ビットコイン反落
11日の仮想通貨市場でビットコイン(BTC)が急落。アルト市場も連れ安し、全面安の様相となっている。
対円相場でビットコインは、一時330万円を下回って下落。前日比22%安と1月4日の下落以来初めて、下げ幅が20%を超えた。(11日23時更新)
一時は、4万ドル(約420万円)の大台に到達したビットコイン市場であったが、テクニカル的な節目(4万ドル)を維持できずに反落した後、急ピッチな価格高騰で含み益が膨らんだ投資家を中心に、利益を確定する動きが広がった。
また、ビットコインの価格上昇時に、要因とされた米国債利回りの上昇やそれに伴うドルの上昇も、下落要因として意識される。当時、逆回転リスクが限られそうな運用対象として、ビットコインへの投機資金が流入していた背景がある。
ビットコイン市場は、急落時の反騰の強さからも買い意欲の強さを示してきた一方、アルト市場への資金循環や、個人投資家の関心高も17年バブル水準に近くなど、市場心理における過度の強気(陶酔状態)にある足元の過熱感などから、反動下げが警戒されてきた。
CoinPostでも、大口投資家の利確ポイントに関する記事がアクセスランキング上位に位置するなど、短期売買を目的とした個人投資家も利益確定ポイントを探る動きが見て取れた。
いかなる強気相場でも、市場原理からして一本調子で上昇し続けることはなく、過去の上昇トレンドでも、大規模な調整局面(プルバック)は、起こるべくして起きている。
2016年の半減期を挟んだ2015年〜2017年の強気相場では、約2年で計9回の大幅調整を挟んでおり、下落幅は平均37%に及んだ。19年6月には、14,000ドル到達後に30%ほど反落したほか、15年11月には41.3%、17年9月には40.3%の大幅下落を経験している。(以下、半減期後の価格推移)
Ecoinometricsによると、大規模な調整局面(プルバック)時の価格ターゲットを、過去の取引データから算出した確率は、22,000ドル(228万円)を下回る確率は「10%」となるという。過去の下落時の底値到達の多くは、高値から37%減の水準に位置することがわかる。
過去データから分析した、ビットコイン下落時のターゲット価格
— 各務貴仁|CoinPost・Links (@coinpost_kagami) January 8, 2021
22,000ドル(228万円)を下回る確率は「10%」とのこと。
※あくまでも参考データ pic.twitter.com/pRNYXDO9hh
詳しくはこちらの記事:過去2回のビットコイン「半減期」相場からみる今後の展望
専門家の見解
大手メディアでのビットコインに関する見解としては、著名経済アナリストのトム・リー氏は、日本時間10日に放送されたYahoo Finance Liveに出演し、ビットコインのボラティリティと暴落の可能性について見解を語っていた。
リー氏は、2021年のボラティリティが高く、極めて警戒感が高い状況だとしており、投資家は市場が一度暴落してから大幅反発し、過去最高値を更新するシナリオに備えることを推奨するコメントを出している。
ビットコインはハイパーボラティリティの資産で、我々投資顧問企業Fundstrat Global Advisorsの今年の展望としては、株やビットコインなどのリスク資産は、1月末〜4月の間でピークを迎え、S&P500指数が4,000ドルに達する。仮にS&P500が10%ほど下落すれば、ビットコインはおそらく40%〜50%の下落幅になり得る。
同氏はビットコインの大幅調整の可能性について、このような調整幅は仮想通貨では珍しいものではないとして、「2020年にも、コロナショックなど同じような時期があった」と話した。
一方、暴落はするものの、市場回復によってビットコインが今年で300%以上の上昇率に達成することは見込めると今後の市場を見ている。「2017年の強気相場の再演出なら、300%の上昇はあり得る」との推測を口にする場面も見られた。
先日、リー氏がCNBCの番組に出演した際にも、2021年のビットコイン市場は約300%の年初来騰落率を記録した2020年相場を上回ると予想。2016年に発生した2回目の半減期に続く強気トレンドが長期化したことを根拠に、2021年も好調な地合いは続く見込みが高いとしていた。
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難易度調整で過去最高値に
一方、ビットコイン市場を読む上で重要なマイニング事業者関連の最新動向もチェックしたい。
ビットコインネットワークは、1月9日(協定世界時基準)、前回比+10.79%となる大幅な難易度調整を完了した。公開データによると、マイニングの難易度は史上初めて20兆を超え、20.61Tとなった。
該当期間の平均ハッシュレートは150.74EH/s。難易度調整の基準になる平均ブロック生成時間は9分02秒と、ターゲット値である10分を下回っており、マイナーがハッシュレートを強化していることをデータが反映している。
BTC.comによると、次回の難易度調整は1月21日(日本時間では1月22日)あたりが予定されており、予測値は+11.13%と依然プラスの状況。マイナーの強気傾向を示す。
難易度調整について
採掘難易度は、ビットコインのマイニングの難しさを示す指標で、1ブロックの生成時間が平均して10分となるよう、組み込まれたプログラムにより約2週間に1回の頻度で、自動的に調整・変更される。
ブロック生成=ビットコインの新規発行の速度は参加するマイナーの数やマイニング機器の性能など様々な要因に影響されるが、難易度調整はビットコインの発行ペースを保ち、インフレを防止するための役割を果たしている。
ちなみに、2009年のネットワーク開始時の難易度は1で、それから約12年後、ビットコインの採掘難易度は、その20兆倍に達したことになる。ビットコインのマイニングは、個人のパソコンで可能だった時代から、世界でマイニング企業が高性能の最新マイニング機器に巨額の投資を行い、ハッシュパワーを競う時代へと大きく変化した。
ハッシュレート増加の背景とマイニング企業間の競争激化
昨年は機関投資家によるビットコイン市場への参入も相次ぎ、過去最高値を続々と更新する強気相場が続いている。そんな中、ビットコインネットワークを支えるマイニング企業も最新機器への投資を加速し、企業間でのハッシュレート競争が激化している。
昨年、数々の大手マイニング企業が、次々に大量の最新型マイニング機器の買い増しを行った。
北米最大と言われるコア・サイエンティフィック社は、先月、5万8000台のビットメイン社製の最新マイニング機器を追加購入を発表した。それ以前に購入したマシンとの合計台数は7万6024台となる。同社は、世界大手のブロックチェーン投資企業Digital Currency Group(DCG)がマイニング事業投資のために設立した子会社「Foundry」から、最大約24億円の融資を受けることも同時に発表している。
米ナスダック上場企業Riot Blockchain社は、昨年8月から10月にかけ、ビットメイン社と最新型機器1万5600台の購入契約を締結したが、さらに昨年12月、1万5000台の追加購入を発表した。同社はビットコインのマイニングに特化しているが、最新機器導入完了後には、ハッシュレートが65%増加すると予想している。
また、米大手マイニング企業Marathon Patent Groupは、昨年末にビットメイン社と7万台の新規購入契約を結び、これまでに購入した次世代マシンの総数は10万3060台となった。
高まるマイニング機器需要
このようなマイニング企業による採掘機器の相次ぐ大量購入は、最新型ASICマイニング機器の需要を大幅に押し上げており、ビットメイン社はS19シリーズの予約価格を20%引き上げ、出荷も今年6月以降になると報じられている。
さらに、ビットコイン価格の急騰で、マイナーの1TH/秒あたりの収益は、2019年9月以来の高値に達しており、旧式のマイニング機器でも収益性が確保できるようになっていることから、中古市場も息を吹き返しているようだ。
マイニングデータを提供するHashrate Indexによると、マイナーの1TH/日あたりのマイニング収益は、1月9日時点では0.31ドルを記録し、昨年10月からの3カ月間で3.8倍となった。
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