イーサリアムのクジラが減少
仮想通貨(暗号資産)イーサリアムを1万ETH(2億円相当)以上保有するアドレスの数が減少していることが分かった。
本データは、ブロックチェーン分析企業Glassnodeが公開している週平均を基にしている。1万ETH以上の大口アドレス数は、昨年12月時点で1115と過去最高水準だった(以下のグラフ)。
しかしその後、減少傾向に。
一方4月末時点で、1万BTC(100億円相当)以上保有する超大口アドレス数は増加していることから、ETHの大口保有者が、半減期による価格上昇を期待してBTCに資金を移したとの見方がある。
1万BTCを保有するクジラのアドレスの数は、今年3月にかけて105から110まで約5%増加している。
ETHの大口保有者減少要因としてもう1つ挙げられているのが、DeFi(分散型金融)の普及だ。投資家が手元のETHを利用し、利益を求めてレンディングなどサービスを利用していると指摘する声もある。
DeFiの普及は数値からも証明されており、今年2月にはDeFiにロックされている仮想通貨の総額が10億ドル(約1070億円)を突破。1月29日と2月2日にETHのロック額も323万5000ETHに到達し、史上最高額となった。DeFiプロジェクトの大部分がETHのブロックチェーンを利用している。
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一方、ETH2.0でステーキングのバリデータになるための条件とされる32ETH以上保有のアドレス数は上昇傾向にある。
2020年中にETH2.0へのアップグレードも予定されており、PoSコンセンサス移行への最初の段階「ビーコンチェーン(Beacon Chain)」バリデータとしてネットワークに参加するためには、32ETH以上をデポジットコントラクトに預け入れロックアップすること(=ステーキング)が必要となるためだ。
ETHのブロックチェーン技術を専門に扱うConsenSysが行った調査によると、ETH保有者の約65.9%がステーキングを行うと回答。その内の約半数が自身でバリデータノードを起動すると答えている。
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ビットコインは長期保有傾向か
また別のGlassnodeのデータから、半減期に向けて、取引所から計2万3540BTCが移動されたことが分かった。
上記のグラフは取引所の入出金(オレンジ線)、取引所のBTCの残高(茶色)、BTCの価格(黒)を表している。取引所の入出金だけでなく、取引所の残高も減少していることから、ユーザーが取引所からBTCを移動していることが分かる。
ユーザーがBTCを売却しようと考えていれば、利便性の高い取引所に保管したままにしておく方が自然であるが、ハッキングリスクなどを考慮し、よりセキュリティの高い状態で長期保有しようとしている可能性がある。管理者の役割を果たす取引所から、秘密鍵をユーザーが管理できるノンカストディアルウォレットに移動しているとみられる。