ブルームバーグ7月レポート
米有力紙ブルームバーグのアナリストは「仮想通貨の7月アウトルック」レポートで、ビットコインの今後の強気シナリオについて、複数の要因を分析した。
主にあげている要素は以下の4点。
- ボラティリティ低下
- 需要上昇
- グレースケールGBTCのプレミアム低下
- アドレス数増加
アナリストMike McGloneはこれらの要素を踏まえ、ビットコインが年内1.2万ドル〜1.3万ドルに到達すると見ている。
ボラティリティ低下
レポートでは、ビットコインのボラティリティ(変動率)が下がり続けると予測。投機性の高い資産から「ゴールドのデジタル版」に変化しつつあることを理由に挙げた。
ボラティリティの低下による価格のコンプレッションはいずれブレイクアウトと続伸によって解決される、とMcGloneは見込んでいる。
具体的には、ビットコインの年初来ボラティリティは株市場・金・原油に対して、歴史的低水準に至っている。米代表的株指数ナスダックとの比較で、ビットコインは今もボラティリティが2倍ほどの水準にあるが、以前の7倍からは大幅に減少してきている。
このように、ビットコインのボラティリティは金に近づいてきている。レポートでは、「現在ボラティリティが平均回帰(ミーン・リバージョン)しつつあるため、今後強気になる公算が高い」としている。
需要上昇
また、McGloneはグレースケールのビットコイン投資信託(GBTC)と金のETFで比較した。
GBTCの裏付け資産となる現物のビットコインは過去最高の数となり、前日のデータではグレースケールの運用するビットコインがBTCの全供給量の約2%に及んでいる。
Unbelievable.
— Kevin Rooke (@kerooke) June 25, 2020
Grayscale added 19,879 BTC to their Bitcoin Trust since last week (53,588 BTC since the halving).
Bitcoin miners only produced 7,081 BTC since last week (39,544 BTC since halving).
That's almost 400,000 BTC under management for $GBTC pic.twitter.com/aMtSGHZnz2
GBTCに対する需要の増加は、金のETFにも見られる発行上限のある資産の希少性に対する高い傾向が見られているという。
特に各国の中央銀行が施行している金融緩和政策と金の価格上昇といった要素がビットコインのマクロ的上昇を支えている、と指摘した。
なお、ビットコインの立ち位置がすべてのコモディティにおける金のポジションに相当し、64%のドミナンスを占めているため、仮想通貨の全体市場もビットコインの動きに連動する傾向にあると説明された。
GBTCのプレミアム低下
ビットコインの価格は昨年の7月より12%ほど下落していたが、グレースケールの各銘柄の投信における全体資産額は同期間で30%以上増加し、現在35億ドル規模となっている。投信に対する機関投資家・大口投資家の需要増加が反映されているわけだ。
また、グレースケールのGBTCでの保有ビットコイン数が増加する一方で、GBTCの原資産に対する価格乖離(プレミアム)は減少しつつある。
レポートによると、歴史的平均プレミアムが39%だったが、直近30日では20%に縮小。また、2017年のピークから85%も減少してきている。
特に3月の「コロナショック」に際した米国株、ビットコインの大暴落では、プレミアムが一時的に0に近づいていたが、ビットコインの相場回復に伴いプレミアムも再び発生。「この現象は、2018年の底値時に類似している」とした。
McGloneは、今後より多くの投信商品(ETFやETP)が登場することによって、GBTCのプレミアムが下がり続けると見ている。つまり、GBTCに対する需要だけでなく、より広い市場における機関マネーの流入がビットコインの追い風となり得る見解として見て取れる。
アドレス数増加
さらに、ビットコインのアドレスが増加していることも好材料とされている。
McGloneは2018年の下落相場とアドレス数の減少、2019年の相場回復とアドレス数の増加との2点の歴史的パターンを踏まえ、少なくとも12000ドルに到達し得るとしている。
具体的に、2019年の相場上昇を前に、アドレス数が先行して上昇。なお、現在の水準が2018年2月の高水準に達しているが、価格が比較的に低いため、2019年の高値水準=12,734ドルのレベルにまで伸びる余裕があると試算されている。
参考:ブルームバーグレポート