英FCAが管轄権を強調
イギリス財務省の経済担当政務官 ジョン・グレン氏は、金融行為規制機構(FCA)による個人向け仮想通貨デリバティブの禁止検討など、暗号資産に対する英国のこれからの取り組みについて記者会見を実施。「最終決定は、政府から独立している金融行為監督機構(FCA)に委ねられている」と発言したことがわかった。financefeedsが報道した。
グレン政務官は一連の質問に答えるも、終始明確な回答を避け、具体的な内容には触れずに会見を終えたという。
金融行為規制機構(FCA)は、個人投資家向け仮想通貨デリバティブ取引の禁止に関する専門家らとの協議をすでに10月3日に終了している。2020年の年初にも方針を決定する予定である。
FCAは、仮想通貨デリバティブ取引により、2018年の仮想通貨市場暴落時におよそ5億ドルの損失が英国内で生じたと試算しており、派生商品を禁じることで、最大で年間3億ドル(約320億円)以上に相当するの損害金額が回避できると考えている。
また、FCAは、プロフェッショナルではない個人トレーダーが仮想通貨によるCFD(差金決済取引)、先物やオプション取引のような派生製品の価値やリスクを確実に評価することは難しいと前提していた。
その理由としては、暗号資産の価値を測るための基盤を確立する課題、ハッキングや窃盗など金融犯罪の存在、極端なボラティリティ、仮想通貨に対する理解不足、製品に対する投資の必要性が明確ではないことが挙げられていた。
批判の声も
今回の提案に関しては、仮想通貨業界から批判する声も上がっていた、英大手仮想通貨ファンド「CoinShares」は、FCAのデリバティブ禁止方針は、十分な証拠がなく、規制当局としてするべき裏付けを取ることを怠ったと発言、仮想通貨デリバティブに関わる損失についても、都合のいいデータを利用していると指摘した。
また、国際取引所連合(WFE)も、FCAに対し、個人向け仮想通貨デリバティブを禁止しないよう勧告している。仮想通貨市場のこれからの発展を考えると、「適切な規制を整備した上で、市場を発展させて投資家が恩恵を受けられるようにすべき。どちらか1つだけを優先すべきではない。」と意見を表明した。
WFEには、米デリバティブ取引所CMEや米ナスダック、NY証券取引所の親会社インターコンチネンタル取引所(ICE)ら大手を初め、ドイツ証券取引所やロンドン証券取引所、豪州証券取引所、スイス証券取引所(SIX)、香港証券取引所など70超のメンバーが所属している。
21日にグレン政務官に対して質問されたことの例としては、個人向け仮想通貨投資製品を禁止することが、チャレンジャーバンク(モバイルで金融サービスを提供する企業)など関連業界にもたらす影響などがあったが、政務官は一連の質問に対して「この協議の最終決定は、政府から独立している金融行為監督機構(FCA)に委ねられている。政府は、暗号資産タスクフォース(FCAのワークグループ)が提案するアプローチを消費者と企業を保護しながらイノベーションを促進する正しい方法として支持する。」と繰り返し、明言を避けた。
参考:financefeeds