WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 チャート 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

アジア仮想通貨規制の現状と課題:香港・台湾の最新動向と地域連携の必要性|WebX2025

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

アジアの仮想通貨規制フレームワーク

大型Web3カンファレンス「WebX」では8月25日、「アジアにおける規制フレームワークと今後の見通し」をテーマとしたパネルセッションが開催された。このセッションでは、香港と台湾の最新の規制動向から、暗号資産(仮想通貨)規制におけるアジア諸国の国際協力まで、活発な議論が展開された。

東京国際法律事務所カウンセルのアンユミ氏が司会を務め、以下の3名がパネリストとして参加した。

  • Ju Chun Ko氏
    台湾立法院議員。電通グループの台湾AI/Web3グロースパートナーでもある。テクノロジー系ポッドキャストの創設者としての顔も持つ。
  • Angelina Kwan氏
    仮想通貨規制コンサルティング企業Stanford Financeの最高経営責任者。BitMEXおよびHashKey Groupのグローバル最高執行責任者を務めた後、香港金融サービス発展評議会をはじめとする香港政府の様々な委員会に貢献している。
  • Can Sun氏
    グローバル仮想通貨取引所「Backpack」共同創設者。それ以前は、FTX Internationalの最高顧問として、米国以外の全法域における法務業務と規制戦略を統括した。

左から:Yumi Ahn氏(モデレーター)、Can Sun氏、Angelina Kwan氏、Ju Chun Ko氏

香港のステーブルコイン規制

セッションではまず、Angelina Kwan氏が香港のステーブルコイン規制について、現在の状況について詳しく解説した。

香港では昨年から「プロジェクト・アンサンブル」と名付けられたステーブルコインの規制サンドボックスが実施されており、Kwan氏も同プロジェクトに関わってきた。サンドボックスは、規制当局が参加する企業を観察・監視するためのものであり、香港では中央銀行である香港金融管理局(HKMA)が管轄している。

HKMAは、ステーブルコインのライセンス申請にあたっては、サンドボックス参加企業(例:RDテクノロジーズ)の審査を優先すると発表しており、現在はライセンス制度の詳細を調整している段階だ。

Kwan氏によると、香港にとっての朗報は、ステーブルコインのライセンス制度発表前に、中国がステーブルコイン条例を承認したことにより、香港での導入が実現したことだという。

今は、中国が資本移動の自由化(convertibility)への道を歩み始める、本当に素晴らしいタイミングだと思う。そして、香港が中国と他国をつなぐ“橋渡し役”としての役割を果たすにも絶好の時期だ。ステーブルコインの発行は、すべての人々にとってプラスになるが、特にアジア太平洋地域にとっては追い風になると考える

香港の規制環境の観点から言うと、中国証券監督管理委員会(CSRC)は、香港の証券先物委員会(SFC)や中央銀行、HKMAと「非常に緊密に連携」しており、これらの機関はすべて足並みを揃えて動いているとKwan氏は明言した。

台湾の仮想通貨規制

次に台湾立法院議員のJu Chun Ko氏が、台湾の仮想通貨規制の現状について説明した。

台湾では、仮想通貨規制に関しては遅れをとっているとJu Chun Ko氏は語る。日本や韓国とは異なり、同国は自己規制を軸とした独自のアプローチを採用してきた。現在、仮想通貨の規制ははマネーロンダリング防止(AML)登録制度の下、AML登録リストを使用して運営されているが、完全なライセンス制度(VASP制度)の導入に向けた準備が進行中だ。

ただし、台湾のVASP法はまだ公開協議の段階にあり、本格的な審議や三読会は、2026年後半から2027年初頭になると、同氏は予測している。

そのため、グローバルな大手仮想通貨取引所やプラットフォーム(バイナンスやOKX 、コインベースなど)は、台湾での事業展開を行なっていない。ただし、台湾のユーザーがこれらの取引所のサービスを使用することは可能だ。

VASP規制が実現した暁には、海外の取引所が政府と連携し、ライセンス取得後に運営したり、台湾に支社や子会社が設立されることを期待していると同氏は述べた。

台湾は、仮想通貨について学習段階にあり、政府も企業と協力してながら、規制の枠組み作りに取り組んでいる。さらに立法院でも、税制の問題について検討を重ねているため、今年から来年にかけては、多くの企業が台湾市場に参入し、ライセンスモデルへの準備に備える絶好の機会だと、Ko氏は総括した。

Backpackが選ぶ規制環境の条件

BackpackのCan Sun氏は、仮想通貨取引所を運営する立場から、事業展開に適した規制アプローチの条件について語った。

Backpackは、事業設立にあたり、世界197カ国を対象にコンプライアンス要件別の検討を行ったという。

最終的に、ライセンスを取得する管轄地域としてドバイを選択肢、現在では米国、ヨーロッパ、オーストラリアでライセンスを取得している。また、日本でもライセンス取得に向けた取り組みを進めている。その際に重要視したのが、「原則優先」のアプローチをとる規制当局かどうかという点だった。

伝統的な金融規制をそのまま仮想通貨に適用するのではなく、第一原理に基づく規制がイノベーションを促進し、業界発展に適していると考えている。

参入先の選定ではコストとベネフィットのバランスを慎重に検討し、ライセンス取得においては、自社での構築、パートナーシップの締結、既存企業の買収という三つの選択肢を評価した。

Sun氏は現在、仮想通貨業界では、取引所の買収などを通じた統合が進んでいると指摘する。特にグローバル展開を目指す企業が、現地市場参入の手段として買収を活用しており、この市場は「勝者総取り」の傾向が強いため、Backpackは事業拡大のために先行者利益に追いつく努力を継続しているという。

統一された規制アプローチの必要性

Angelina Kwan氏は、米国でジーニアス法(ステーブルコイン規制法)が成立し、トランプ大統領が積極的な仮想通貨政策を推進している事実は、アジアの規制当局が直面する課題の一つであるとの見解を示した。

また、欧州では、欧州証券監督管理機構(ESMA)によるEU域内の共通ライセンス制度MiCAがすでに導入されている。このライセンス制度では、例えばフランスでライセンスを取得することで、EU市場全体にアクセス可能になる。

一方、アジアでは、日本、香港など6つの管轄区域で個別にライセンス取得が必要で、時間(1年以上)と大きな費用がかかる。アジアが統一された規制枠組みを構築しない場合、企業はライセンス取得が容易な米国や欧州を優先し、アジア市場を回避するリスクがあるとKwan氏は警告する。

さらに同氏は、将来的にアフリカ諸国など他の地域が経済ブロックとして団結し共通の規制枠組みを実現した場合、アジアは分断された規制環境により、大きな打撃を受ける可能性があると指摘した。

Kwan氏は、規制当局間の情報共有や相互承認を推進し、アジア全体でライセンス取得の効率化を図るべきと提案。このアプローチを導入することで、時間とコストを大幅に削減し、アジア市場の競争力を高められると強調した。

台湾は協力体制を前向きに検討

Ju Chun Ko氏は、アジア域内で規制当局が協力するという考えについては、「大変興味深いアイディアだ」と評価した。規制面で遅れをとっている台湾こそ、他国の事例を参考に、より効率的な制度を構築し、連携していくことが可能だと主張した。

例えば家電製品などでは、日本や韓国ですでに認可済みの製品であれば、台湾では審査を簡略する仕組みがあり、同様の制度(迅速な承認プロセス)を仮想通貨規制にも導入できる可能性があると指摘。現在、台湾ではVASP規制が検討段階にあるため、このアイデアを取り入れた柔軟な修正も考えられると付け加えた。

一方、Kwan氏は、アジア太平洋経済協力(APEC)の枠組みを例に挙げ、国際協力の前例を提示した。APEC加盟国の居住者は、APECカードを活用してビザなしの入国が可能となっている。このような地域内での協力の成功例は、仮想通貨規制の迅速化や標準化にも応用可能だと示唆した。

Kwan氏は改めて、連携が不十分なアジアの規制環境に対する懸念を表明し、ある企業がシンガポールでのライセンス取得に多額の費用を投じた後、米国での事業開始を選んだ事例を紹介した。ヨーロッパ諸国が協力して共通の規制を受け入れたことは歴史的な成果であり、少なくともアジアでも規制当局が協力可能な基準を設定することが不可欠であると訴えた。

▼WebXとは

WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。

このイベントは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、AI、DeFi、ゲーム、メタバースなどのWeb3関連プロジェクトや企業が集結。起業家・投資家・開発者・政府関係者・メディアなどが一堂に会し、次世代インターネットの最新動向について情報交換・ネットワーキングを行うイベントです。

数千名規模の来場者と100名以上の著名スピーカーが参加し、展示ブース、ステージプログラムなどを通じて、業界最前線、グローバル規模の交流とビジネス創出が行われます。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/17 水曜日
17:07
ビットコイン価格より先にファンダメンタルズが回復、スイスブロック分析
仮想通貨分析会社スイスブロック(Swissblock)が6月17日、ビットコインのファンダメンタルズ指数が2月以来「Higher Lows(安値切り上げ)」を形成していると指摘。流動性とネットワーク成長の安定化が先行し、価格構造が後追いで回復するパターンが進行中としている。
15:55
韓国の仮想通貨取引量、前年比28%減 AI・半導体株に投機資金が流出=報道
韓国の仮想通貨取引量が2026年第1四半期に前年比28%減と、主要市場で最大の落ち込みを記録。KOSPI主導のAI・半導体株ブームが投機資金を吸収しており、国内取引所の規制上の制約も重なってリテール投資家の離脱が加速している。
15:22
北陸銀行とディーカレットDCP、DCJPY決済の商用化で基本合意 2027年度開始目指す
北陸銀行とディーカレットDCPが、デジタル通貨「DCJPY」を活用した決済事業の商用化に向け基本合意書を締結。B2B決済や給与振込など複数のユースケースを検討し、2027年度中のサービス開始を目指す。
14:29
アライドバース、ソラナバリデータ運用を開始 Dawn Labsと「Japan SOL」始動
この記事のポイント Allied Validator運用開始、LSTとKaminoのルーピング運用を実施 Dawn Labsと企業向け「Japan SOL」始動、SOLトレジャ…
14:05
ビットコイン相場、底打ち判断は時期尚早 「流動性の回復が鍵」=ウィンターミュート分析
ウィンターミュートが週次レポートで、ビットコインの直近反発はマクロ環境改善による安堵感に過ぎないと分析した。底打ち判断にはステーブルコイン・ETF・DATの資金流入が鍵となり、現状は時期尚早と指摘する。出来高の細る夏場は5万ドル台への下落の可能性もあると警告した。
13:49
GMOコイン、仮想通貨・FXなど向けAI分析でブリッジワイズと提携
GMOコインがイスラエル発のAI投資分析企業ブリッジワイズ(BridgeWise)と長期的な戦略的パートナーシップを締結。準リアルタイムのAIアラートシステム「シグナルワイズ」の提供をすでに開始しており、今後は複数のAI分析ツール群への展開も見込む。
13:45
AIエージェントがサイト閲覧でお金を払う仕組み、コインベースとAWSで実現
コインベースとAWSがウェブサイトがAIエージェントのアクセスに対して仮想通貨USDCなどで課金できる仕組みを実現した。決済プロトコル「x402」をCloudFrontとWAFに統合する。
13:20
FTX創業者SBF、25年の刑期中に独自コイン発行を構想か=報道
服役中のFTX創業者サム・バンクマン=フリード氏が、出所後に独自の仮想通貨を発行する意向を示唆したとニューヨーク・マガジンが報じた。6月8日には大統領恩赦も正式申請している。
10:45
中国デジタル人民元の国際送金基盤、26機関が直接接続 決済数時間へ
上海でe-CNYセンター・インターナショナルへの直接参加機関が26行に。スタンダードチャータード中国やタイ・シンガポール等の中国系銀行拠点が第一陣として署名。従来数営業日を要した国際送金決済が数時間に短縮される。
10:23
コインベースの「あらゆる資産の取引所」構想加速、トークン化株式・オプション・AIアドバイザーを順次導入
コインベースはトークン化株式やオプション取引、AIアドバイザーなど複数の新サービス開始を発表した。ワンストップで様々な資産を取引できるプラットフォームを目指している。
09:50
ステーブルコイン市場シェア倍増、仮想通貨下落で相対的に拡大=CryptoRank
CryptoRankが15日に公表したレポートによると、仮想通貨市場が2025年9月の高値圏から約50%下落する中、ステーブルコインの市場シェアは7.6%から15%へ倍増した。供給量自体の増加は約10.6%にとどまり、シェア拡大の主因は周囲の資産価値の収縮。新規供給増加分の約59%はUSDTが占めた。
08:25
リップル、アフリカ最大決済インフラ『Flutterwave』に戦略投資
リップルがアフリカ最大の決済インフラ企業フラッターウェーブのシリーズEに戦略投資した。ステーブルコインRLUSDとXRPレジャーを同社の決済網に統合し、アフリカ域内の国際送金コスト削減とリアルタイム決済の実現を目指す。
07:25
スペースXがカーソル親会社を9.6兆円で買収、IPO直後にAI強化
スペースXがAIコーディングエージェント「カーソル」の開発元アニースフィアを600億ドルの株式交換で買収すると発表した。IPO直後の大型買収で、同社のAI分野での競争力強化を図る。
06:45
米ジーニアス法めぐり超党派議員が財務省に書簡、州ステーブルコイン規制の手続き明確化を要求
米超党派上院議員7名がベッセント財務長官に書簡を送り、ジーニアス法の州規制認定に関する明確なスケジュールと手続きの策定を財務省に求めた。
06:30
コインベースがトークン化米国株の提供を発表、配当もオンチェーン受取可能
コインベースが16日、米国株を1対1で裏付けたトークン化株式サービスを発表した。デリバティブや借用証書を使わず、配当のオンチェーン受取にも対応する。クラーケンやバックパックも同種サービスを展開しており競争が激化。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧