多様な決済シーンをサポートへ
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、ブロックチェーンを基盤とした決済ネットワークサービスを2021年にも開始することが明らかになった。米Akamai Technologiesとの提携により開発、高速かつ大容量のサービスを提供する。日経新聞が報じた。
新たな決済ネットワークの利用シーンとしては、使っただけ課金やマイクロペイメントといった少額かつ柔軟さが求められる決済のほか、シェアリングエコノミーにおける多様な決済シーンをサポートする。
サービスを提供する子会社Global Open NetworkはMUFGとAkamaiと共同で設立され、MUFGの亀澤宏規社長が代表を務める。今後、IoT時代を見据えた多様な決済サービスでの活用等を行っていくとしている。
来年にもサービスを開始
日経によると、来年2~3月にセイコーソリューションの決済端末「クレピコ」の決済センターとクレジットカード会社間の通信サービスを開始する。
また、夏頃には、複数のカード会社、飲料ボトラーと自動販売機でクレジットカードのタッチ決済ができるサービスも開始する予定だ。少額決済において課題となっていたネットワーク接続手数料を最大で5分の1まで引き下げるとしている。
高速・大容量を実現
MUFGとAkamaiはブロックチェーン技術に関する研究を共同で行ってきており、2018年5月には、新たな決済ネットワークのサービス提供に向けた新型ブロックチェーンを開発したと発表している。
発表当時、実際のビジネスシーンを想定した環境下で、「決済処理速度2秒以下、世界最速の取引処理性能毎秒100万件の取引」が可能であることを検証したとしていた。
日経の今回の報道によると、新たなサービスでは1秒に10万件の取引が処理でき、将来的には1000万件超まで拡張できるとしている。
Akamaiはコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の大手として知られている。世界130カ国にサーバーがあり、ウェブコンテンツを高速で提供できる自社の基盤を決済ネットワークに活かした形とみられる。
処理性能の高さの理由としては、ブロックチェーンにおいて合意形成を担う全ノードをAkamaiの持つCDN「Akamai Inteligent Platform」に配置することで、ノード間高速通信を実現する。
また、ブロックの生成、検証を高速・大容量化するための独自プログラムを開発したとしており、プライベートなブロックチェーンでありながら、世界中にノードが分散、取引データも詳細に記録することを実現した。
参考:日経新聞