はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 比較 WebX
CoinPostで今最も読まれています

10億円相当の仮想通貨XRP流出事件を考察、6億円のXRPは洗浄済みか

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

GateHubでのXRP流出事件を考察
今月7日に判明した、仮想通貨取引所GateHubでの、総額10億円に相当する約2300万XRPの流出事件。攻撃手口の可能性には複数のシナリオが考えられる。また、資金洗浄の経路なども明らかになった。

GateHubでのXRP流出事件を考察

今月7日に判明した、仮想使取引所GateHubでの、総額10億円相当となる約2300万XRPの流出事件。本稿では、その事件について、詳細を掘り下げていく。

まず今回の事件において、どのような攻撃が取引所に対して行われたかについて考察する。調査結果はまだ出ていないものの、公式の情報を含めて分析を試みた記事は複数あり、それらを整理すると次のことがわかる。

  • 被害を受けたアカウントへのAPIリクエストは、すべて有効なアクセストークンだった。
  • 疑わしいログイン、ブルートフォース(暗号やパスワードを解読、解析するための手法のひとつ)の兆候はなかった。
  • 少数のIPアドレスからのリクエストが増加、これが攻撃者とみられている。
  • 攻撃者が秘密鍵を復号化できた理由は不明。
  • 被害を受けたアカウントは 100前後と推定。

攻撃の可能性について

疑わしい動作を発見してGatehubに報告をしたThomas Silkjær氏(以下、Silkjær氏)の調査では次の事柄が判明した。

  • 6月1日に20万XRPが転送される。
  • 問題となったアカウントは Gatehub.net 上で管理されているものだった。
  • さらに調査を進めたところ、12の疑わしいアカウントを見つかった。
  • 最初に被害を受けたのは 5月30日であり、そのときは1万XRPが盗まれていた。
  • 2300万XRP(およそ10億円相当)が盗まれた上、すでに 1310万XRP(およそ6億円)はミキサーサービスなどで洗浄済み。

さらに米有力誌フォーブスの寄稿者であるThomas Silkjær氏は、今回の攻撃において、いくつかの可能性をシナリオとして提示している。それは次のような内容だ。

  • シナリオ1: Gatehub アカウントへのハッキング
  • アクセスログの分析や台帳における取引の履歴から、クライアントのログイン情報(パスワード等)が漏洩して被害を受けてしまった可能性は低いとみられている。

  • シナリオ2: フィッシング
  • 被害者を取材した範囲では、不審なメールが届いたり、クリックしたり、そういった傾向は見つからなかったとしている。

  • シナリオ3: ソフトウェアの問題(nonce の繰り返し)
  • 多くの被害者のアカウントは 2017年12月よりも古いものだったため、ソフトウェアの問題で脆弱になっている可能性を検討した。しかし、ごく一部のアカウントだけが影響を受けるもので、今回は該当しない。

  • シナリオ4: ソフトウェアの問題(増分nonce)
  • ソフトウェアの署名に関する実装が不十分な場合は、ブルートフォースが可能になっている可能性がある。しかし、これについては理論的な検討だけで、確認も否定もできていない。

  • シナリオ5: RippleTrade からの移行
  • 多くの被害者のアカウントは 2017年12月よりも古いため、RippleTradeのユーザー名を引き継いでいる。したがってユーザ名などが推測されやすい可能性は否定できないが、被害者の一部はRippleTradeからの移行ではなかったため、これも否定される。

      
  • シナリオ6: ブラウザのクライアントをハッキングした
  • Gatehub.net APIの脆弱性を悪用し、ユーザー情報を取得することは可能かもしないが、攻撃の原因とは考えにくい。例えば公衆WiFiを悪用したなども考えられるが、被害者は世界中に散らばっている。

      
  • シナリオ7: 古いデータベースの情報漏洩
  • Gatehubはインターネット上のサービスを利用しているため、暗号化されているが、知らずに古いデータベースの情報が漏洩していた可能性は否定できない。古いデータベースが漏洩していた場合、攻撃者が秘密鍵をブルートフォースで解読することは可能だろう。

なお、ここまでで提示された7つのシナリオを示したが、現時点では確度の高いシナリオは見つかっていない。ユーザーが身を守るためには、シナリオ2や6のフィッシングやブラウザの使い方に気を付けるぐらいだろう。

資金洗浄の経路

盗難された資金は、changelly.comやchangenow.ioなど、複数の取引所やミキシングサービスを経由して、すでに大半が洗浄されているようだ。

バイナンスやkucoinといった大手取引所も含まれているが、盗難が分かった以上、すぐに疑わしいアカウントからの転送をロックするなど、残る資金の回収は期待される。

また、今回の事件に関する資金の流れを視覚化したものもあり、それが以下の画像だ。黄色は取引所などの口座、青は被害者で、赤は疑わしいアカウントを示しており、その中の興味深い点として、いくつかのアカウントでは直接取引所への転送を行っていることが挙げられる。

出典:xrp-forensics

なおXRPフォレンジック分析、XRP Forensicsより詳細を確認できる。

坪 和樹

Twitter:https://twitter.com/TSB_KZK

Linkedin:https://www.linkedin.com/in/tsubo/

プロフィール:AWSで働くエンジニア、アイルランド在住。MtGoxやThe DAOでは被害を受けたが、ブロックチェーンのセキュリティに興味を持ち続けている。セキュリティカンファレンスでの講演、OWASP Japanの運営協力やMini Hardeningといったイベント立ち上げなど、コミュニティ活動も実績あり。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/04 木曜日
17:45
2026年2月17日(火)、「Digital Space Conference 2026」開催決定
一般社団法人日本デジタル空間経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:北尾 吉孝、以下「当連盟」)は、2025 年 2 月 17 日(火)に、大規模カンファレンスイベント「 Di…
16:49
MUFGグループ、トークン化MMFの商品化へ Progmatと協業開始
2026年に機関投資家向け提供を目指す 三菱UFJアセットマネジメント、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ信託銀行の3社は4日、Progmat(プログマ)との協業を…
16:49
FRB利下げと流動性回復、2026年の仮想通貨市場の追い風か=Delphi Digitalレポート
仮想通貨リサーチ企業Delphi Digitalは、FRBの利下げ継続とQT終了、TGA取り崩し、RRP枯渇により、2026年に仮想通貨市場にとって追い風となる流動性環境が生まれると分析。ビットコインやイーサリアムなどデジタル資産に有利との見方を示した。
15:09
ランボルギーニとレジャー、限定ウォレット発表 「いつランボ買える」ミームに呼応
仮想通貨ハードウェアウォレット大手レジャーとイタリア高級車ランボルギーニが提携し、限定版「Ledger Stax」を2026年初頭に発売。フェラーリやポルシェなど高級ブランドのWeb3参入が加速する中、24万人超の仮想通貨ミリオネア増加が背景に。
13:25
米コネチカット州がロビンフッドなど3社に停止命令、無免許でスポーツ賭博提供と主張
コネチカット州消費者保護局がロビンフッド、クリプトドットコム、カルシに無免許オンライン賭博運営の停止命令を発行した。3社は州法に違反してスポーツ賭博を提供しており、利用者の資金や情報にリスクをもたらしているという。
12:26
チャールズ・シュワブ、2026年前半に仮想通貨取引開始へ 既存取引所に手数料圧力か
米大手証券チャールズ・シュワブが2026年前半にビットコインとイーサリアムのスポット取引を開始。低手数料戦略で既存取引所に圧力か。バンガードやバンク・オブ・アメリカも参入し、ウォール街で仮想通貨の主流化が加速。
11:15
メタマスク、最大1万ドルの損失を補償する「トランザクション・シールド」開始 
仮想通貨ウォレット「メタマスク」が有料補償サービス「トランザクション・シールド」を開始。対象となる取引について月額9.99ドルで最大1万ドルの損失を補償する。
11:02
NTT Digital、仮想通貨ソラナのバリデータを運用開始
NTTドコモグループのNTT DigitalがSolanaバリデータ運用を開始。Dawn Labsが技術支援を担う。国内ではモブキャストHDもソラナ財団認定を取得するなど、企業参入が加速している。
10:45
三井物産デジタルAM、デジタル証券ファンドを早期償還
三井物産デジタル・アセットマネジメントは、デジタル証券ファンド「日本橋・人形町」を早期償還し、当初予想3.0%を上回る年5.0%の利回りを達成。累計利益分配金は25億円を突破した。
10:30
「バイナンス・ジュニア」、キッズ向け仮想通貨口座導入 安全性に関する議論も
バイナンスが6~17歳向けの仮想通貨プログラム「バイナンス・ジュニア」を開始した。親の監督下でシンプルアーンによる資産運用などが可能となる。
10:26
イーサリアム保有企業購入量、ピークから80%急減 ビットワイズが指摘
ビットワイズの報告によると、イーサリアム保有企業の11月購入量は8月比81%減の37万ETHに急減。一方、ビットマイン社は12月に1.5億ドル相当を追加購入し、フサカアップグレードへの期待を示した。
10:00
スターテイルとソニーのソニューム、ステーブルコイン「USDSC」をローンチ
スターテイルは3日にソニーグループと共同で開発・運営するブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」において、米ドルステーブルコイン「Startale USD(USDSC)」と報酬システム「STAR Points」をローンチしたことを発表した。
09:45
ビットコインが1万ドル反発、イーサリアム「フサカアップデート」好感で10万ドル視野に|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは反発の勢いを強めている。ETHの「フサカ・アップデート」を好材料とし、2日に付けた8万3,000ドル台から1万ドルの上昇を見せた。
08:55
米SECが仮想通貨含む高レバレッジETFを阻止、3倍・5倍商品の審査停止を通告
米SECが株式や仮想通貨の日次リターンを3倍・5倍に増幅するETFの審査を停止した。プロシェアーズは3倍レバレッジ仮想通貨商品を含む複数の申請を取り下げている。
08:02
アンソロピックが来年IPO検討か、評価額3000億ドル超目指す=報道
AI企業アンソロピックが早ければ来年にもIPOを検討している。マイクロソフトとエヌビディアから合計150億ドルの出資確約を得ており、オープンAIと上場を競う。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧