仮想通貨トレーダーオンライン調査
2020年3月17日から31日まで、およそ2週間にかけて海外取引所Overbitが、日本を含む90カ国2500人以上の仮想通貨(暗号資産)のトレーダーに対してオンライン調査を行った。
当サイトでは先週、経験の長さごとにみた仮想通貨の人気銘柄フォーカスした記事 を掲載した。
そこでは経験の長いトレーダーはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)に続きテザー(USDT)が人気3位に入っている一方で、新米のトレーダー間ではテザーの人気が比較的低かったこと、経験の長いトレーダーほど仮想通貨を保有するだけではなくしっかりと運用している点に焦点をあてていった。しかし、同調査内には他にも面白い発見がある。
全世界の仮想通貨トレーダーを対象に行われた同調査は、トレーダーの戦略や人気銘柄をはじめとした様々な質問項目を設けていた。ほとんどのトレーダーが仮想通貨の損失の経験があり、損失要因としてハッキング事件などもランクイン。69%のトレーダーが取引所内で資産を保有しているという調査結果をみると、仮想通貨取引所を選択する際にセキュリティも重要視されるのは当然といえる。
前回の記事でも焦点をあてたように、経験の長いトレーダーはテザー(USDT)を重宝する傾向にあることや全トレーダーのうち70%以上がテクニカル分析を用いており、経験を多く重ねたトレーダーほど分析方法を1種類に絞る傾向があるという結果が出た。経験年数ごとにトレーダーの性格や好みに違いが出るのは興味深い。
今回の記事では、経験年数で違いの生まれる他の項目に焦点をあてていく。
トレーダーが取引に利用する取引所の平均利用数
同調査の結果によると、トレーダーが使用する取引所の利用数は平均3つだそうだ。
調査の対象となったトレーダーは、最低でも3つの取引所を活用する事で、各取引所特有のユニークな仮想通貨取引などのニーズを満たしているとみられる。
トレーダーの半数近くがデリバティブを経験
また、仮想通貨トレーダーの内47%が仮想通貨デリバティブ取引を行った事があるという。
単純な仮想通貨取引の他に、仮想通貨先物、仮想通貨オプション、スワップ取引などの仮想通貨デリバティブに興味を示し実際に取引を行うトレーダーも少なくないようだ。人気の取引の順位は、仮想通貨先物に続いて、オプションとスワップ取引が僅差で3位以内に入るという結果が出た。
さらに同調査は、トレーダー間の仮想通貨デリバティブに関する知識量を調査。経験の長いトレーダーほど取引する商品に関してより深く理解しており、活発に参入しているという結果が出た。
新規制の影響も
レポートの通り、世界中のトレーダーが平均3つの取引所を用いているが、理由の1つとして、デリバティブ取引など各取引所ごとの特色が挙げられる。
しかしながら、今月から導入された資金決済法、及び金融商品取引法の改正を受け、仮想通貨に関する規制は大幅に規定されることとなった。新規制では、レバレッジ(証拠金)取引以外に焦点を充てたサービスを展開するために、金融商品取引法の規定に基づく金融商品取引業者(第一種金融商品取引業)が必要となるほか、一定の猶予期間こそあるものの、最大証拠金倍率も2倍までと厳しい規制が課せられることになる。
これを受け、海外最大手デリバティブ取引所のBitMEXが日本居住者を対象外とする方針を示すなど、トレーダーの選択肢が狭まる懸念も生じており、今後各取引所が日本の規制に準拠した形でどのようなサービスを打ち出すのか注目される。
さらなる調査結果と分析について、詳しくまとめたレポートはこちら。