はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

自由民主党へ仮想通貨の税制改正要望 JCBAが『予算・税制等に関する政策懇談会』に出席

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

自由民主党へ仮想通貨の税制改正要望

仮想通貨(暗号資産)の業界団体が、自民党「予算・ 税制等に関する政策懇談会」で2021年度の税制改正の要望書を提出したことがわかった。

自由民主党は11月4日に開催した「予算・ 税制等に関する政策懇談会」で、金融・証券関係団体への令和3年度予算・税制・一般政策の要望聴取と意見交換を実施。仮想通貨関連の業界団体からは、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の廣末会長、幸専務理事が出席した。

JCBAは、認定自主規制団体「一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」と連名で作成した税制改正要望書のほか、仮想通貨市場の現状や実社会における活用事例等に関する資料の提出や説明を行なったとしている。

要望書の目的の項目では、ブロックチェーン技術の応用に取り組む国として、ドイツ・インド・中国・豪州などの具体的な国名を取りあげ、「我が国(日本)は、ブロックチェーン技術の将来性に確証が持てないとして、国家としてブロックチェーン戦略を打ち立てることができておらず、インターネットにおいて取り戻せないほどの後塵を拝した過ちを繰り返そうとしているが、現状の暗号資産に関する税制もまた、我が国が将来得られる可能性がある戦略的に優位な地位を毀損する内容となっていると思料する」とコメント。

自民党に対し、仮想通貨やブロックチェーン技術の将来性に備える必要性を訴えた。

税制改正に関する要望の骨子は以下の3点を提言した。

1. 暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。

2. 暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする。

3. 暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する。

出典:2021年度税制改正に関する要望書

要望書の主な要旨は、以下の通り。

税率20%の分離課税について

(1)金融商品先物取引等の決済については、先物取引に係る雑所得等の課税の特例として「20%の分離課税」となるところ、これと同様に、暗号資産のデリバティブ取引については「20%の申告分離課税」とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。

(2)改正法においては、暗号資産に関し「金融商品取引法」の枠内での規制も受けることとなるが、これは暗号資産の支払手段としての性質だけでなく、金融資産としての性質を認めたものである。

(3)改正法により暗号資産が「金融商品」として位置づけられたことにより、暗号資産につき、金融資産性をもつ支払手段という複合的な性質をもつことが明確化されたことになる。したがって、租税の公平性・公正性の観点からも、暗号資産デリバティブ取引につき、他の金融商品先物取引等の決済と同様に、20%の分離課税とすることが求められていると考えている。

損失の繰り越し控除について

(1)暗号資産交換業者を含む複数の暗号資産取引所やウォレット、サービスの間で送金・受取が起きるため、暗号資産の取得単価を各事業者が把握できないという暗号資産取引の性質上、納税義務者からの自主申告による徴税を行う必要がある一方、その確定申告に必要な損益計算は非常に煩雑であり、要申告者が確定申告を行わないことも危惧される。

同時に、登録された暗号資産交換業者を介さない取引については捕捉可能性が極めて低い。こういった事態に対応すべき税務当局の負担は大きく、ひいてはトータルでの税収減にも繋がるおそれがある。このような暗号資産取引の特殊性に鑑みれば、利用者による適正な申告を促進し、もって健全な納税環境を整備することが目下重要な課題であるといえる。

しかしながら、現状、暗号資産による利益は「分離課税」対象とはされておらず、このことが利用者による適正な申告を妨げている側面がある。そこで、分離課税によるメリットを享受できる機会を設け、同時に暗号資産交換業者を中心に税計算の簡素化も実現できる取り組みは、より健全な納税環境の整備を推進するものと思料する。

(2)このような施策が講じられることにより、暗号資産の取引参加者が増加すれば、暗号資産の価格安定にもプラスに働き、トータルでの税収増に加え、利用者にとっても、非登録事業者や海外市場ではなく、犯収法上の取引時確認の義務が課されている国内登録交換事業者を利用した取引を行うインセンティブになり、暗号資産取引にかかるマネー・ローンダリング対応等の点でも健全性の向上が期待できる。

(3)なお、暗号資産の現物取引につき20%の分離課税とすることは、【1】のとおり、改正法のもとで暗号資産に係るデリバティブ取引につき20%の分離課税とすることと併せ、制度内での整合性を維持する観点からも重要であると考えている。

少額決済の非課税について

暗号資産取引について、20万円までの利益にかかる非課税制度を導入することが、既存の制度との整合性の観点から適切である。

(2)暗号資産によるモノ、サービス購入時は、その時点で含み益があれば実現したとして課税となるが、実務上、決済利用の都度含み損益の計算を行うことは非常に困難である。

現状の仮想通貨税制の問題点

17年7月に「改正資金決済法」が施行され、日本の税法上、仮想通貨(暗号資産)はモノではなく一般的な貨幣と同じような財産的価値を持つ「通貨」として事実上認められ、消費税(8%)が非課税となった。

しかし、仮想通貨の取引で得た利益は、「雑所得」に区分され総合課税の対象となるため、一律10%の住民税を合わせた累進課税が適用される。

サラリーマンであれば会社の給与所得など、ほかの収入と合算した額に応じて税率が決まり、所得額に応じて「15~55%(最高税率)」が課税対象となるため、所得(年間給与収入+仮想通貨収入から給与所得控除を差し引いたもの)が高いほど、税負担が重くなる計算だ。

国税庁:速算表

「税制の中立性」とは、公平性や簡素性と並んで租税に求められて然るべきものであり、税制を構築するうえでの基本原則とされている。国の政策による経済活動への租税介入を抑止するため、利用者の消費選好に歪みをもたらすことを防ぐためのものだ。

仮想通貨は分離課税が適用されておらず、株式市場や外国為替(FX)市場のような損失の繰越控除が出来ないため、前年の投資額がマイナスであった場合、そのマイナス分を翌年の利益から相殺することができない。

このため、租税法の中立性という観点から、株式投資やFX投資同様、仮想通貨も分離課税として繰り越し控除を適用できるようにすべきではないかとの声が上がっていた。

関連:「日本の仮想通貨税制」4つの問題点|ビットコイン高騰で関心高まる
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/02 水曜日
18:40
BITPOINT、カルダノ(ADA)保有者向けNIGHTエアドロップを検討開始 
ビットポイントジャパンがMidnight財団と国内初連携。カルダノ(ADA)保有者やステーキング参加者に「NIGHT」トークンのエアドロップ参加機会を提供。2025年7月開始予定の「Glacier Drop」メカニズムの詳細と参加条件を解説。
13:45
トランプ大統領、イーロン・マスクに対する批判を再び展開、 『大きく美しい法案』巡る対立が再燃
「大きく美しい法案」をめぐり、トランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立が再燃している。マスク氏の痛烈な法案批判に対し、トランプ氏は、マスク氏が率いる企業の政府補助金受給について政府効率化局(DOGE)で調査すべきと発言し、かつて盟友だった両氏の関係は緊迫感を増している。
13:20
アリゾナ州知事、押収仮想通貨の準備基金法案『HB2324』を拒否権行使
アリゾナのホブズ知事が犯罪捜査で押収した仮想通貨管理法案を拒否。地方自治体の協力阻害を懸念と声明。
11:45
パクソス、ステーブルコインUSDGを欧州全域でローンチ サークルとの競争激化
パクソスが米ドル建てステーブルコインUSDGをEU全域で発行開始した。MiCA規制に準拠している。合計30か国に展開しており、ステーブルコイン時価総額ランキングでは15位だ。
11:10
ナスダック上場DeFi Development Corp、1億ドル転換社債発行 ソラナ蓄積戦略を拡大
米初のソラナ準備金戦略企業DeFi Development Corpが1億ドル転換社債の私募発行を発表。調達資金でSOL購入継続、バリデータ運営による複利成長を目指す。
10:50
上場企業のビットコイン購入量24万BTC超えも、価格には反映されず その理由は?
2025年上半期に世界の上場企業が仮想通貨ビットコインを24万5510BTC購入しETF保有数の2倍超。前年同期比約5倍増でマイクロストラテジー戦略が拡散、企業準備金としての位置づけが確立された。
10:30
米SEC、仮想通貨ETFの上場基準を策定か 審査迅速化に期待
米証券取引委員会が、ビットコインなど仮想通貨ETF向けの汎用上場基準策定を検討していると伝えられる。19b-4様式省略により審査迅速化が期待される。
10:20
ETH1万ドル到達は『義務』と表明、イーサリアムに新組織誕生
仮想通貨イーサリアムに、イーサリアムコミュニティ財団という新たな組織が誕生。公式サイトで、イーサリアムの価格に特化した組織であると説明している。
07:55
NYSE上場DDCが760億円調達完了、ビットコイン準備金戦略を本格始動
アジア食品ブランド運営のDDC EnterpriseがNYSE上場企業として最大規模の仮想通貨専用資金調達を実施。Anson Fundsらから総額5億2800万ドルでビットコイン準備金構築へ。
07:25
XRP戦略推進へ、ナスダック上場のWebusが1億ドル調達合意
ナスダック上場のWebusがリップル・ストラテジー・ホールディングスと1億ドルの資金調達契約を締結。仮想通貨XRPを活用した事業戦略推進により株価が日中130%上昇も最終的には8%反落。
07:15
「ビットコインが25年に20万ドルへ到達するとの予測は維持」Bitwise
仮想通貨運用企業Bitwiseは、2025年の10の予測に対する中間評価を公開。ビットコインが20万ドルに到達するとの予測は維持することなどを記載した。
06:50
ストラテジーのビットコイン循環戦略、NAV超プレミアムを正当化か=TD Cowen分析
ストラテジーの株価は純資産価値(NAV)を大きく上回って推移。継続的な株式発行が1株あたりのBTC保有を押し上げる構造が、投資家の注目を集めている。アナリストはその持続性とリスクに着目している。
06:12
ビットコイン利確が加速 第3四半期は過去最弱の季節性=アナリスト分析
仮想通貨ビットコインの利確が進む一方、市場は方向感に欠ける展開。第3四半期は過去最弱の季節性もあり、アナリストは地政学リスクや米金融政策の不透明感に警戒を示している。
05:50
トランプ大統領の「大きく美しい法案」上院可決も、仮想通貨少額免税案は見送り
トランプ政権が推進する大型予算法案に、仮想通貨の少額免税や報酬課税見直しの修正案は含まれず。ルミス上院議員は今後の再提出を示唆し、業界団体もロビー活動を継続する構え。
05:37
米SEC、ビットコインやXRPに投資するグレースケールの仮想通貨ファンドETF化を承認
米証券取引委員会(SEC)は、グレースケールのバスケット型ファンドのETF転換を加速承認。構成資産の約8割をビットコインが占めており、今後の仮想通貨ETF全体に追い風となる可能性も。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧