SEC告発のファンド、26億円の資産凍結へ
米証券取引委員会(SEC)は米時間28日、詐欺の疑いで告発していたVirgil Capital社(暗号資産の裁定取引で有名)と関連会社の資産凍結が認可されたことを発表した。SECは先週22日より、ニューヨーク州の地方裁判所に同ファンドの2500万ドル(26億円)相当のデジタル資産の凍結を求めていた。
告発の背景
Virgil Capital社は2016年、当時19歳だったオーストラリア人のStefan Qin氏によって設立され、独自の仮想通貨BOTを活用して裁定取引を主体に9240万ドル規模まで自身のファンドを拡大した。しかし、投資家に虚偽の情報を提供したことや、投資家資金の返還を拒んだことなどにを受け、米SECは、ファンドの創設者であるQin氏を詐欺の疑いで告発していた。
ロイターの報道によるとQin氏は中国人の闇金融業者から借金の返済を要求されており、ファンドの投資家資金から返済に当てるために、資産を引き出そうとしていたと米SECは指摘している。
米SECの声明によると、少なくとも2018年時点からQin氏は同ファンドのVirgilシグマファンドが、仮想通貨取引所のクラーケン、コインベースやジェミナイに200万ドル(2億円)の資産を月次平均で保有していると虚偽の説明を行なっていた。また、同ファンドから資産を移動したいとする投資家からの要望を受けたにもかかわらず、Qin氏が保有する別のファンドに資産を移動しなかったとしている。
SECの取締部門のサイバー班のKristina Littman主任はVirgil Capital社の件について、「今回の緊急命令は投資家の資産保護とさらなる被害の拡大を防止する上で重要なステップだ。Qin(氏)は偽りの約束で投資家を誘い、投資家資産の悪用を隠蔽するために嘘を重ねた」と言及した。
仮想通貨業界を震わせたリップル社の訴訟やICO企業への資金返還を求める事例など、最近の米政府からはトランプ政権の撤退を目前に米SECが仮想通貨への取り締まりを強化している様子だ。