新生リブラの将来性
Facebook主導の仮想通貨リブラが新たな計画書を公開したことを受け、中国大手マイニングプールBTC.TOPの江卓尔CEOは、テザー(USDT)にとっては「終わりの始まり」と発言した。
リブラ協会は、仮想通貨リブラに関する新たなホワイトペーパーを17日に公開した。
規制当局により準拠する形で、まずは各法定通貨に裏付けられる単一型ステーブルコインの発行計画を発表した。具体的には、米ドルを代表する『リブラUSD』、ユーロを代表する『リブラEUR』などが発行される予定で、江卓尔CEOは、米ドルに裏付けられるUSDTのシェアを奪う可能性があると指摘している。
USDTの支持率が下がれば、テザー社に換金を求めるユーザーが増えるだろう。これまでも指摘されてきたテザー準備金問題などが再び露呈すれば、銀行のような『バンクラン(取り付け騒ぎ)』が発生しかねない。
リブラ協会は、本拠地であるスイスで金融当局FINMAに決済ライセンスを申請している。その財務上、米ドルやユーロなどリブラ発行に当たり必要となる裏付け資産について、より厳密に監査される見通しだ。
しかし、テザー社はこれまで、準備金を100%持っていないことを度々問題視されており、準備金の証明および外国政府による資金凍結等問題でニューヨーク州司法当局に提訴されるなど、求められる金融コンプライアンスを十分に満たしていないおそれがある。
進化する新生リブラ
一方、大きな変更点として、新生リブラは、当初提案されたパーミッションレスのネットワークの設計から、コンプライアンスを満たすためにオープンかつ透明性の高いネットワークとして構築し直されることだ。
現在、規制を遵守する欧米圏の主要取引所では、米ドルの裏付け資金にペッグするステーブルコインとしてUSDTの取り扱いを除外している。取り扱うのは、ビットライセンスによって認可されたUSDCやPAX、アルゴリズムで1:1の割合を維持するDAIのみだ。
それらの仮想通貨銘柄以外では、米ドルや英ポンドなどのフィアット取引ペアで取引されている。
リブラ/USDのユースケースは、基軸ペアとしての利用範囲に留まらず、日常決済などの利用シーンも想定されており、キャッシュレスアプリを利用するユーザーは簡単に送金できる仕組みなどが考案されている。
ベンチマークサイトCryptoCompareによると、ステーブルコインの市場ドミナンスはUSDTが大半を占めているが、リブラが普及することで仮想通貨市場再編に繋がる可能性は十分考えられる。
参考:8BTC報道