はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン投資信託ルールから読む仮想通貨市場の警戒ポイント

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

グレースケール投資信託の「アンロック」期間の重要性

米国の仮想通貨投資企業グレースケール社の発行するビットコイン投資信託が流通市場に解禁されるアンロック期間がビットコイン(BTC)価格に大きく影響を与えているがわかった。仮想通貨の分析に特化するBen Lilly氏が独自の考察で詳細を紐解いた。

「クリプトエコノミスト」の異名を持つLilly氏はブロックチェーン市場の分析に特化したAI(人工知能)プラットフォームJarvis Labsのパートナー。人口知能のJarvisはブロックチェーンデータをトラッキングすることで自動的に現物や先物、またオプション取引を行っている。

JarvisやLilly氏の分析の結果、グレースケール社のビットコイン購入は仮想通貨市場、特にビットコイン価格に大きな影響を与えていることが判明した。

グレースケール社とは

グレースケール社は米国の機関投資家や適格投資家など、いわゆる「プロ」の投資家を対象に仮想通貨へのエクスポージャー(投資機会)を提供する投資信託商品を提供している最大手の仮想通貨投資企業だ。仮想通貨分析サイトのbybtによると1月28日時点では同社は約64万8180BTCを保有している。

出典:bybt

グレースケール社の代表的な投資商品は現物価格より高い傾向があるビットコイン投資信託、通称「GBTC」だ。適格投資家などに代わりグレースケール社がビットコインを保有し、代わりに投資家は投資資金に応じた分のGBTCを受け取る仕組みになっている。

統計サイトのYchartsによると、昨年もGBTCの価格乖離(プレミアム)は現物価格より高い水準を推移していた。

出典:YCharts

GBTCが発行される仕組みをLilly氏は以下の通りに説明した。

  1. 適格投資家や「富裕層」などが私募への参加が可能
  2. 適格投資家らがビットコイン又は米ドルをグレースケールに渡す
  3. 対価として、グレースケール社は投資額に等しいGBTCシェアを配布。1シェア辺り約0.001BTC(実際は0.00095085BTC)に相当する。仮に適格投資家が1BTCを渡した場合、受け取るシェアは1000枚となる。(手数料を除く)
  4. 私募に参加した投資家は6ヶ月の「ロックアップ期間」を経た後、(一般投資家を含む)流通市場でGBTCシェアを販売することが可能となる。

このロックアップ期間はこれまでは1年だったが、Lilly氏の調査によれば昨年1月21日から変更されているとのこと。

またGBTCは取引されても、投資信託の販売は現物とは交換されない為、一方的に価値が流れ込む形でグレースケールはビットコインを蓄えていくシステムと形容した。

さらにLilly氏は価格乖離の恩恵を受けるのは流通市場でGBTCを購入する投資家ではなく、私募の段階で参入した適格投資家である為、「一見フェアに見えるが実はプレミアムが生じる(利益になる)」と指摘した。機関投資家が現物価格に左右されることなく、価格乖離による収益率を目当てに参入したことから資金が継続的に集まったと分析している。

通常なら経済的要因でこの価格乖離は下がるはずだが、それは何故だか、まだ起きてないと言及。Lilly氏は価格乖離が維持される限り、適格投資家は継続してGBTCを購入すると予想した。

ビットコイン市場への影響

2020年中盤から、グレースケール社がビットコイン市場へ与える影響が憶測されていたが、その実態がより鮮明となった。

その上でLilly氏はBTCがロックアップ期間から解禁(≒アンロック)されるタイミングでBTC価格が上昇に動いた傾向を指摘。2019年からGBTCのアンロック時期をビットコインチャートと比較すると、解禁後から1、2週間後にかけて現物価格が上昇する風潮があると述べた。

出典:Tradingview

また同氏はGBTCのアンロック後、価格乖離は一旦落ち着く傾向あるとも分析した。その上で次回の大きなアンロックが2月3日前後に想定されると言及した。

アルト銘柄への影響

ビットコインの総発行枚数の2100万BTCの約3%に当たる現物を保有する為、グレースケール社のGBTCに注目が行きがちだが、同社はイーサリアム(ETH)やライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)などアルト銘柄の投資商品も取り扱う。

レポート公開後にLilly氏はツイッター上で、今週解禁されるグレースケール社のアルト関連の投資信託額が大きい点を言及。今後数週間をかけてアンロック額が増える点に期待感を示した。

今月公開されたグレースケール社の2020年Q4レポート内によると、ビットコインを除くアルト関連の投資信託商品などへの資金流入も昨年夏頃から急増していた。

出典:Grayscale

アルト関連の投資商品の運用額はビットコイン投資信託と比較すると額は劣るものの、昨年のDeFi(分散型金融)の台頭などで、アルト関連商品への資金流入のペースもGBT Cと同様、過去最高の水準だった。

なお上述した1月26日時点でのGBTCのプレミアム率は3%台と2017年3月以来の低水準だったが、Lilly氏はアンロック期間が連続して発生する予定の今後2、3週間で様子見する姿勢を示している。

いずれにせよ、グレースケール社の投資信託のアンロック期間は今後の仮想通貨市場を展望する上で留意しておきたい指標となるだろう。

関連:米NYダウ急落など金融市場がリスクオフ、ビットコイン市場にも警戒感波及

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11:20
イーサリアム財団が5億円相当ETHを売却、新資金管理方針で=報告
イーサリアム財団が7月11日に1210ETHを約349万USDCで売却。過去1カ月で2万1000ETHを移転し、新財務管理方針に基づく定期的な資金調達を実施。
10:55
米国の新通貨監督庁長官、規制緩和の推進役に
米上院が元ビットフューリー最高法務責任者のジョナサン・ゴールド氏を通貨監督庁長官に承認。仮想通貨業界出身者の金融規制官庁トップ就任で、デジタル資産政策に注目集まる。
10:48
サークル社、SeiチェーンにネイティブUSDCとCCTP V2を導入 効率的なステーブルコイン利用を促進
CircleがブロックチェーンSeiにネイティブUSDCとCCTP V2を導入を発表した。13のブロックチェーン間でUSDCの直接移動が可能に。SeiのTVLは年初来188%増の6億ドルに成長。
10:25
シグナム、ドル準備通貨維持にステーブルコインが鍵と予測
仮想通貨銀行シグナムは、米国政府はドル建てステーブルコインの拡大で通貨覇権維持を狙うと指摘した。また、脱ドル化の長期トレンドと中期的なドル強気予測を解説している。
09:55
「24年末時点の保有資産の約15%はビットコイン」カルダノ財団
カルダノ財団は2024年の財務報告書を公開。同年末時点で保有する資産は約6.6億ドルで、資産構成は仮想通貨エイダが76.7%、ビットコインが14.9%、現金・現金同等物等が8.3%だとしている。
09:40
ゲーツ、Oasysで110億円規模の不動産トークン化
RWAにフォーカス 日本の不動産投資企業ゲーツが7月10日、オアシス(Oasys)との戦略的パートナーシップを発表した。110億円に相当する東京都心部の優良不動産資産をオアシス…
08:35
ビットコインが2日連続で史上最高値更新、米株高と規制緩和が後押し|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは7月11日、前日に続いて続伸し2日連続で史上最高値を更新した。背景には、FRB高官による早期利下げ示唆と、米新規失業保険申請件数が7か月ぶりに低水準となったことを受けた株高がある。
08:00
ブータン政府、計50億円超相当のビットコインをバイナンスに送金
ブータン政府は先週から今週にかけて、ビットコインを仮想通貨取引所バイナンスに送金。送金のタイミングが相場の上昇と一致していることから、売却の可能性を指摘する見方が上がった。
07:45
ビットコイン供給ショック、次の急騰で15万ドル到達可能か 利確警戒も
仮想通貨ビットコインの流通量の8割以上が長期保有者に集中し、企業による保有も加速。供給逼迫と新たな需要が重なり、価格は連日過去最高値を更新した。
06:35
株価前日比2倍急騰、BIT Miningがビットコインからソラナへ戦略転換
NYSE上場のBITマイニングがソラナエコシステムへの戦略転換を発表。最大3億ドル調達でSOL蓄積計画を明らかにし、保有仮想通貨の全額転換とバリデーター運営を予定。
06:15
DeFi業界に朗報、米国税庁が仮想通貨ブローカー規則を正式撤廃
米財務省とIRSが分散型取引所への顧客情報提出義務を課すDeFiブローカー規則を正式撤廃。議会決議とトランプ大統領の署名を受け、連邦税法から完全削除された。
05:55
ミームコイン急騰、PENGUやWIFが市場を牽引
ビットコイン11.3万ドル突破でミームコイン全体が10%上昇。PENGUが30%、ドージコインが8%高となり、SECのETF承認への期待感からトレーダーの注目を集める。
05:45
コインベースとパープレキシティAI、仮想通貨データ連携
仮想通貨取引所大手コインベースがパープレキシティAIと連携し、リアルタイム仮想通貨データサービスを開始。トレーダーの意思決定支援を目的とし、AI統合による市場分析機能を段階的に展開する。
07/10 木曜日
14:35
仮想通貨取引所のキャンペーン・特典情報【2025年7月最新】
2025年7月更新:主要な暗号資産(仮想通貨)取引所が展開するキャンペーンと特典情報を徹底解説。仮想通貨取引の第一歩は、国内取引所の口座開設。初心者もトレーダーもキャンペーンや特典を駆使して、投資の機会を最大限に活用しましょう。
14:17
日本国内の仮想通貨取引所が急成長、SBIVCの顧客預かり資産が8ヶ月で2.5倍の5000億円に
SBI VCトレードが預かり資産5,000億円突破を発表した。DMM Bitcoinの顧客移管のほか、仮想通貨の価格上昇、トランプ政権期待による新規参入が成長を牽引。わずか8か月で2.5倍の急拡大を実現し、国内暗号資産市場の拡大を象徴する動きとなっている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧