと1株あたりBTCレベルを達成可能
  7. 債務返済のための強制清算
  8. ストラテジー株に対する需要の低下
  9. 1株あたりBTC保有量の希薄化
  10. 資本市場の不安定性
  11. 金利の上昇:債券発行コストの上昇 転換社債に対する投資家意欲減退、資金調達能力の制限

関連:ストラテジー社とセイラー氏、ビットコイン投資の収益性めぐり投資家から集団訴訟

プレミアムには価値があるのか

ビットコイン財務戦略を採用した企業の動向をレポートしているMicroStrategistは、純資産価値(NAV)の倍率で示される株価のプレミアム(mNAV)についての考察を発表。プレミアムが正当なものかの判断材料として「カバーする日数」(Days to Cover)指標を提供した。

この指標は、アダム・バック氏によって提唱され、「現在のビットコインの積み増し率で、この企業が時価総額から推定されるBTCを獲得するにはどれくらいの時間がかかるのか」を評価するものだ。

関連:アダム・バックが試算、メタプラネット株価1340円到達の可能性も

例えば、ある企業の現在のmNAVが4.26で、日次利回り0.88%でBTCを積みましていた場合、現在の保有量の4.26倍のビットコインを取得するのに165日かかることになる。

出典:VanEck

100日BTC利回りに基づいたカバー日数で、ストラテジー社とメタプラネットとALTBGなどビットコイン戦略を採用した企業を比較すると、mNAVが2.1のストラテジー社は626日、5.08のメタプラネットは110日、9.4のALTBGは152日という結果が得られた。

メタプラネットやALTBGは、BTC保有量は少ないものの、急速に複利効果を上げており、それがカバー日数の短さに反映されている。

ストラテジー社は、4年間の運用実績があり投資家から信頼されているが、中小規模企業が、より高いBTC利回りと早い複利効果によって、同社に追い上げてきていることが明らかになった。

関連:ビットコインと仮想通貨関連株はどちらを買うべき?メリット・デメリットを解説

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