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人工知能と人間の創造性、消費者アプリの活用事例|WebX2025トークセッション

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

AIエージェントが開く未来とは

大型Web3カンファレンス「WebX」では25日、「AIエージェントが変える:ソーシャルグラフと消費者アプリの未来」をテーマとしたパネルセッションが開催された。AI(人工知能)の専門家らが、AIの可能性や危険性、今後の展望を語った。

「WebX」は国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」を運営する株式会社CoinPostが企画し、一般社団法人WebX実行委員会が主催するWeb3カンファレンスで、今年は8月25日と26日に「ザ・プリンスパークタワー東京」で開催されている。

Chili Venturesのベラ・リー創設者が司会を務め、以下の四人がパネリストを務めた。

  • トマーシュ・レヴァク氏(OriginTrail創設者)
  • ショー・ウォルターズ氏(Eliza Labs創設者)
  • ショーン・ソン氏(XerpaAI創設者・CEO)
  • マイケル氏(0G Labs CEO)

左から:Vera Li氏、マイケル氏、ショー・ウォルターズ氏、トマーシュ・レヴァク氏、ショーン・ソン氏

「驚くほど創造的」なAIの事例

まずパネリストたちは現在存在しているAIに感銘を受けた事例について語った。

マイケル氏は、病院の事務室で行われるあらゆる種類の業務を自動化できるAIを挙げている。さまざまな種類の保険請求の注釈から保険請求を提出するまでをアウトソースして、医者のオフィスを運営し始めることができるもので、「ユースケースとして非常にクール」だと話す。

ショー氏は、テレビゲームでAIエージェントを倒して彼らの持ち物を入手できる事例について言及。別のプレイヤーがいるようなリアルな感覚を得ることができる新しい種類のゲーム体験がそこにあるとしている。

トマーシュ氏は、真実と誤情報を見分けたり、ディープフェイクなどで肖像を悪用されないようにするためのAIというプロジェクトが始まっていると指摘した。

リー氏は、写真を撮ると自動的にカロリーを計算してくれるAIがTikTokなど拡散され、20歳の開発チームが数百万ドルの収益を上げる事例があったと述べる。ショーン氏は、ペット、特に犬のビデオを撮って健康かどうかを確認できるアプリを挙げた。

関連:財務省・トヨタ・LayerX等が見据える次世代決済、AIエージェント・預金トークン等|WebX2025

AIで消滅する仕事は?

司会のリー氏は、昨今よく議論される話題も取り上げた。「AIが発展するにつれて、どのような仕事が消滅すると思うか?どんな特性が人間にとって重要になるか?」と問いかけている。

ショー氏は、すべての仕事はなくなると思うと回答。ただ、それは私たちが仕事を望まず、家族と時間を過ごしたり、興味のあることを追求することを優先するからだとしている。100万年後には仕事という概念は存在しないのではないかとも意見した。

マイケル氏も、これにまったく同感だと応じる。AIは第一に安全である必要があるものの、基本的にほとんどの仕事は自動化できるとした。

しかし、AIが学習していないような、まったく未知の状況が訪れれば、人間はその神経系を持って、AIよりも大きな知性につなげることが可能で、そうした知性はAIよりもはるかに優れているとコメント。

こうした創造性、さらに専門家による評価や、社会規範や価値観についてのガバナンスが、AIよりも人間が担う必要があり、人間が関与していく部分になるのではないかと予想した。

AIの危険性と課題、Web3の関与

トマーシュ氏は、AIをうまく訓練すれば圧倒的な自律性を持つ存在が生まれると指摘。それだけに、どのように訓練するか注意すべきであり、所有権などの価値観について基盤を整えなおす必要があると主張した。

その上で、Web3がAIの未来を安全に実現するための保証のレイヤーになり得るとすれば、大きな価値があると続けている。

マイケル氏は人々が汎用人工知能(AGI)を目指しているところだが、そこには固有の危険性もあると指摘。人間のデータで訓練されたブラックボックスのAIモデルが存在すれば、権力を掌握するためにさまざまな手段を用いるような特性を持つ可能性があると述べる。

なお、ブラックボックスモデルとは、一般的になぜその出力になったのかが人間にとって分からないモデルのことを指す。

そうしたAIが、たとえば空港のような大きな社会システムを制御したりする場合、安全上の大きな懸念が生じることになる。そこで、来年にはそうした方面での研究で貢献したいと話した。

ショー氏は、AIの開発には現時点で限界もあるとしている。たとえばグーグルやマイクロソフトなど莫大な資金力を持つ企業はAIが使う電力消費のために発電所への投資を行っている。AI開発のためには、電力網からどれだけの電力を引き出せるかという規模の限界の問題があると話す。

マイケル氏は、こうした問題に分散化で対処する方法を提案した。理論的には、検証メカニズムと低遅延通信、非同期トレーニングを考案できれば、コンシューマーレベルのGPUを使って、数億台のGPUがそのトレーニングプロセスに参加することで、はるかに大規模なモデルを構築できるとしている。

AIで今後注目されるテーマは?

トマーシュ氏は、今後AIで「エキサイティング」なテーマとして接続性、信頼性、エッジの3つを挙げた。

接続性は、AIがアクセスできるツールを増やし、ネットワーク効果を増大させること、信頼性はAIがブラックボックスの瞬間を持たないように、どのように検証可能性を導入できるかということだ。

また、エッジは、AIの能力を企業だけでなく、個人の携帯電話、ノートパソコン、テレビ、電子レンジ、洗濯機など、あらゆる場所に持ち込むことだと説明。高品質のデータをプライバシーを保護した方法で扱う小さなモデルに期待していると話した。

ショー氏は、「評判」が重要になると予想した。たとえば、このAIモデルを訓練している人は信頼できる人物か?」「このエージェントは実際に期待されるタスクを行うか?」というようなことであり、そうした評判をスコア化することが重要になると述べる。

パネリストらは、AIがすでに可能にしたことにも触れた。Web3についてはUXが多くの点でぎこちなかったが、AIが大幅にこれを改善しているとの意見が上がっている。また、コードを書かない人もAIにより新しいアプリケーションを作成するできるようになり、これからはさらに多様なアプリが登場するのではないかとの指摘もあった。

関連:AIと仮想通貨がもたらすサイバー空間の新たな脅威|WebX2025で語られた国家安全保障・金融リスク

▼WebXとは

WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。

このイベントは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、AI、DeFi、ゲーム、メタバースなどのWeb3関連プロジェクトや企業が集結。起業家・投資家・開発者・政府関係者・メディアなどが一堂に会し、次世代インターネットの最新動向について情報交換・ネットワーキングを行うイベントです。

数千名規模の来場者と100名以上の著名スピーカーが参加し、展示ブース、ステージプログラムなどを通じて、業界最前線、グローバル規模の交流とビジネス創出が行われます。

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