金融市況
米ダウ市場は12日、前日比1861ドル安と暴落し、東京株式市場も一時22,000円を割り込み全面安に。ビットコイン価格も一時1000ドル近く下落するなど連れ安となった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された経済見通しを受け、新型コロナウイルス感染拡大の第2波懸念が再燃。FRBは、2022年末までのゼロ金利政策の維持が決定したが、米金利低下・ドル安の流れの中でリスクオフ志向が強まった。
株式市場がコロナショックの急落前水準まで回復するなど楽観的な見方が蔓延していたことで、「過熱感」を警戒する向きもあり、冷や水を浴びせられた格好だ。
しかし、実体経済と株価の乖離は以前より指摘されていた。前日の東京株式市場では指数寄与度の高い銘柄が大きく値を下げており、6月限先物・オプションのメジャーSQ(特別清算指数)算出を前に、短期筋の売り仕掛けが入ったとの声も聞かれる。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)の「VIX(Volatility Index)」指数は、40.79まで急上昇した。3月中旬の暴落以来の上げ幅だ。
VIX指数は投資家の不安心理を示すもので、米ジョンズ・ホプキンス大学が発表したデータにおいて、米国の新型コロナ累計感染者数が200万人を超えたことが伝わったことで、先物売りが加速したとの見方がある。感染死者数は11.3万人に上っている。
VIXに関心が集まる理由のひとつに、2008年の金融危機(リーマンショック)を機に脚光を浴びた「リスク・パリティ・ファンド」の存在があるとされる。
ポートフォリオに占める各資産のリスクの割合が均等になるように分散して保有する同ファンドは、アルゴリズムを駆使して巨額の資産を運用するが、トレンドフォロー型であるため、高ボラティリティー(変動率)上昇に合わせてレバレッジの解消に動くことがある。
新型コロナ感染の第2波については、全米各地に広がった抗議デモが助長した可能性もあり、再び燻る米中貿易摩擦など、相場の不確実性が懸念されている。ロックダウンから経済活動を再開して1ヶ月が経過したフロリダ州では、週間ベースの感染者数が過去最多となったほか、テキサス州やカルフォルニア州でも入院者数が拡大傾向にあり予断を許さない。
一方、11時半時点では、ドル円が106円80銭で下げ渋るなどして株安が一服。ダウ先物320ドル超の反発に伴い、一時22,000円を割り込んだ日経平均株価も寄りから大幅反発して前場を引けた。
主要レジスタンス
12日のビットコイン(BTC)価格は、前日比6%安の99.8万円(9320ドル)と大幅下落。株式市場の急落に伴い、全面安となった。
大手デリバティブ取引所BitMEXでは、10,160ドルから9,012ドルまで急落。前日比一時-11.3%に。1時48分の急落局面で5200BTCがロスカットされ、ファンディングレート(資金調達率)は、+0.01%から-0.027%と一気にショート払いへと転換した。市場心理が弱気に傾いたことを示している。
10,500ドル(112万円)は、2019年10月と2020年2月にも強い抵抗帯として機能しており、その後前者は39%の下落、後者は65%の下落を記録した。(上図:赤丸)
George(@George1Trader)は、11日23:42の投稿で、9900ドル(105.7万円)を維持できない場合、8100ドル(86.5万円)まで下落する可能性を指摘していた。
$BTC
— George (@George1Trader) June 11, 2020
Unless we start seeing acceptance above 9.9k this is what I see. pic.twitter.com/pEfvw9wam7
8100ドル(86.5万円)は、半減期直前に暴落した際に下値支持線として機能した価格帯であり、200日移動平均線もこの辺りで推移する。このまま続落した場合、半減期後の最安値である5月25日の8600ドル(91.8万円)付近と合わせて意識されそうだ。