銀行は関心を示す
米国の一部の大手銀行が、仮想通貨カストディ等関連サービス提供に関心を示している。
米通貨監督庁(OCC)は7月23日、連邦公認銀行(貯蓄貸付組合および国民貯蓄銀行等)に対し、仮想通貨のカストディサービス提供を許可する方針を発表した。
6月に発表した「仮想通貨とその他のフィンテックがどのように金融セクターを改善できるか」とのテーマでパブリックコメントを募集した結果、大手U.S.バンコープやPNCバンクなど、一部銀行は顧客にカストディなどのサービス提供に関心を示している。
パブリックコメントの主な回答者は、「シンクタンク、政策推進団体、仮想通貨スタートアップ」だったが、銀行も10社ほど含まれている。
主なコメント
U.S.バンコープのデジタル部門責任者Dominic Venturoはコメントで、OCCとその他の規制当局が仮想通貨市場およびブロックチェーン技術上で提供するサービスの範囲や基準を定めるガイダンスを制定するべきだと提案した。
U.S.バンコープとして、仮想通貨が金融サービスセクターでどのような役割をとるべきか定義する立場ではないが、現在および将来の仮想通貨市場の立ち位置において、より明確な規制を求める。
OCCは他の連邦官庁と連携し、仮想通貨・デジタルアセットの取扱いをより明確にする必要がある。特に、ユーティリティトークン、取引所トークン、ステーブルコインの違いを定め、カストディにあたる条件やクロスボーダーの送金における制限を明確にするべきだ。
ーDominic Venturo
PNCバンクのテクノロジー&イノベーション責任者Steven Van Wykは、仮想通貨取扱いにおけるリスクについてコメントした。「OCCは連邦公認銀行が新商品を検討する際にリスクベースのアプローチを取ることを強化し続けるべきだが、リスクの完全な根絶を目標とするべきではない」と指摘した。
デポジットもレンディングもリスクを伴う業務だ。もちろん新技術の導入も同じである。
しかし、リスクの防止だけが監督の目標だと、連邦公認銀行は新たな技術を導入することも妨げられてしまう。
ーSteven Van Wyk
さらに、銀行以外の金融サービス業からも銀行に関連するコメントを寄せている。
大手金融企業Mastercard社で規制問題を担当する顧問弁護士Tina Wooはプライバシーリスクやセキュリティ問題を解決するために、OCCが銀行に対して定める消費者保護のルールが役に立つコメントした。
具体的に、銀行がどのような種類の仮想通貨のトランザクションを行うことができるか明確に定める必要があり、その上で消費者の保護および資金洗浄対策も取らなくてはいけない、と提案した。
現時点では、仮想通貨を取り扱う米銀行は存在しないが、OCCの許可および業者との意思疎通で今後銀行によるカストディ等サービスの提供の可能性は示唆されている。