州政府発行の仮想通貨でメンドーサをアルゼンチンの経済情勢から切り離す
アルゼンチンのJosefina Canale議員は3月3日、個人のツイッターアカウントで、メンドーサ州が独自に仮想通貨(暗号資産)を発行するアイディアを提案した。
仮想通貨を発行することによって、メンドーサ州を国家のマクロ経済情勢から切り離す狙いがある。
アルゼンチンは、厳しい経済情勢に直面している。アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)によると、2019年のインフレ率は53.8%だった。アルゼンチンの法定通貨であるアルゼンチンペソの価値は2019年に約40%減少した。
Canale議員は、国家のマクロ経済情勢からの脱却のほかに、デジタルトークンが税金の支払いに役立つ可能性も論じている。
州発行の仮想通貨に賛否両論の声
Canale議員のツイートに対しては賛否両論、見解が分かれている。
賛成者は、州政府による仮想通貨発行によって州政府が近代化し、経済と税務の問題を解決できると考えている。賛成者らはCanale議員にアイディアのさらなる精緻化を求めた。
一方、この通貨が政府によって中央集権的に管理されることに対する反対意見も挙げられた。反対者のなかには、国内の預金の多くがドル建てである現状では政府発行の通貨は利用されないという意見もあった。
政府発行の仮想通貨が国家のハイパーインフレを抑制するか
インフレが深刻化する国では、政府が管理可能な仮想通貨が様々な形で提案されてきた。
ビットコイン(BTC)の場合、通貨需要が高騰した際により多くの通貨を発行することができない。これによってBTCは価値の保存手段としての機能を持つ一方、ボラティリティが高くなり価値の交換手段としては不向きであると言える。
それに対して、政府発行のデジタル通貨は、政府が発行をコントロールすることができる。通貨の市場供給量をコントロールできる点が大きな違いだ。政府の信頼性に通貨価値が影響される場合、根本的な改善には至らないが、様々な利点が議論されている。プライバシー問題とも表裏一体ではあるものの、トランザクションを監視することで、効率的な課税ができることもそのメリットの一つにある。
2月には、アルゼンチン中央銀行(BCRA)の元総裁であるMartin Redrado氏も、デジタル法定通貨を作成するアイデアを公表していた。また、同じくハイパーインフレに苦しむベネズエラでも、世界的に信用がある資産を裏付け資産に入れるなどの施策を講じる仮想通貨「ペトロ」が発行されている。